日本人MBA受験生にとってトップスクールの一角であるINSEADが日本人をどう見ているのかは非常に気になるところだと思います。そこで、INSEADシンガポールキャンパスに在籍している学生3人でMarketingのAssistant DirectorであるKarla Wallerに、INSEADの日本人学生感や最近の傾向、アドミッションプロセスなどについてINSEADのBar Areaで話を聞きました。(2007年11月)
(インタビューをしたSingaporeキャンパスのバー)
なおインタビューを受けていただいたKarla Wallerはシンガポールに拠点を置いて東アジア(除く中国)のマーケティング活動をしていらっしゃる方です。日本にもかなりの頻度ででかけているとのことでした。
- 日本人学生の応募数の傾向は?
「日本人学生の数は減ってきている。特に日本人学生のニーズが高まっているのにもかかわらず減少傾向にあるのは非常に残念。昨年ではINSEADでは企業派遣の絶対数が減っているのと日本人がMBAローンを組みたがらないのが原因だと感じている。」
- 日本人学生についてどう感じているか?
「日本は世界第2位の経済大国であり、ぜひもっと多くの日本人に受験をしてほしいと思っている。特に最近は日本人の応募数が減っているので大きなチャンスだと思う。」
- 日本人受験生にとってINSEADの要求は非常に高い印象があるが。
「多くの日本人受験生がそう感じているのは認識している。例えばGMATに関していえば650を超えていてVerbalとQuantitativeのバランスがよければチャンスは十分にある。他国の学生に比べ多くの日本人学生が自ら可能性を閉ざしてしまっているように感じており非常に残念。」
- 出身企業は選考プロセスに影響を与えているのか?
「全く気にしていない。全員を大企業出身者ではINSEADの特色である多様性を維持できない。ただ、近年は日本人受験生が減少傾向にあるため、同一の企業出身でも適正があれば合格を出しているケースもある。ただし、企業の規模にかかわらずプロフェッショナルとして(望むらくは平均以上の)アチーブメントを企業の中で出しているかどうかについては注意深く見ている。」
- 選考過程についてはどうか
「公表している4つのクライテリアで評価している。なお、日本人受験生に対しては特にINSEADの考えるInternationalityを強調したい。INSEADのInternationalityはInternational MotivationであってInternational Experienceではない。例えばインド人の学生で海外経験がない学生は珍しくない。その意味でもInternationalに対するモチベーションがあればぜひ受験をしてほしい。海外経験の全くない日本人学生が「映画を通じて国際的な活動に興味を持ちその実現手段としてINSEADを受験をした」というEssayで合格した例もある。海外で生活や仕事をした経験がなくても国際活動に積極的にモチベーションをもっているのならばぜひ受験を薦めたい。」
「Academic CapacityについてはGPAとGMATで判断している。ただし、INSEADのアドミッションはフランス同様日本の大学では高いGPAを取りにくいことは認識している。選考においてもその点を勘案しているので安心をして欲しい。」
「また、Contributionについてもコメントをしておきたい。このクライテリアでは特に課外活動を重視している。INSEADではDynamicかつOutgoingな生徒を求めており、生徒のQualityには大変こだわっている。INSEADに在学中にクラブの立ち上げや課外活動をリードできる人材であるかどうかは重要な選考基準である。」
- INSEADのほかの学校との違いは?
「まずはどのランキングにおいても常にトップ10にランクされているトップスクールであることがあげられる。また、トップスクールの中では特にDiversityな環境を持っていることが大きな特徴。特にDiversityの度合いはどの数値を見ても米国、欧州の他のトップスクールと比べずば抜けている。また、Intensiveであること、FacultyもDiversifyしていることも大きな差別化のポイントであると感じている。」
- 日本人の学生にとってのINSEADを受験するメリットは?
「日本企業はこれから国際化を本格的に始めるフェーズにある。INSEADの卒業生はそのような日本企業のチャレンジをサポートすることが可能であると思う。また日本人受験生にとっては、日本企業の国際化に対する準備期間を経験する場としてINSEADは貴重な存在であると思う。」
- 日本での今後のマーケティング活動は?
「米国MBAと比較するとINSEADは日本におけるブランドがまだまだ弱いと感じている。例えば受験生の家族でINSEADを知っている人はやはり少ないであろうと思う。そのため今後も重点的にマーケティング活動を行っていく予定である。」
「現在は秋と春を中心にマーケティング活動を行っている。MBA TourやWorld MBA Tourには積極的に参加しており予備校にも積極的にコミュニケーションをとっている。また、コンサルティングファームやインベストメントバンクと協力したセミナーも積極的に展開している。近年ではFaculty Master Classというプロフェッショナル向けセミナーも新たな取り組みも展開している。」
- 最後に一言
「マーケティング活動で協力しているコンサルティングファームやインベストメントバンクからは「日本語が母国語のINSEAD卒業生をもっと欲しい」というコメントをしばしば受け取っている。その意味ではINSEADは日本人学生のキャリアにとってポジティブな影響を与えられるポジションにあるとかんじている。ぜひもっと多くの日本人学生に受験をして欲しい。」
インタビューを終えて
インタビューを終わってみるとINSEADを受験した自分たち以上にINSEADにとって日本人の存在が非常に大きいことが印象的でした。インタビューの中で何度もKarlaが触れていたのは「もっと多くの日本人にINSEADを受験して欲しい」「受験という点では日本人学生がINSEADの評価基準(クライテリア)を誤解しているのでは」ということでした。ぜひ「International Experience」がなくても「International Motivation」をもっている方ぜひチャレンジしてください!
最後にインタビューをさせていただいたKarlaは日本からの直接の問い合わせも大歓迎だということなので下記に連絡先を載せておきます。直接INSEADとコンタクトをして見たい方はぜひ連絡をしてみてください。
Karla Waller
Assistant Director, Marketing
MBA and EMBA programmes
E-mail : karla.waller [atmark] insead.edu
*:[atmark]は@に置き換えてください。