きょうの日本民話 gooブログ編

47都道府県の日本民話をイラスト付きで毎日配信。

1月31日の日本民話 幽霊のたのみ

2009-01-31 15:34:44 | Weblog

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 1月の日本民話


1月31日の日本民話


幽霊のたのみ



幽霊のたのみ

大阪府の民話大阪府情報


 むかしむかし、大阪の上本町(うえほんまち)に、夜になると若い女のゆうれいが現れて、道行く人々を追いかけてくるという、うわさがたちました。
 ですから、町の人たちは日がくれると早やばやと戸じまりをすませて、家から外へ出ないようにしていました。
 ある夜ふけの事です。
 用事で出かけていた十作(じゅっさく)という男が、五平(ごへい)というお供の者をつれてかえってくると、
「お待ちください、お待ちください」
と、後ろからよびとめる者がありました。
 若い女の声ですが、十作がふり向いてみても、だれの姿も見えません。
「はて。おかしいな? だれもおらぬぞ。お前にはきこえなかったか?」
 十作が後ろにいる五平にたずねると、五平はブルブルとふるえながら、
「はい、きこえました。たしかにきこえました。うらめしそうな女の声です。町の者たちがうわさをしている幽霊(ゆうれい)かもしれません」
「うむ。声はすれども、姿は見えぬか。わしのような無骨(ぶこつ→れいぎをしらないもの)な者には、幽霊も姿を見せぬのだろう」
 十作はそんな冗談をいいながら、夜道を歩き出しましたが、
「お待ちください、お待ちください」
 また、よぶ声がきこえたのです。
 ふりかえると、道のまん中に、年のころは二十歳ばかりの女の人がたっていました。
 顔は青ざめて髪をみだし、腰から下は暗くてよく見えません。
 十作はあまりおどろきませんでしたが、五平は、
「わっー!」
と、声をあげて、十作の後ろにかくれました。
「おぬし、何の用があってよびとめるのじゃ。動くな! それより近くによれば、きりすてるぞ!」
 十作は、腰のに手をかけながらいいました。
「お待ちください。わたしはこの近くの者です。あるお店のだんなさまと好きあうようになりましたが、その方の奥方(おくがた→奥さん)にうらまれて殺されたのです。夜ごとこのあたりを歩いては、人をよぶのですが、みな、わたしの姿におどろいて逃げてしまいます。でも、あなたさまは足をとめてくださり、うれしゅうございます。どうか、わたしの力になってください」
 若い女のゆうれいは、青白いなみだを流しながら言いました。
「話はわかったが、力になってくれとはどういうことじゃ? まさかわしに、その奥方に仕返しをしてくれと言うのではなかろうな。そんな事は、わしには何の関係もない事。ごめんこうむる」
「・・・・・・」
「もう、だれもうらまないほうがよい。ここであったのも何かの縁。わしがそなたをねんごろにとむらってやるから、こんなところに出て来るなよ」
 十作がいうと、女のゆうれいはうれしそうに、
「それは、ありがたいことです。けれどもその前に、お頼みしたいことがあるのです。実はわたしのおなかに子がやどっています。わたしは死んでいるのに、おなかの子は元気にそだっているので、だんだん苦しくなってきます。どうかその刀で、わたしのおなかをやぶって子どもを出して、わたしを楽にさせてください」
「なんと・・・」
 さすがの十作も、これにはおどろきました。
 そして、ゆうれいのおなかに目をやりました。
 腰から下は暗くてよくはわかりませんが、そう言われれば、なんとなくおなかのあたりがふくらんでいるようにも思えます。
「しかし、そんな事は頼まれても、わしにはできぬ」
 十作はことわると、そのまま歩きさろうとしました。
 すると若い女のゆうれいは、それこそうらめしそうなほそい声で、
「この事、かなえてくださらなければ、これからはいつまでも、あなたさまをうらみますよ」
と、いうのです。
 たまたま出会った幽霊の身の上をきいてやったばかりに、うらまれて、これからもずっとつきまとわれるなんて、そんなバカげた話しはありません。
 これこそ、さかうらみというものです。
 十作ははらがたちましたが、でも考えてみれば、気の毒な気もします。
「よかろう。その願いかなえてやろう」
 十作は決心をすると、わきざしをぬいて、幽霊のそばへよっていきました。
 そして、半分見えないおなかのあたりにわきざしのきっさきをつきいれて、ぐいと横にひきました。
 空気をきるようで、なんの手ごたえもありません。
 あいては幽霊ですから、血もでません。
(きっている気がせんが、これでよいのか?)
 ところが若い女の幽霊は、ほっとした顔をしながら、
「ああ、ありがとうございました。これですっかり楽になりました」
と、いうと、かき消すようにやみの中へきえていきました。
「うむ、じょうぶつせいよ」
 十作は刀をしまうと、お供の五平をつれて家へと帰っていきました。
 その日以来、十作はこの道を通ることはありませんでしたが、その後このあたりでは、元気のいい赤んぼうのなき声と、その子をあやす若い女の声がきこえてくるという事です。


