現在注目をされているドリフトダイビング。
当店でも行うことは多く、今までもたくさんの事を考え、改善してきました。
今回の件で我々事業者はよりしっかりと見つめていかなければいけないことは当然であると思っています。
バリ島での漂流事故。
現在も1名は見つからず、捜索は打ち切られ、関係者1隻での捜索を続けていると聞いています。
何年も前に戻っても節目節目で起こっている漂流事故。
大きくないものも合わせれば全く解決していないと言っても過言ではないだろう。
今回の事故の大きさは、数年前のパラオで起こったものに次ぐ大きさの事故で、自分的にはパラオの時はまだ駆け出しで衝撃的には今回のほうが大きく心に打撃を受けた。
こういうことが起こってからでは遅く、それも分かっていて様々な安全管理を行っているが、やはりこのようなことが起こったときに自分の中でも甘さが垣間見られすぐに改善し取組まなければいけないと胸が締め付けられる思いでいっぱいである。
ブログの中ではあるが、自分自身も見つめながらしっかりと組み立てられたドリフトダイビングを考えていきたいと思います。
私自身、ドリフトダイビングのスタイルを変えたのは今から5~6年前。
きっかけはやはり際どいことを経験してからでした。
それまでのドリフトダイビングは今主流となっているライブボーディングドリフト。
そう、今回の事故と同じく、水中で流れによりコースを決めて船長と詳細の打ち合わせを行い、船が泡を追いかけてダイビング後ピックアップしてもらう方法。
しかし、これにはかなり大きなリスクが強いられ、水中でガイドしている間はガイド及び船長はいつも不安で仕方ありませんでした。
その後、携帯電話の防水機能及びGPS機能の普及により古いデジタルカメラハウジングに入れて持って入ることで、少し安心材料は増したが、こうした備えはあくまで流された後、見失われたことの想定での策で、流されない見失われないことへの対策にはならず、機械的な故障や電波的な不安は消すことができませんでした。
流され、水面で見失われていることを船に連絡し気づいてもらいピックアップされるまでのガイドとゲストと船長の心境を考えるともっとしっかりとした対策が必要であると感じていました。
結果、やらなければそれですむのだが、潮の流れが比較的強いこの島で海を魅せていくダイビングとしてドリフトダイビングはやはり有効でどうすれば安全・安心にできるのかという葛藤は続きました。
そんな葛藤の中で最もシンプルで分かりやすく位置を知らせておくという材料として、POINT開発の再に利用していた水中から浮きブイをかかげながら潜るといういたってシンプルなとこにたどりつきました。
最初はかなりの自由を奪われるという意識からガイド中は厳しいと思っていましたが、水中リールそして水面摩擦が少ない浮きブイを利用することで、実際は容易であることが分かりました。
この手段は一見リールを引っ張ることで行動が狭くなり不自由になると感じるが、実際は船から確実に見えてエンジン音が常に聞き取れる安心材料としての心の支えが大きく、また様々な潮の変化に対応できることや臨機応変に魚にアプローチをかけられる点などメリットの方が圧倒的に大きくなりました。
以後、自分のドリフトダイビングでは、基本的にはアシストダイバーが水中リールをコントロールし、ガイドが安全管理とコースを組み立て、船長が浮きブイ付近で水面を管理するというスタイルをSTAFF全員の必須として行うようになりました。
そこから精度をあげていき、水面ブイからの船の位置を統一することで船側のトラブルに最速で対応することや万一ブイが切れたときにはすぐに予備フロートを打ち上げて船はそちらを追跡し、ガイドはその時点で浮上体制に入ること、天候変化で船側から見えずらくなった場合には船側から水中にエンジン音で知らせていくことなど細かいルールをつけていきました。
ドリフトダイビングの決まりやスタイルなんていうのは、昔どのように行えば安全に楽に潜れるのかを考えて確立してきたもの。
自分の父の時代のことも質問をしてみたが、今と何も変わっていない。
つまりはいくつもの事故を経ても、面倒なことを省きシンプルにしたスタイルを貫いてきてしまったことに大きな問題があることは間違いない。
