「社会主義と個人――ユーゴとポーランドから」
笠原清志 集英社新書
社会主義体制を、生身の人間に密着して、その観察、生の声から描いた一冊。
著者は七十年代、ユーゴスラヴィアに留学していて、ユーゴについてはその時の人間観察が中心となっている。「上司が旧ソ連派だったため拷問にあった下宿の主人、劇的な体制の変化により不可解な死をとげた元外交官」を間近で見ていた著者。まさに、「歴史の表面には出てこない人々の素顔が浮かび上がってくる」のです。
ポーランドについては、主に八十年代後半に著者が行った要人への聞き取り調査をもとに書かれている。どちらか一方に偏ることなく、ある一定の距離を保ちながら行った調査。時折挟まれる著者の意見は率直で、かつ真摯。当時のポーランドの政治情勢について疎い自分にとっては、なかなか難しい個所もあったが、それも含めて読み応えがあった。
笠原清志 集英社新書
社会主義体制を、生身の人間に密着して、その観察、生の声から描いた一冊。
著者は七十年代、ユーゴスラヴィアに留学していて、ユーゴについてはその時の人間観察が中心となっている。「上司が旧ソ連派だったため拷問にあった下宿の主人、劇的な体制の変化により不可解な死をとげた元外交官」を間近で見ていた著者。まさに、「歴史の表面には出てこない人々の素顔が浮かび上がってくる」のです。
ポーランドについては、主に八十年代後半に著者が行った要人への聞き取り調査をもとに書かれている。どちらか一方に偏ることなく、ある一定の距離を保ちながら行った調査。時折挟まれる著者の意見は率直で、かつ真摯。当時のポーランドの政治情勢について疎い自分にとっては、なかなか難しい個所もあったが、それも含めて読み応えがあった。