おしまい


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1月30日の日本民話 待ちきれずに

2009-01-30 15:05:42 | Weblog

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1月30日の日本民話


待ちきれずに



待ちきれずに
京都府の民話京都府情報


 むかしむかし、京の都の五条堀川(ごじょうほりかわ)に、八郎兵衛(はちろべえ)という米屋がいました。
 八郎兵衛には宗一郎(そういちろう)という十六才になる息子をはじめ、十人の子どもがいましたが、おくさんは十人目の子どもが生まれてまもなく、病気でなくなってしまいました。
 ある時、八郎兵衛は子どもたちにるすをたのみ、二日がかりで大津(おおつ→滋賀県)まで、でかけることになりました。
「しっかりたのんだぞ。びんぼう米屋で、とられるものなどなにもないが、夜は戸じまりをきちんとな」
 八郎兵衛は一番上の宗一郎によくいいきかせて、大津へでかけていきました。
 るすをあずかる宗一郎は、夜になると近所の子どもたちを家によんで、みんなで百物語をはじめました。
 ですが宗一郎の家には、百本ものろうそくなどありません。
 あつまった子どもたちは、ろうそくのかわりにあんどんの灯で百物語をはじめました。
 話しが四十、五十とかたられていくうちに、こわくなった子どもたちは、一人さり、二人さりして、八十話がすぎるころには、近所の子どもばかりではなく、宗一郎の弟たちもほかの部屋へいって、ふとんをかぶってねてしまいました。
 のこっているのは、宗一郎だけでした。
 もう十数話かたれば、百になるのです。
 百の話しをしたあとに、どんな事がおこるか楽しみにしていた宗一郎はがっかりです。
(だれもいなくなっては、しかたがない。それならあとは、自分一人でかたってみよう、何が出るか楽しみだ)
 宗一郎はその前に手あらいにいっておこうと、うら口から出て外の便所(べんじょ)へいきました。
 そしてどんな話しをしようかと考えながら、家の中へもどろうとしました。
 すると、うしろから白くてほそい手がのびてきて、いきなり宗一郎の足首をつかんだのです。
 宗一郎はビックリ。
「な、なっ、なにものだ!」
 するときゅうに生あたたかい風がまきおこって、目の前に赤ちゃんをだいた若い女が現れました。
「百物語がおわるのを待っていましたが、どうやら百までかたられそうもないので出てきました。わたしはこの近くへ嫁にきたもので、あなたの家でお米を買ったこともあります。実は五年前、この子をうもうとしましたが、どうしたことかお産のとちゅうで、この子と一緒に死ぬ事になってしまったのです。けれども、だれもわたしたちをとむらってくれません。いまだにこうしてこの子をだいたまま、やみの中をさまよっているのです。どうか、わたしたちが成仏できるように、千部(せんぶ)のお経をよんでください」
 話しをきいて宗一郎は気の毒だとおもいましたが、けれども千部のお経をよめとは大変な事です。
「話しはわかりましたが、そんな事はとてもできません。わたしの家はまずしい米屋で、まだ小さなものがたくさんいます。そのめんどうをみたり、家や店のしごともあります。千部のお経をよむひまなど、とてもありません。ですが毎日、母に念仏をとなえていますので、それと一緒ではだめでしょうか?」
 宗一郎の言葉に、赤ちゃんをだいた女のゆうれいは首を横にふりました。
「いいえ、千部のお経でなければだめなのです。・・・あの、それではそこにあるカキの木の根もとをほりかえして下さい。わたしが少しずつたくわえたお金があります。それをさしあげますから、どうか千部のお経をよんでください。お願いです」
 そういうと、赤子をだいた女のゆうれいは姿を消してしまいました。
 次の日、父親の八郎兵衛がもどってくると、宗一郎はすぐに昨日の話しをしました。
 そして父親と二人でカキの木の根もとをほってみると、本当にお金が出てきました。
と、いっても、お金はとてもわずかなもので、くらしのたしなどにはなりませんが、八郎兵衛親子はそのお金をありがたくいただくと、ふしあわせだった若い親子のために、お店を休んで千部のお経をよんでやりました。
 この事があってからか、八郎兵衛の米屋はとてもはんじょうして、この辺りでは一番大きな米屋になったという事です。


