JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
神奈川中央交通の国鉄連絡常備券
神奈川中央交通(神奈中)は三浦・足柄地区を除いた神奈川県全域と町田市・多摩市といった東京都多摩南西部を走る、小田急グループのバス会社です。バス専業会社としては日本一の規模を誇り、車輌台数においては西日本鉄道に次いで業界第二位の2,000台強を所有するマンモス会社です。
同社は国鉄がJRになってからも平成5年頃まで、東京近郊のバス会社としては珍しい国鉄(JR東日本)線との連絡運輸を行っており、案内所においては連絡定期券の他、乗客からの申し出があれば補充券(補片のみ)による乗車券の発売も行っていました。
しかし、既にバスは「料金箱に運賃を投入して乗車する」ことが一般的であり、また、神奈中独自の磁気カード式のバス回数カードも発行されている環境にあることから、わざわざ連絡乗車券を求める乗客は皆無に等しく、あまり発行実績はなかったようです。
これは昭和29年8月に伊勢原駅前案内所で発行された平塚接続大船ゆきの常備連絡乗車券です。
伊勢原駅から平塚駅までの路線は、平塚駅~豊田本郷駅~大句~伊勢原駅~〆引~大山駅~大山ケーブルまでの通称「大山線」という路線で、現在でも「平91系統」と「伊12系統」として路線が残っています。
途中の豊田本郷駅と大山駅は鉄道との接続が全く無い停留所であるにも拘らず現在でも「駅」を名乗っており、これは国鉄(JR)との連絡運輸をしていた時代の連絡運輸設定駅の名残りなのだそうです。
それではきっぷを見てみましょう。
PJR赤地紋の一般式B型硬券で、発駅表示が伊勢原駅となっているところが特徴的で、いかにもバスの乗車券という感じです。
通用期間は「発売日共2日」で、「下車前途無効」の文字がありません。恐らく途中下車が可能であったものと思われます。
裏面を見てみますと、会社名が「神奈川中央交通會示土」と社名が印刷されています。
同社は昭和26年6月に神奈川中央乗合自動車から現在の社名である神奈川中央交通に商号が変わっていますので、商号改正以後に印刷された券であることがわかります。
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