歯科医物語

歯科医、現在 休養中、「木偶庵」庵主、メインサイト http://www.jiro-taniguchi-fan.com/

入れ歯の傷が、原因で、なくなったCさん(H病院にて)

2021-06-26 12:41:05 | ☆歯科医物語


入れ歯の傷が、原因で、なくなったCさん(H病院にて)



わたしは、お盆の休みを取って、
実家に帰っていた。



入院させた、患者が、入院したので、
診て欲しいのことであった。




すると携帯に病院から、電話があった。
外科の先生から。
歯が、原因で、顔が腫れて、




わたしは、困った、
病院まで、高速道路をつかっても、
3時間は、かかる。




結局、
「今、実は、OOの実家にいるんです。
実は、今帰ろうとしていたところで、
帰ったら、伺います。」




うそである。
帰ろうなんて思っていなかった。
急いで、一緒に来ていた家族に
帰る準備をさせ
いっしょに、急いでかえった。





80歳ぐらいの患者であった。
一目で、歯が、原因の
顔から首への腫れと分かった。
しかし、口の中を見て、
びっくり!歯は、ない!




よーく、診ると、
奥の方に、大きな入れ歯によると思われる、
傷があった。





外科の先生に、すぐ報告したのだが・・・・。
信用してもらえなかった。
「入れ歯の傷ぐらいで、こんなに
腫れるわけがない」
とのことであった。



「鼻」が、原因だろうというのである。
運が悪く、その同じ側の鼻の中に、
レントゲンで、影があった。




歯が原因で、鼻の中に膿(うみ)がたまる事もある。
我々歯医者がみても、それは、慢性のもので、
これが今回の腫れた原因ではない。






主治医の前で、
鼻の疾患部に、太い針を刺し
膿がたまっていないことを、
見せた。





が、信じてもらえない。






結局、その病院にない、「耳鼻科の受診」
をすすめる。







また、「耳鼻科」でも、
口の中の傷を、悪性腫瘍(ガン)と、
間違えたらしい。
毎日、その、弱ったCさんを、
家族が、「耳鼻科医院」に、連れて行った。













わたしは、ちょっと、あきれて、
放っておいたが、






でも、気になる。
腫れが、ひかないのである。
別に、その主治医に、依頼されたわけではないが、
毎日、診に行った。










普通、入れ歯の傷なら、
入れ歯を、外せば、ある程度治ってくる。








わたしは、勝手に、
その傷の細菌を、調べた。
傷を綿棒のようなもので、
ぬぐって、検査に出した。








細菌検査は、時間がかかる。
「至急にしてくれと」の、
注意を書き込み、臨床検査にだした。
















結果が来た! 
やはり!








抗菌剤の効かない細菌(MRSA)が、
検出された。








そのことを、急いで、主治医に
連絡した。
返事は、
「でも、先生、いま、患者は、危篤状態なんです。
血圧が、さがってしまって・・・・」








おそかったか・・・・・。
こういう場合は、
特殊な薬をつかう・・・・。
















昼休みに、病棟へ行くと
病室には、家族・親戚が、いっぱい
集まっていた。








入れる状態ではない。








ナース・ステーションへって、
カルテを見ると、
その、薬を、点滴で入れてくれていたようだが、
遅かった。








「死亡診断書」もすでに、
書かれていた。








「死因」のところには、
「敗血症」(細菌が、全身にまえわること。)
とかかれていた・・・・・・。





 
 
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