だからこそ、その時代時代に経験者が大きな変化を与え新しいスタイルとしていかなければいけないように僕は感じている。
そうすることでしか防げないことがたくさんあると思います。
少しでも現地ガイド、ボートオペレーター、ゲストのドリフトダイビングがよい方向に進んでいけるように僕も一人のインストラクターとして指導していければと思います。
上記したことを踏まえ、参考になれば幸いと思い、ドリフトダイビングの方法を書いていきたいと思います。
■ガイドダイバーのドリフトダイビングの手順と判断
1.天候判断
波、うねり、風、雨の情報を事前に取得。
実際の天候と照らしあいエキジットまでの時間に異変がなくダイビングに適している状況かどうかの判断。
2.流れの判断
POINT上で必ず入水し眼で見て体で感じて水面、水中の流れを観察。
途中で止まることができる流れであり、万一の時にリーフへ逃げられる範囲の流れであるか判断。
3.ゲストレベルの判断
不備のない器材を所有しているか、スムーズな圧平衡ができるか、中性浮力はとれるか、適正ウエイトであるか、ドリフト経験はあるか、
ブランクはないか、旅行初日一本目ではないか、フリー浮上ができるか、エキジットを自力でできるかetcのゲストレベルの判断。
4.STAFF判断
水中リールを操れるSTAFFはいるか、ドリフトダイブを把握した船長はいるか、ガイドはコースと流れを的確にたどれるかetcの人材判断。
5.上記1~4の判断で可能の場合は下記の手順でドリフトダイビングを行う。
①船長の操船によりPOINTへ
②ドリフトスタート地点の水中ブイを利用し係留
※ダイビングストレスが一番高いエントリーから潜降までのトラブルを防げる状況を作るためにもスタートは係留した状態が望ましい。
③ガイドダイバーによる流れのチェック
④詳細のブリーフィング
⑤ガイドダイバーエントリー 水底集合
⑥アシストダイバーエントリー 水面サポート 水面を流されないようにロープへ誘導
⑦ゲストダイバーエントリー バディ同士ロープ潜降しガイドダイバーのところへ集合
⑧全員エントリー後、アシストダイバー水面リールを引きながら潜降
⑨全員潜降後、船長は船の準備と係留解除の準備 水中へスタート可能合図を出す
⑩潮の流れにのるダイビング開始
⑪ダイビング中は、ガイドとアシスタントの間にゲストが入り、同じ水深でのダイビングを実行
※やむを得ずガイドダイバー1名の場合は、ガイドダイバーがリールを引くためその近くにグループ形成
⑫潜水中はガイドとアシスタントは、リールの異常がないか、ゲストに異常はないか、水面変化はないか、エンジン音は聞こえているかを常に
チェック、船長は、浮きブイからどの位置にダイバーがいるのか、天候変化はないか、エンジントラブルはないか常にチェック
⑬規定時間で水深を上げ、安全停止に入る。
この時点で船は少し浮きブイから距離をとり浮上者の船への巻き込みに注意を払う
⑭水面へ浮上後、風上から船をアプローチし、船から離れないように場所をキープしてエキジットを行う
文面にするとマニュアル作りのように非常に長く難しくなってしまうし、あれもこれもと文面がばらばらになってしまいましたが、現在考えるドリフトダイビングは自分の経験と多良間島のグランドにおいてはこれが良いと感じております。もちろんまだまだ改善点は出てくると思います。
地域によって船の往来が激しかったり、流れの感じが異なったりしますが、水中リールでのドリフトダイビングは非常に有効であると思います。
できる地域であれば水面で通信する機器よりも一度取り入れることをお勧めします。
そして、少しでも今の時代にダイビングで命を落とすようなことが今後なくなっていくように心より願っています。
この度、漂流事故でお亡くなりになってしまった方へご冥福をお祈りいたします。
そして、未だ行方不明の方の発見を心より願っております。
ダイビングを楽しまれている皆様の意識と協力がなければ、笑顔を生み出すダイビングは確立していきません。
皆様の素敵なダイビングライフを今後も少しでも支えていければと思い、我々インストラクターは全力で任務を全うできるよう頑張っていきます。
是非、笑顔のたえない素敵なダイビングを一緒に作っていきましょう!!
