なんとなく人生KO日記

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木村家の人びと

2008-02-19 05:15:39 | Weblog
二作目も昔見たことがある映画にする。15年くらい前に「金曜ロードショー」でやっていたと思われる。加賀丈史、桃井かおりが主演。

守銭奴の木村家は朝から晩まで小銭稼ぎに奔走している。早朝のモーニングコールや新聞配達、弁当の販売、白タクなど。小銭稼ぎが家族の中で完結しているのではなくて、地域を巻き込んでの活動となっているのが面白い。
新聞配達には老人に小銭を渡してやってもらい、弁当には自分で作った料理も入れつつ老人がタッパーで持ってきたものを「お袋の味」と称して付加価値をつける。会社の同僚を巻き込んで会社内の弁当販売の大部分を引き受ける。「小銭」のために。

観賞後、金とコミュニケーションのことについて考えた。

映画の中では、小銭を稼ぐことは閉じた行為ではなくて、多くの人が一丸となって行う行為となっている。木村家だけ見ても、弟はちょっと違うが、父と母と姉は小銭稼ぎのために一つになっている。
そんな木村家を中心に、ボケ防止だの小遣い稼ぎだのといって老人が集まって、ワイワイ楽しそうに割り振られた仕事に熱中する。
会社では、自らも閑職に飛ばされた木村ハジメを中心に窓際部署に飛ばされたことに失望していた社員は満面の笑みで小銭稼ぎに没頭する。

このコミュニティに属している人々が満足している理由は、木村ハジメの徹底した計算能力に寄るところが大きい。この仕事をしたらいくら払う、という計算を精密マシーンのように瞬時に行い、人々に仕事を割り振る。だから無理なく楽しく木村家の周りの人間は小銭を稼ぐことができる。

木村ハジメは愛だってお金に換算する。多くのお金を自分に使ってくれたから、この人は自分のことを愛しているのだな、という考えはシンプルで自分はそこまで割り切れないけれど納得できる部分はある。

人の手から手を移動するのは小銭だけではなくて多くの感情もである。だから、小銭集めに奔走する木村ハジメが何とも感情豊かで、人間的に見えてしまう。

とてもいい映画だったので、また数年後に観たいと思う。

木村家の人びと