J’sてんてんてまり

はじまりは黎明期。今は、記憶と記録。

Mの大きい地震は発生頻度が少ない

2009年10月13日 | 地震関連・防災
*世界のM4以上の地震(1993年、深さ100km以浅)防災科学技術研究所



今朝4時22分、駿河湾を震源とする最大深度1の地震があった。
8月11日早朝に起きた駿河湾の地震の余震だろう。

大地震、巨大地震が、立て続け、といいたくなるほど頻発している。
気象庁の毎月の発表にも、世界の地震や火山活動の解説分量が多くなった。
■平成21年9月の地震活動及び火山活動について 平成21年10月7日発表
http://www.jma.go.jp/jma/press/0910/07a/0909jishin.html

★9月30日02時48分頃 南太平洋 M8.3 
 震源地/南太平洋サモア諸島(南緯15.3度、西経171.0度
★9月30日19時16分頃 インドネシア付近 M7.6
 震源地/スマトラ南部(南緯0.9度、東経99.9度
★10月8日07時03分頃 南太平洋 M7.8
 震源地/南太平洋バヌアツ諸島(南緯13.0度、東経166.3度
  *この付近を震源とするマグニチュード7以上の余震が以下
    7時18分 マグニチュード7.7
    8時13分 マグニチュード7.1
   17時29分 マグニチュード7.0
■最近起こった大地震の解析結果 筑波大学 八木勇治准教授
http://www.geol.tsukuba.ac.jp/~yagi-y/earthquakes.html


大きな地震は、当然ながら、地殻を波打たせ、遠方まで地震波を送る。

遠方の大地震が次の地震の引き金となることは、ないのか。
このことについては十勝地震等を対象に、研究者が1977年10月にまとめていた。
有珠山噴火を見抜き、住民避難をさせて注目された、北海道大学名誉教授の岡田弘さんが研究したもの。
http://junnews.exblog.jp/4543782/
■巨大地震発生に先立つ定常地震活動の低下 : 離れた大地震でトリガーされた例
http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/handle/2115/14076

すべての地震に影響する、と結論付けられているわけではない。
個人に性格の違いがあるように、地殻にも個性がある。
データも、限られている。

実際に、遠方地震が影響する地震もあり、
いつもよりも地震が少なくなってきた状態が、次の大地震を示唆するケースもある、ということ。

最近では、10月1日には、カリフォルニア大学バークレー校の平貴昭研究チームが、
「世界の地震の首都」と呼ばれるほど、計器類が多く設置されたカリフォルニア州パークフィールドの、
過去22年間の地震データを分析した結果、大地震は次々影響を及ぼすのだという論文を英ネイチャー誌に発表。

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研究チームは、大地震は別の場所に波及し、
時に数か月後に表出するというカスケード効果説を強力に後押しする発見だと主張。
「2004年のスマトラ島沖地震が遠く離れたサンアンドレアス断層に影響を及ぼしていた事実は、
 世界中の活断層が同様に影響しあい、弱体化していく可能性を示している。
 スマトラ島沖地震から3年以内にM8以上の大地震が比較的多く発生している点も、これを裏付けている」
としている。
研究チームは、地震波の変化と微小地震の発生数を定量化すれば、
次にずれる断層を特定する方法が開発できるとして、
研究結果が断層の強度を測定し地震を予知する技術の開発につながることを期待している。

■大地震が地球の裏側の断層に影響、地震予知に期待 AFPBBニュース
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2648548/4699642
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ただしこの主張も、04年のスマトラ沖地震に限ってのデータの話。
平さんは、科学者として真摯に答えている。
「これらの地震の間に関連性があるのか、という問いはとても興味深い。
 しかし、私たちには何もまだわかっていない。
 私たちの発見が正しければ、これらの地震が互いに関連している可能性はある。
 しかし結論づけるのはまだ早い。地震の関連性を示す証拠は、まだ何も見つかっていないのだ」。
■サモアとスマトラの地震の関連性は? ナショジオ10月5日
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=76426906&expand


しかし岡田さんの言う「定常地震活動の低下」は、微小地震の増加によってもたらされるのだろうか。
だとすれば、この二つの研究は、合致することになるのだが。
一方で、マグニチュードが大きくなるほど、地震の発生は少なくなる、という定説があったはずだ。

        日本列島とその周辺のM6以上の地震の発生回数の積算グラフ(1885年~1995年、深さ100km以浅)
        *防災科研 http://www.hp1039.jishin.go.jp/eqchr/eqchrfrm.htm

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より規模の大きな地震の分布を見る。
(略~)地震の規模Mが大きくなるにしたがって、その発生頻度は著しく低下し、場所も比較的限られている。
この場合、Mが1大きくなると、発生する地震の数は約10分の1になるという規則性が知られている。