当店でも行うことは多く、今までもたくさんの事を考え、改善してきました。
今回の件で我々事業者はよりしっかりと見つめていかなければいけないことは当然であると思っています。
バリ島での漂流事故。
現在も1名は見つからず、捜索は打ち切られ、関係者1隻での捜索を続けていると聞いています。
何年も前に戻っても節目節目で起こっている漂流事故。
大きくないものも合わせれば全く解決していないと言っても過言ではないだろう。
今回の事故の大きさは、数年前のパラオで起こったものに次ぐ大きさの事故で、自分的にはパラオの時はまだ駆け出しで衝撃的には今回のほうが大きく心に打撃を受けた。
こういうことが起こってからでは遅く、それも分かっていて様々な安全管理を行っているが、やはりこのようなことが起こったときに自分の中でも甘さが垣間見られすぐに改善し取組まなければいけないと胸が締め付けられる思いでいっぱいである。
ブログの中ではあるが、自分自身も見つめながらしっかりと組み立てられたドリフトダイビングを考えていきたいと思います。
私自身、ドリフトダイビングのスタイルを変えたのは今から5~6年前。
きっかけはやはり際どいことを経験してからでした。
それまでのドリフトダイビングは今主流となっているライブボーディングドリフト。
そう、今回の事故と同じく、水中で流れによりコースを決めて船長と詳細の打ち合わせを行い、船が泡を追いかけてダイビング後ピックアップしてもらう方法。
しかし、これにはかなり大きなリスクが強いられ、水中でガイドしている間はガイド及び船長はいつも不安で仕方ありませんでした。
その後、携帯電話の防水機能及びGPS機能の普及により古いデジタルカメラハウジングに入れて持って入ることで、少し安心材料は増したが、こうした備えはあくまで流された後、見失われたことの想定での策で、流されない見失われないことへの対策にはならず、機械的な故障や電波的な不安は消すことができませんでした。
流され、水面で見失われていることを船に連絡し気づいてもらいピックアップされるまでのガイドとゲストと船長の心境を考えるともっとしっかりとした対策が必要であると感じていました。
結果、やらなければそれですむのだが、潮の流れが比較的強いこの島で海を魅せていくダイビングとしてドリフトダイビングはやはり有効でどうすれば安全・安心にできるのかという葛藤は続きました。
そんな葛藤の中で最もシンプルで分かりやすく位置を知らせておくという材料として、POINT開発の再に利用していた水中から浮きブイをかかげながら潜るといういたってシンプルなとこにたどりつきました。
最初はかなりの自由を奪われるという意識からガイド中は厳しいと思っていましたが、水中リールそして水面摩擦が少ない浮きブイを利用することで、実際は容易であることが分かりました。
この手段は一見リールを引っ張ることで行動が狭くなり不自由になると感じるが、実際は船から確実に見えてエンジン音が常に聞き取れる安心材料としての心の支えが大きく、また様々な潮の変化に対応できることや臨機応変に魚にアプローチをかけられる点などメリットの方が圧倒的に大きくなりました。
以後、自分のドリフトダイビングでは、基本的にはアシストダイバーが水中リールをコントロールし、ガイドが安全管理とコースを組み立て、船長が浮きブイ付近で水面を管理するというスタイルをSTAFF全員の必須として行うようになりました。
そこから精度をあげていき、水面ブイからの船の位置を統一することで船側のトラブルに最速で対応することや万一ブイが切れたときにはすぐに予備フロートを打ち上げて船はそちらを追跡し、ガイドはその時点で浮上体制に入ること、天候変化で船側から見えずらくなった場合には船側から水中にエンジン音で知らせていくことなど細かいルールをつけていきました。
ドリフトダイビングの決まりやスタイルなんていうのは、昔どのように行えば安全に楽に潜れるのかを考えて確立してきたもの。
自分の父の時代のことも質問をしてみたが、今と何も変わっていない。
つまりはいくつもの事故を経ても、面倒なことを省きシンプルにしたスタイルを貫いてきてしまったことに大きな問題があることは間違いない。