おしまい


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1月29日の日本民話 キツネの倉

2009-01-29 14:57:34 | Weblog

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1月29日の日本民話


キツネの倉



キツネの倉
鹿児島県の民話鹿児島県情報


 むかしむかし、あるところに、一人の男がいました。
 男が荒地(あれち)を畑にしようと、ほり起こしていたら、
「ガチン!」
と、クワが思いっきり石をたたいたのです。
「しまった!」
 クワがわれてしまったので、男はクワをなおしてもらうために鍛冶屋(かじや)へ行きました。
 その途中、手に棒を持った子どもたちが、捕まえたキツネを叩いていじめていたのです。
「こら、お前たち、やめねえか。キツネがかわいそうだろう」
「おらたちが捕まえたキツネだ、おらたちの勝手だろう」
 子どもたちは、キツネをいじめるのをやめません。
 そこで男は、
「なら、そのキツネをおらに売ってくれんか?」
 男はクワを鍛冶屋でなおしてもらうためのお金を子どもたちにやって、キツネを買いとりました。
 そしてキツネを子どもたちのいない所へ行って逃がしてやろうと思ったところで、ふと我にかえりました。
「おらは、何をやっているんじゃ。新しい畑を作るにはクワがいる、そのクワをなおしてもらうには、鍛冶屋にはらうお金がいる。でも、そのお金がなくなってしもうた。キツネがクワをなおしてくれるのならともかく。・・・こりゃ大変だ。キツネよ、悪いがそういう事だ」
 男はまた子どもたちのところへ行って、キツネを渡してお金を返してもらいました。
 すると子どもたちは、前よりもキツネをいじめるのです。
 それを見かねて、男はまた子どもたちのところへ行くと、
「やめてくれ、今度は本当に買うから」
と、またお金を渡して、キツネを買い戻しました。
 そしてキツネを山へ連れて行き、
「もう、二度と捕まるなよ」
と、言って、逃してやりました。
 数日後、男の家にあのときのキツネがやって来ました。
「この間はあぶないところを助けていただいて、ありがとうございました。お礼に何か差し上げたいと思います。私の家にはキツネの倉(くら)といって、何でも無い物は無いという倉があります。あなたの望みのものを好きなだけお持ち下さい」
と、いうので、男はキツネと一緒にキツネの倉へ行きました。
「これがキツネの倉です。どうぞ、中へ入って好きなものをとって下さい」
 喜んだ男が倉の中へ入っていくと、キツネが倉の戸をバタンと閉めました。
 そして大きな声で、
ドロボウだ! 倉にドロボウが入ったぞ!」
と、さけんだのです。
 そして、あちこちからたくさんの人が集まってきて、
「ドロボウは殺せー! ドロボウを殺すんだー!」
と、言うのです。
 倉に閉じこめられた男はビックリ。
「ちがう、ちがう、おらはドロボウでねえ」
と、いいましたが、外の人たちは聞いてくれません。
「ドロボウは殺せー! ドロボウを殺すんだー!」
 男はこわくなって、倉のすみっこでブルブルとふるえていました。
「だっ、だまされた。キツネにだまされたんだ」
 しばらくすると外の騒ぎがおさまって、倉の戸がガラガラと開きました。
 そしてさっきのキツネが、
「ビックリさせてすみません。さあ、クワでも着物でもお金でも、好きなものを持てるだけ持って、出てきてください」
と、言いました。
 男はわけがわからず、言われたまま、持てるだけの物を持って倉から出てきました。
「どうでした? さっき閉じこめられた感想は」
「恐ろしかった。生きた心地もしなかった」
 男がそう言ったので、キツネは満足そうにうなずくと、
「そうでしょう。実は私も先日、同じ思いをしました。あなたに助けてもらったときは、心の底から喜びましたが、その後でまた子どもたちに返されたときには、もう生きた心地はしませんでしたよ。そして再び助け出されたわけですが、あの時のことを考えると、今でも体がふるえます」
と、言ったという事です。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


