あちこちで、蓑虫を見かけている。
hahaさんから、ご質問。
みのむしさんは もう冬支度してたの?
まさか一年中あの家にいるわけじゃないよねー。
どうでもよくない。。知りたい。
蓑虫は、ミノガの幼虫。
日本には、約20種の蓑虫がいるそうだ。
が、幼虫というならば成虫になるのかといえば、オスのみが私たちの知る、あの翅のある蛾になる。
メスは、蓑の中で一生を過ごし、その上、サナギにはなるのに羽化は蓑の中で殻を破るだけ。
蓑の中で、サナギの中で成虫になって、オスを誘うフェロモンを出す。
さて、翅があって飛べるオスが、フェロモンに惹かれてやってくる。
蓑に捕まったオスは、サナギの殻の中に腹部を伸ばして交尾する。
体のほとんどが卵を抱いているメスは、そのまま蓑の中のさなぎの中に卵を産む。
そのオスも、飛びまわれて自由かといえば、成虫のオスは口が退化していて、ない。
メスも、目も足もないものが多く、ほとんどの機能が退化しているらしい。
但しミノガの中には翅を持った成虫になるメスもいるので、種を残すための仕掛けは多様に進化したようだ。
*「進化の舞台の主役と脇役~地球上で繁栄するたような昆虫たち、人とのかかわり」九州大学総合研究博物館
http://www.museum.kyushu-u.ac.jp/INSECT/20/20-1.html
生殖のみのために成虫になる。
だから、彼ら変態の生物は、成虫・幼虫と呼ぶと、人で言う子供・大人とはイメージが異なるのだ。
勘違いしてしまうので、なんかうまい他の呼び方で区別してくれないだろうか。
蓑虫の生態を知れば、まさしく、ミノガではなくミノムシでいる間こそが、彼らの真骨頂な感じが。
あの蓑こそ、彼ららしい、素晴らしい能力じゃないか。
蓑虫を剥がそうとしたことがある人にはわかるだろう、随分丈夫な蓑。
確かに、出ないほうが安全かもしれない。
保温能力はかなりのもので、そして、強い。
ぶら下がっている状態で、風速9メートルまで耐え、カマキリにも鳥にも破られない。
「糸を一定の長さまで伸ばして強度を測定し、単位断面積あたりの強さを比較すると、クモの約2.5倍。
糸の強度はこれまでもっとも強いとされていたクモ以上という。」
*雑学なコラム http://zatsugaku.com/archives/2001/06/post_101.html
これは、チャミノガなのだろうか、オオミノガなのだろうか。
大移動を見かけた植え込みに行ってみたが、駆除されたようで、いなかった。
*みんなで作る日本産蛾類図鑑2
チャミノガ http://www.jpmoth.org/Psychidae/Eumeta_minuscula.html
オオミノガ http://www.jpmoth.org/Psychidae/Eumeta_japonica.html
幼虫で越冬するので、初夏にサナギから成虫になり、タマゴを生む。
6月下旬には孵化し始め、また蓑を作り始める。
*ミノムシが消えた! http://www.museum.tokushima-ec.ed.jp/ohara/oominoga.html
木から、長い糸でぶら下がってきて、風に吹かれる虫を見たことがないだろうか。
あれだ。
つい最近も、公園の木で見かけた。期間と、個体差なのか、ずれは、あるようだ。
そして一年の命。
となると、メスのミノムシは、まさしくミノムシで、ミノガと呼べる蛾らしい人生は送らずに逝くことになる。
蓑の中でタマゴから孵化し、這い出して風に乗って飛び出したその日から蓑作りが始まり、
その後の人生は、すべて蓑の中。
写真に撮ったように、移動するのも蓑ごと。
徐々に大きくしてゆくのは、貝の類の如しだけど、彼らは自然界にあるものを利用している。
なんとも不思議な生態だ。
*ミノガの雌雄形態 http://www.sp.jppa.or.jp/dr_takagi/009/minoga.htm
*富山科学博物館 http://www.tsm.toyama.toyama.jp/public/wadai/kontyu/no237.htm
*所さんの目がテン http://www.ntv.co.jp/megaten/library/date/99/11/1121.html
これは、紅葉しかけてユニークな色彩になった、枯葉。
何かの虫のようだ。
こういう姿を真似て虫の姿形があるのだから、
自分の姿を鏡に写すように見ることのできる、外からの視線を持っているとしか思えなくなってくる。
蓑虫の財布や、時折、衣料なども見かける。
桐生では、蓑虫や蝶を使った帯などもあるらしい。
◎桐生蓑虫工芸
http://www13.ocn.ne.jp/~morihiko/mokuji.html
いろんな蓑作り。
*蓑虫ファッション~晶子のお庭はむしづくし http://www.h2.dion.ne.jp/~usako/minomusi3.html
*福光村昆虫記 草木で覆われた幼虫 http://members.jcom.home.ne.jp/fukumitu_mura/ga2_2.html
まったく命とは、どれほどの多様性でも可能なのだ。
蓑の中にいても凍るような寒さでは死んでしまう。。
蓑虫さん言葉が出てきません。驚きました。
蓑虫の冬の姿だと思い込まされていたのかな?
早速にありがとうございました。
hahaさんのお陰で、私もミノムシの不思議を確認できました。
絶滅危惧種にもなっているオオミノガのミノムシ。
今度は、違いが分かったから、しっかり観察して見るね。
アリガト!