■日本の地震活動 2-1 日本列島とその周辺の地震活動
http://www.hp1039.jishin.go.jp/eqchr/eqchrfrm.htm
◇地震の発生回数は、地震が大きくなるほど少ない
 マグニチュードが1上がると、頻度はほぼ1/10に減る
◇マグニチュードと頻度の関係
  log N = C - bM   log n = c - bM ; c = C + log b
     N:マグニチュードがM 以上の地震の総数
     n:マグニチュードがM -0.5とM +0.5の間にある地震の数
     b (b値)はほぼ1に近い数、地震が起こる場所の性質を反映
 不均一な場所ほど、bが大きい(小さい地震の数が相対的に多い)
◇地震が小さくなる程、発生回数が多くなる理由
 小さい地震の方が、断層が小さいので、選択しうる場所の数が多い。

●兵庫県立大学
http://www.sci.u-hyogo.ac.jp/life/geology/lecture.files/res4a.html
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そうそう起こるものではない大地震、巨大地震が、今、ラッシュの時期なのか。。。
それとも、人類がいまだ知らぬ新たな地球の活動期なのか。
いずれにせよ、研究や分析はそれぞれ展開され、地震予知に新たな可能性が開かれるかもしれない。
その道を閉ざすのは、懸命ではないだろう。
過去、外れた予知はあまたある。
しかし、そこから次の理論や解析が開けて来るのが、科学の姿。
東海地震発生は2004年2月とした計算も、ネット上で見ることができる。
このように。

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だが、臨界点をある時点に設定したとき、ついにその理論式がほぼ完全なフラククル式として成立した。
「そこで導き出された臨界点の位置、つまり東海地震が発生するであろう時期というのが、
 2004年2月±0・8ヵ月だと算出できたのです」
 *(「フラククル式」は「フラクタル式」の誤値と思われる。)
■日本地震情報研究会 2001年7月7日地震情報日誌
http://homepage2.nifty.com/quake/shiryou/shiryou1.html
■五十嵐丈二博士のフラクタル地殻解析理論と御前崎・掛川データの衝撃 地震予知論と多元的厳密科学
http://members.jcom.home.ne.jp/proton.news/5_earthquak/5_file/5_2.html
(五十嵐丈二教授は平成15年11月より東北大学大学院理学系研究科 地震・噴火予知研究観測センター 教授、2006年3月逝去)
http://www.eqchem.s.u-tokyo.ac.jp/member/oldmember.html
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また一方で、ひずみのたまる時間を計算し、臨界値に達するまでを算出したのが、下記。
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 駿河・南海トラフでは,100年くらいの周期で巨大地震が繰り返し発生していたようだ。
~中略~
地震によって解放された陸側プレートの応力が地震発生直前の水準に戻るには,
解放された量に比例した回復時間が必要になる。
この「時間予測モデル」で計算したところ,次の地震は2015年前後に起きると出た。
南海地震が起きる30年くらい前から,西日本ではM7級の地震が頻繁に起きるようになる。
1995年の阪神淡路大震災や2000年の鳥取西部地震などがその兆候とみられる。

■日経サイエンス2002年10月号 特集:どうなる東海大地震「日本の半分を襲う複合巨大地震」
http://www.nikkei-science.net/modules/flash/index.php?id=200210_034
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たぶん地球は、天体の運行のように人の尺度では規則正しいスケールと、
活動体としての、予測不可能なスケールとを併せ持つのだろう。
どこまで行っても、群盲象をなでるが如く、全体はつかめないのか、
少しずつでも実態に近づいているのか、後者であることを願うばかり。

■時空間モデリンググループ教授 尾形 良彦
http://www.ism.ac.jp/~ogata/Ssg/ISMnews104-labo_visit.pdf
■地震活動の世界的標準モデルを構築 統計的地震予測の組織的研究
http://www.ism.ac.jp/~ogata/Gekkan_chikyuu.html
■地震予測解析グループ
http://www.ism.ac.jp/~ogata/Ssg/ssg.html


■地震予測、統計で的中 [08/11/14]アスパラクラブ
https://aspara.asahi.com/blog/science/entry/FExooP8UzJ

■東京大学地震研究所 地震予知情報センター
http://wwweic.eri.u-tokyo.ac.jp/index-ja.html



となると、宏観現象も、象のどこかをなでているのであれば、予知には一助となりうる日が来るのだが、
これもまた、一世一代のヒトの世では計りかねる。
翻って、ヒトの身の小ささを自覚し、あるべき姿を自問するしかないか。

我々は、助け合ってしか生きられない動物なのである。


*静岡県地震防災センターの前庭。公衆電話がある。


8月8日の空模様を、8月10日にアップしてあった。
今から思うと、の事後予知なので、どうともいえない。
http://blog.goo.ne.jp/j-tenten/e/f1d25581d5e4a7bb6a251ee5bc55f8d2


10月10日04時14分頃地震がありました。
震源地は静岡県西部 ( 北緯34.8度、東経137.9度)で震源の
深さは約20km、地震の規模(マグニチュード)は3.5
http://www.jma.go.jp/jp/quake/3/440/20091010041944391-100414.html


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