日本裁判官ネットワークブログ
日本裁判官ネットワークのブログです。
ホームページhttp://www.j-j-n.com/も御覧下さい。
 



1 犯罪を犯した人が逮捕され,勾留されると接見禁止となることがある。弁護人以外とは面会できないのである。証拠隠しを画策したり,共犯者と連絡を取って口裏合わせを画策することなどが主な理由である。普通は接見禁止は公訴提起までであるが,第1回公判期日までとされることもある。
2 接見禁止決定がなされている場合に,家族がどうしても面会したいというときには,弁護人が接見禁止の一部解除を申請することになり,裁判官が検察官の意見を聞いた上で,接見を認めることになる。
3 一般に,面会希望者が多いため,全国どこでも同じというわけでもないのだろうが,当地では1回につき10分に制限されている。10分というのは余りにも短くて,アッというまに過ぎてしまう。顔を見て元気であることが確認できれば満足できる場合はそれでよいが,深刻な話がある場合には,余りにも短くて,また会いに行きたいということになる。
4 ところが驚いたことに,弁護士が接見禁止の一部解除を申請して,家族が面会する場合にも,1回10分という制限は同じだというのである。接見禁止でなければ,また翌日にでも出かければ面会できることになる。しかし接見禁止の一部解除による面会の場合には,その都度弁護士が裁判所に申請手続きを取らねばならない。家族の各人の色んな面会の必要に会わせて,その都度その申請をすることになるが,その申請回数が多くなると,さすがに怒りを抑えきれなくなる。接見禁止自体の全面解除や特定人についての全面解除も認められないわけではないが,なかなか容易ではない。さすがに第1回目だけは事実上15分とされているとも言われている。
5 接見禁止が公訴提起までであれば,比較的早くその日は来るが,第1回公判期日までとなると,それまでの期間が長く,弁護士がいろいろと使い走りをさせられることになって大変である。時には第1回公判後も(例えば第2回公判期日まで)接見禁止となる場合もないわけではない。
6 一般にわが刑事司法は,被疑者,被告人の身柄の拘束に関しては,被疑者,被告人に厳しく,保釈にも厳しいと言われているが,安易に接見禁止にし過ぎる傾向も強いように感じる。接見禁止の一部解除で面会する場合には,1回30分を認めるなどのような運用を考えないと,余りにも非現実的で実情にあわない。わが刑事司法において改善が必要と思われる点は甚だ多いように感じられる。(ムサシ)


コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )



« 大物の引退 イタリアに行... »
 
コメント
 
 
 
Unknown (jsds001)
2008-10-21 09:04:39
聴覚障害者なので10分しか会えないとなると、健常者以上に困ると思います。会話に時間がかかることがありますから。弁護士もそのことを考えて延長を主張するべきですし、裁判官もこういう場合に配慮できるだけの、障害者に対する認識を持っていてほしいものです。
 
 
 
親族の除外は励行しています (チェックメイト)
2008-10-24 00:12:16
私は、あまり問題意識を持たずに全面的に接見禁止決定をしてしまったところ、弁護人から準抗告が出て、家族との接見だけは許すべきであったという理由で一部取り消されたという苦い経験があります。
それ以来、検察官の接見禁止の申立てや、弁護人の一部解除の求めを受けた際には、接見禁止の対象から除外すべき親族がいるのではないか、これを除外しなければ弁護人にも過当な負担を掛けることになるのではないかという観点から、細心の注意を払って記録を精査するように心掛けています。
実際問題、犯罪に関係のない親族を除外する決定をしたとしても、それを不服とする検察官からの準抗告は出ないと思います。あまりにも品が無さすぎますから。
 
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。