ふとんの中

トラブルは嫌いだが、考えるきっかけは愛そう。

三峰から連れ帰った音

2018-05-02 06:15:15 | 精神
三峰関連の記事で伏せた事項があって、誤魔化して書いていた。それを解禁する。

前段
1)三峰神社にいる神様と穢れ
2)生霊との遭遇、時間解釈

見えない世界はすぐそこにある話。

ヘロヘロになって帰宅した私は、コヤラちゃんを握ってただいま〜と言った。
その瞬間コヤラちゃんがものすごい形相になったのだ。
《ちょ、おま、誰や!!あんた何連れてきたん?!!》
こんなかんじの顔。(勿論ペイントはずっと同じ顔だ。なのに違う。能面が陰影で表情が変化するように。)
その顔をみて、何かを連れてきてしまった事に気付いた。やっべ…どうしよう。祓い切れなかったのか。

三峰の宿坊の部屋に入った時からずーっと鳴っていたコツコツという音。
そいつがうちに来ていた。それから私の部屋で時折コツコツ音が鳴るようになった。

しょっちゅうではなく、ふとした瞬間にコツ…となるだけなので、特に邪魔ではないし、良いやつか悪いやつかも分からない。
肝心の危険なジュルジュル野犬は自力で祓ってこれたので、コツコツはまぁいいか。
といっても最初はかなりビビって警戒した。
初期は北側玄関から音が鳴っていた。だが少しして反対側の南側の窓からも鳴るようになった。
そしてエアコンのあたり。冷蔵庫のあたり。
段々内側に移動してきている。
内側に入ってきた時は怖がっていたが、次第に慣れていった。

先生に相談すると「良いものか悪いものか判断がつかないけど、悪いようには見えないなぁ」と言われた。
警戒していると何でも恐怖を感じてしまう。フラットに見るのが難しかったけど、その言葉で少し安心した。

コツコツは静かな夜の方がよく鳴る。三峰の事を思い出してる時は頻度が上がる。思考に反応しているのか、何か主張してるのかな、とも思った。
暑い夏の最中は減った。あまりに暑くてへばってるのかも知れない。山の中と都会の暑さは質が違うだろうし。
居ない時期もあった。帰ってしまったのかな、と心配になった。もしくは何かを報告に行ってるのか。
もうその頃から、居ないとちょっと寂しくなっていた。
コツコツを「コッちゃん」と呼ぶようになった。
帰宅した時、「コヤラちゃん、コッちゃん、ただいま〜」と言うようになった。

色々見える人に話を聞きに行った時、コッちゃんの事も聞いてみた。
すると「自身にも目的が分からない」そうだ。
なぜ私についてきたのか、本人にも分からない。迷子なのかお前。奇遇だな私もだ。どこでなら生きられるか、全く分からん。未知数だ。
うちに居たけりゃずっと居な。迷子同士だ。

コッちゃんはいつも単音なのだが、先日は珍しく複音だった。
「私が人を喜ばせたくてやる事は、実は相手の迷惑なのではないか?喜んでるフリをされて、裏では嫌がられるのではないか?」と疑心暗鬼に陥って泣き伏している時だった。
コッ コッ コッ
コッ コッ コッ
一階の住人かとも思ったけど、こんな規則性のある音、しかも場所がどれも違う。遠い、近い、遠い。a、b、c地点、と音の響く距離感が違う。
その音が耳に入ってきて、コッちゃんが呼んでる?と我に返った。

悲しくて泣くのは過去を見ているからだ。過去はそうだったかもしれないが、現在はどうなるか分からない。
コッちゃんが現在に引き戻してくれた。
先生からは
「そうじゃない、絶対違う。嫌がられたり迷惑に思われるなんてないよ。喜ばれるよ。そう言い聞かせなさい。絶対耳を貸しちゃ駄目だ。」
と言われ、闇に引っ張られないよう踏ん張り続けた。

人間不信なのは、食卓で延々と親から人の悪口を聴き続けたからだ。
人って表でいい顔してるだけなんだなあ〜と刻み込まれた。呼ばれるのはその暗い声だ。だから耳を貸さないように、自分で言い聞かせ続ける。でも虚しい。だってそれは自分の声だし。本当に違うのかなんて、信用できるのか分からない。
自分だけでは信憑性が低い時、他人の意見は本当に強い。自己がもっとしっかりしていれば、自分の意見や体感だけで戦えるかも知れないけど、私は生まれ直して少し経った位のお子様だ。だから先生の言葉が何より強かった。

コッちゃんの音で我に帰り、先生に励まされ、人に頼る事をようやく思い出した。1人では無いのだ。そうだ、コヤラちゃんも居たんだ。助けてコヤラちゃん。
コヤラちゃんを握り、目を瞑っておでこを付けた。その瞬間、ブワッと。違う世界みたいな所に連れていかれた。

抱っこ、というかしがみついていた。私はとても小さくて、アリエッティのような小人サイズで、大きいコヤラちゃんのお腹にしがみついて泣いていた。そしてヨシヨシしてもらっていた。
洞窟なのか木の家なのかよく分からないが暖かくて、外は風がそよぐ草原。虹が出ていた。
暖かくホールドされて、しばらくして泣き止んだ。特に言葉は無かったが、温度でわかった。私を好いてくれていて、助けてくれることを。
目を開けると世界は元通り、自分の部屋だけど、心は落ち着いていた。抱っこしてもらった温度や感覚はまだ残っているし、残り香を嗅ぎにいける。何度も反芻した。

先生に報告したら「コッちゃんもコヤラちゃんも、そっちじゃないよ、こっちだよ!って教えてあげたいんだよ」と言われた。
コヤラちゃんはホピのカチーナだから、陰陽でいうと陽、光であるのは頷けるが、コッちゃんの立ち位置がずっと不明だった。
でもあの連続音、どう考えても気付いて!と言ってるとしか思えない。多分いいやつなんだと思う。ありがとう。

三峰から帰った時、コヤラちゃんがすごい顔してかなり警戒していたけど、2人(精霊ってどう数えるんだ?)が一緒になって慰めてくれたと思うと、もうこの部屋に順応して一緒に生活してるんだと思う。あれからもう10ヶ月だ。
1人暮らしだけど1人では無い。それはすごく楽しい。

耳は昔から非常に過敏で、階下の親の足音、階段を上ってくる音を聞き分けて警戒体制を取っていた。兎の耳だ。(仲間いるよね?)
昔は自分を感覚過敏だと思っていた。鼻も目もよく効いた。外情報を取り込みすぎて具合が悪くなっていた。

でも聞こえるのは悪くない。ジュルジュル野犬は最悪だし願い下げだけど。人間ではない同居人。
いつまでもとは、ワガママ言わん。なるべく長く楽しく一緒に過ごせるように祈る。
そしてお互い迷子でなくなったら、道が見つかったら嬉しい。

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