「バルカンの心 ユーゴスラビアと私」 田中一生 彩流社
バルカンに興味を持つ人なら、この著者のお名前に、きっとどこかで出会ったことがあるはず。
イヴォ・アンドリッチ作品などの翻訳や、語学書などを手掛けられた方です。
船ではるばるベオグラードに渡ってから、昨年亡くなられるまでの半世紀に執筆された旧ユーゴに関するエッセイや論考をおさめた本。軽妙なものも、学問的な硬いものも、一冊に収まっている。
本の解説については、その本を読んでいないと辛いものがあり、私はとばしてしまったのだけれど、旅行記、体験記などは興味深く読んだ。
歴史についての記述もあり、勉強になる。
日本から地理的にも歴史的にも離れた地域を相手に、それで食べていこう(翻訳や研究など)というのは、なかなかに大変な道。勇気も決意も、並々ではないのが、改めて分かる。
それでもその道を進むことにした人の書くものって、面白いものが多い気がする。
それは、日本であまり知られていない土地の魅力をいかに余すことなく伝えられるか、というのにやはり心を砕いているからなんだろう。
そして、対象への愛とともに、日本人というある意味「部外者」、外からの視点も失われていないことが、重要な気がする。
愛情を注ぎ、しかしそれに振り回されず、盲目にならないバランス感覚が必至。
ま、これはもう「大国」だろうが「小国」だろうが変わらないことなんだろうな。
バルカンに興味を持つ人なら、この著者のお名前に、きっとどこかで出会ったことがあるはず。
イヴォ・アンドリッチ作品などの翻訳や、語学書などを手掛けられた方です。
船ではるばるベオグラードに渡ってから、昨年亡くなられるまでの半世紀に執筆された旧ユーゴに関するエッセイや論考をおさめた本。軽妙なものも、学問的な硬いものも、一冊に収まっている。
本の解説については、その本を読んでいないと辛いものがあり、私はとばしてしまったのだけれど、旅行記、体験記などは興味深く読んだ。
歴史についての記述もあり、勉強になる。
日本から地理的にも歴史的にも離れた地域を相手に、それで食べていこう(翻訳や研究など)というのは、なかなかに大変な道。勇気も決意も、並々ではないのが、改めて分かる。
それでもその道を進むことにした人の書くものって、面白いものが多い気がする。
それは、日本であまり知られていない土地の魅力をいかに余すことなく伝えられるか、というのにやはり心を砕いているからなんだろう。
そして、対象への愛とともに、日本人というある意味「部外者」、外からの視点も失われていないことが、重要な気がする。
愛情を注ぎ、しかしそれに振り回されず、盲目にならないバランス感覚が必至。
ま、これはもう「大国」だろうが「小国」だろうが変わらないことなんだろうな。