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1月28日の日本民話 白竜湖の琴の音

2009-01-28 15:37:16 | Weblog

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1月28日の日本民話


白竜湖の琴の音



白竜湖の琴の音
山形県の民話山形県情報


 むかしむかし、置賜平野(おきたまへいや→山形県)の村々は、日照りが続いてこまっていました。
 村人たちは山の神や水の神に火をたいて、何日も何日も雨ごいをしましたが、一てきの雨も降らずに、太陽が照りつけるばかりでした。
 こまりはてた庄屋(しょうや)さんが、巫女(みこ)のところへ出かけていって、水神(すいじん)さまに雨が降るようにお願いしてもらうことを頼みました。
 巫女が湖の岸辺の水神のほこらの前でお祈りをしたところ、しばらくして巫女の口を通じて、
「わしは湖に住む竜神(りゅうじん)じゃが、わしもそろそろ嫁が欲しい。村の中から嫁を選び、三日のうちに嫁入りをすれば雨を降らせよう」
と、お告げがあったのです。
 村人全員が庄屋さんのところへ集まり、どこの娘がよいかと話しあいましたが、自分の娘を嫁に出そうという者がおらず、いつまでたっても決まりませんでした。
 その時、こまりはてた村人たちの前へ庄屋さんの娘が進み出て、
「村の為なら、喜んで竜神の嫁になりましょう」
と、申し出たのです。
 急な事なので嫁入り道具が何もありませんが、娘の大切にしていた琴(こと)を持たせて、白い晴れ着姿の娘を村人たちは湖の岸辺まで見送り、泣き泣き村へひきかえした時、雷鳴(らいめい)がとどろいてザワザワと風がふくと、湖のまんなかにすさまじい水ばしらが立って、二匹の竜が天にかけ登って行ったのです。
 二匹のうち一匹の竜は、白い晴れ着姿の娘と同じく、まっ白な竜でした。
 まもなく、二匹の竜が登った空から大つぶの雨が降って、村は救われたのです。
 それから湖は白竜湖(はくりゅうこ)と呼ばれ、霧雨(きりさめ)の降る日には、湖の中から美しい琴の音がきこえてくるという事です。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → ダンスパーティーの日
きょうの誕生花 → レプトスペルマム
きょうの誕生日 → 1981年 乙葉(タレント)


きょうの新作昔話 → 浦島子(うらしまこ)
きょうの日本昔話 → 若返りの水
きょうの世界昔話 → ライオンのメガネ
きょうの日本民話 → 白竜湖の琴の音
きょうのイソップ童話 → ライオンとキツネとシカ
きょうの江戸小話 → とおれ


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1月27日の日本民話 カッパと殿さま

2009-01-27 06:49:47 | Weblog

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1月27日の日本民話


カッパと殿さま



カッパと殿さま
熊本県の民話熊本県情報


 むかしむかし、カッパは遠い中国大陸の奥から、日本にやってきたといわれています。
 日本へやってきたカッパの大将は、九千坊(くぜんぼう)というカッパで、九千匹の子分(こぶん)をひきつれて海をわたり、九州の球磨川(くまがわ→熊本県南部の川で、長さ115キロメートル。富士川・最上川と共に日本三急流の一つ)にたどりついたのです。
 ある時、殿さまがかわいがっていたお付きの者が、カッパに川の中へひきずりこまれて死んでしまいました。
 殿さまは、はげしく怒って、
「カッパを一匹残らずつかまえて、みな殺しにしてやれ! 焼き殺そうが、煮てカッパ汁にしようが、さおにつるして干物にしようがかまわん!」
 殿さまの言葉をきいたカッパたちは、ふるえあがりました。
 殿さまはカッパがほかの地へ逃げないように、お坊さんにカッパ封じのお経を読ませて、川に毒の草を流させ、さらにカッパがきらいだというサルを集めて、逃げまどうカッパをつかまえさせるという、カッパ退治を計画したのです。
 これを知ったカッパの親分は、近くのお寺へとんでいって、和尚(おしょう)さんにとりすがりました。
「これからは、ぜったいに人には悪さをしませんから許してほしいと、殿さまにいってください」
 カッパの親分は、和尚さんに何度も何度も頭を下げました。
 これには和尚さんも心をうたれて、この事を殿さまにつたえました。
 すると殿さまも、
「・・・そうか。それでは、今度だけはゆるそう」
と、カッパ退治は中止になったのです。
 その後も、この地ではカッパのイタズラが何度かありましたが、
 カッパの親分は、
「イタズラをしたのは、きっとよその地から来たカッパでしょう。この地に住むカッパは、あれから一度もイタズラはしていません」
と、いったという事です。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 求婚の日
きょうの誕生花 → ヘリオトロープ
きょうの誕生日 → 1756年 モーツァルト (作曲家)


きょうの新作昔話 → 小判を運ぶネズミ
きょうの日本昔話 → たからばけもの
きょうの世界昔話 → お母さんがあんでくださったボウシ
きょうの日本民話 → カッパと殿さま
きょうのイソップ童話 → 矢にあたったワシ
きょうの江戸小話 → 千手観音


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