個人情報保護法が公務員の不祥事を隠蔽するための「隠れ蓑」に悪用されている

2005年08月03日 22時30分36秒 | 社会
個人情報“過剰保護”、自治体で相次ぐ (読売新聞) - goo ニュース

読売新聞が3日付朝刊の1面トップで、「個人情報〃過剰保護〃」「自治体で相次ぐ法の趣旨逸脱」「懲戒教員匿名に 天下り先非公表」という見出しをつけて報じた。これに関連して、34・35面(社会面・対社会面)、関連特集11面で詳報を掲載している。 読売新聞は、4月の個人情報保護法全面施行を受けて、全国の総支局を通じ、5月末から6月初めと7月前半の2回、調査したという。
 この結果、「地方自治体が幹部の再就職先を本人の同意がなければ公表しないよう変更したり、懲戒免職にした教職員の実名発表をやめたりするなど、各地で過剰反応や個人情報とは言えない情報を提供しない事例が相次いでいることが分かった。同法の趣旨を取り違えた『匿名社会』が、広がりを見せている実態が浮かび上がった」という。日頃から「どうもおかしい」と感じていることが、ここまで詳しい調査結果が報道されて、「やっぱり」という思いであり読売新聞のこの調査を賞賛したい。
 基本的人権という「個人法益」を守るためには、個人の尊厳、個人の人格、プライバシー、あるいは肖像権などがしっかりと保護されるのは、当然である。
 だが、中央省庁、都道府県・市町村などの「公的機関」は、どうも「役人保護」のために、この個人情報保護法を利用している傾向が濃厚である。「個人の保護」を「公務員の保護」にすり替えているともいえる。公務員も国民の一員であるから、個人情報が保護されるのは、当たり前だが、「官職」に関連した情報まで保護の対象にして、都合の悪いことは、この法律を隠れ蓑にして何でも隠そうとするのは、言語道断である。
 身近なところでも、「おかしい」と感じられることが現実に起きている。たとえば、ある知人が、大分県医務課に県内のある医療法人の理事長、理事、監事の役員構成について問い合わせたところ、「公益法人の理事長以外の役員については、個人情報に当たるので公表できない」との理由が説明され、文書として開示されたのは医療法人となっている病院名と住所と理事長の名前で、理事などの役員の名前は、すべて黒く塗り潰されていたという。
 確かに医療法人は、「公益法人」の一つである。だが、「商品交換社会」という経済社会においては、「公益法人」も医薬品や医療機器などを購入するなど経済活動に関わっている。医療法人を代表している理事長しか取引に関われないということではない。理事が交渉事などに関与することがあるかもしれない。その場合、取引の相手から見て、本当にその医療法人の理事であるのかどうかを確かめられなければ、安心して取引の交渉に当たることはできないだろう。株式会社の謄本を法務局で取れるのは、ひとえに「取引の安全」を確保するためである。商品交換社会において、営利目的の株式会社と公益目的の医療法人との間に違いがあっていいはずはない。 この医療法人に関しては、理事本人が、「知らないうちに理事を外されているのではないか」と疑い、自分自身のことを確かめようと思って、大分県医務課に情報開示を求めたところ、拒否されたという話もある。ウソのような本当の話である。

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