だからこそ、その時代時代に経験者が大きな変化を与え新しいスタイルとしていかなければいけないように僕は感じている。
そうすることでしか防げないことがたくさんあると思います。
少しでも現地ガイド、ボートオペレーター、ゲストのドリフトダイビングがよい方向に進んでいけるように僕も一人のインストラクターとして指導していければと思います。
上記したことを踏まえ、参考になれば幸いと思い、ドリフトダイビングの方法を書いていきたいと思います。
■ガイドダイバーのドリフトダイビングの手順と判断
1.天候判断
波、うねり、風、雨の情報を事前に取得。
実際の天候と照らしあいエキジットまでの時間に異変がなくダイビングに適している状況かどうかの判断。
2.流れの判断
POINT上で必ず入水し眼で見て体で感じて水面、水中の流れを観察。
途中で止まることができる流れであり、万一の時にリーフへ逃げられる範囲の流れであるか判断。
3.ゲストレベルの判断
不備のない器材を所有しているか、スムーズな圧平衡ができるか、中性浮力はとれるか、適正ウエイトであるか、ドリフト経験はあるか、
ブランクはないか、旅行初日一本目ではないか、フリー浮上ができるか、エキジットを自力でできるかetcのゲストレベルの判断。
4.STAFF判断
水中リールを操れるSTAFFはいるか、ドリフトダイブを把握した船長はいるか、ガイドはコースと流れを的確にたどれるかetcの人材判断。
5.上記1~4の判断で可能の場合は下記の手順でドリフトダイビングを行う。
①船長の操船によりPOINTへ
②ドリフトスタート地点の水中ブイを利用し係留
※ダイビングストレスが一番高いエントリーから潜降までのトラブルを防げる状況を作るためにもスタートは係留した状態が望ましい。
③ガイドダイバーによる流れのチェック
④詳細のブリーフィング
⑤ガイドダイバーエントリー 水底集合
⑥アシストダイバーエントリー 水面サポート 水面を流されないようにロープへ誘導
⑦ゲストダイバーエントリー バディ同士ロープ潜降しガイドダイバーのところへ集合
⑧全員エントリー後、アシストダイバー水面リールを引きながら潜降
⑨全員潜降後、船長は船の準備と係留解除の準備 水中へスタート可能合図を出す
⑩潮の流れにのるダイビング開始
⑪ダイビング中は、ガイドとアシスタントの間にゲストが入り、同じ水深でのダイビングを実行
※やむを得ずガイドダイバー1名の場合は、ガイドダイバーがリールを引くためその近くにグループ形成
⑫潜水中はガイドとアシスタントは、リールの異常がないか、ゲストに異常はないか、水面変化はないか、エンジン音は聞こえているかを常に
チェック、船長は、浮きブイからどの位置にダイバーがいるのか、天候変化はないか、エンジントラブルはないか常にチェック
⑬規定時間で水深を上げ、安全停止に入る。
この時点で船は少し浮きブイから距離をとり浮上者の船への巻き込みに注意を払う
⑭水面へ浮上後、風上から船をアプローチし、船から離れないように場所をキープしてエキジットを行う
文面にするとマニュアル作りのように非常に長く難しくなってしまうし、あれもこれもと文面がばらばらになってしまいましたが、現在考えるドリフトダイビングは自分の経験と多良間島のグランドにおいてはこれが良いと感じております。もちろんまだまだ改善点は出てくると思います。
地域によって船の往来が激しかったり、流れの感じが異なったりしますが、水中リールでのドリフトダイビングは非常に有効であると思います。
できる地域であれば水面で通信する機器よりも一度取り入れることをお勧めします。
そして、少しでも今の時代にダイビングで命を落とすようなことが今後なくなっていくように心より願っています。
この度、漂流事故でお亡くなりになってしまった方へご冥福をお祈りいたします。
そして、未だ行方不明の方の発見を心より願っております。
ダイビングを楽しまれている皆様の意識と協力がなければ、笑顔を生み出すダイビングは確立していきません。
皆様の素敵なダイビングライフを今後も少しでも支えていければと思い、我々インストラクターは全力で任務を全うできるよう頑張っていきます。
是非、笑顔のたえない素敵なダイビングを一緒に作っていきましょう!!