北信濃寺社彫刻と宮彫師

―天賦の才でケヤキに命を吹き込んだ名人がいた―

■ 諸職画鑑(しょしょくえかがみ)―宮彫師が参考にしたイラスト集

2017年02月02日 | ■宮彫

今回は総論的な内容です。江戸時代に、諸職(色々な職人:彫工、石工、金工など)に対して発刊された和本(イラスト集)を紹介します。

作者は、鍬形蕙斎(くわがたけいさい; 別名、北尾政美:きたおまさよし)で、略画式といわれるイラスト集などを発刊し、後に葛飾北斎の北斎漫画につながっていきます。現在では無名で、「北斎に消された人間」といえますが、当時は非常に有名な絵師でした。

諸職画鑑(寛政6年:1794、奥付参照)は、当時のベストセラーで(実際には売れたというよりも貸本として)、多くの職工の意匠の参考にされました。

一つの例として、獅子・狛犬が本来は阿形は角がない獅子、吽形は角があるべき狛犬ですが、鍬形蕙斎が間違えて、阿形に角があり、吽形に宝珠を載せた獅子にしたため(画像6参照)、多くの石工が間違って制作・設置して、現在でも多く存在しています。

宮彫の調査には、重要な和本で、PDFは他で公開されています。今回、改めて、この和本の全頁を載せます。趣味・研究等にご利用ください。(私蔵本なので問題は無いと思います)

掲載にあたり、作者の鍬形蕙斎に敬意を示すとともに、彼に光が当たることを祈っています。

全41画像あります。

画像2-4:略画式(漫画)、5:随身、6:仁王、7:獅子狛犬、9:天女、10-11:鍾馗様、12:高砂の爺婆、13-14:武人、15:酒呑童子、15-17:唐子、17-19:十二支、21-23:獅子、24:象、24-30:仙人、30-31:七福神、32-33:龍、34-37:鳥類、37-40:植物、41:奥付 

 

 

1)凡例:世に和漢の画本多しといへとも、皆諸の名画の写しのみにして日用の間に合ぬなり、今此画本は絵の入用の諸職人のため或は画こころある人を早く画道に入しめんか為に、北尾蕙齋先生の工風せられ有れしを、予ひそかに此一巻を見てこひ求め、則諸職画鏡題し梓にちりはめ広く世に行はせしむ   寛政七年乙卯初春 申椒堂主人誌

 

2)

 

3)

 

4) 

 

5)随身像 右大臣と左大臣 (正式には随神ではありません)

 

6)仁王像 阿吽形

 

7)狐、 問題の獅子・狛犬像(本来は右が宝珠、左が角になるべき・・・)

 

8)

 

9)天女

 

10)鍾馗様1

 

11)鍾馗様2 鍾馗が笠で鬼を抑え込んでいる像はよく宮彫で見かけます。

 

12)高砂の爺婆(松、鶴、亀)、金太郎

爺が熊手で幸運をかき寄せ、婆が箒を持って災いを払う。夫婦が高齢になるまで一緒にいて、さらに縁起のいい松・鶴亀と描かれている。

 

13)中国の武人。 

 

14)武人(和漢)

 

15)酒呑童子、唐子

 

16)唐子

 

17)唐子、十二支(虎、牛、ねずみ)

 

18)十二支

 

19)十二支 他

 

20)

 

21)獅子

 

22)獅子

 

23)獅子

 

24)象、仙人(通玄仙人、鉄拐仙人、がま仙人)

 

25)仙人

 

26)仙人

 

27)竹林の七賢人 他

 

28)仙人

 

29)仙人

 

30)仙人、七福神1

 

31)仙人、七福神2

 

32)達磨大師、般若、丸龍

 

33)龍

 

34)鶴、孔雀

 

35)鳥

 

36)

 

37)

 

38)

 

39)

 

40)

 

41)奥付  寛政六年 作者名

 


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