昨夜、ＮＨＫの特別番組“ワーキングプア・Ⅲ”「解決への道」を見たが、韓国、イギリス、アメリカの例を紹介しつつ、わが国の課題にふれていた。「市場原理主義」が生んだいわば経済社会の“鬼子”が、政治の足元を危うくしつつあるのだ。「市場原理主義」のグローバル化によって、先進国のみならず中国、インドなど発展途上国にもこの現象は生じているとも聞く。
“アメリカン・ドリーム”などという言葉はとっくに「死語」になったアメリカの貧困率は17％（06年）で世界第一位、わが国が15.3%で第二位という。戦争大好きのアメリカの来年度の国防予算は総額6960億ドル（約79兆円）、わが国の国家予算に迫る額が計上されているが、よく暴動が起きないものだと感心する。もっとも、報道機関は一部勢力の支配下にあって、大多数の国民は“真実”から遮断された状況に置かれているのだろう。
「市場原理主義」とは「弱肉強食主義」と同義語である。経済の仕組みを市場に任せてしまえば強い者が勝つに決まっている。それでは“社会正義”に反するから負け組みの救済策を講じるというのが国家による勝ち組「規制策」であり、これが安定した市民社会の基盤になっていた。こんなことは中学生程度の一般常識であり、社会通念でもあったのだ。ところが「市場原理主義者」小泉純一郎らの口車に乗せられた「電波芸者」たち、つまり“みのもんた”を筆頭に一部の政治屋、学者、評論家、司会者どもが煽りまくって一般常識や社会通念を崩壊させ、「強い者勝ち」の風潮をつくりあげた。恥知らずの御手洗経団連会長率いる大企業が空前の利益を上げる中で「ツクラレタ」のが“ワーキングプア”なのだ。
「市場原理主義」は共産主義国家・中国さえをも席捲している。つまり、「市場原理主義」は世界を席捲しつつあるとみていいだろう。いわゆる「グローバル」化、「グローバリゼーション」である。「グローバリゼーション」とはどういうことか。昨年、惜しまれながら亡くなった作家・米原万里さんは『米原万里の「愛の法則」』（集英社新書）で「グローバリゼーションのほんとうの意味」と題し明解に書いている。
＜グローバリゼーションというのは、英語ですから、イギリスやアメリカが、自分たちの基準で、自分たちの標準で世界を覆いつくそうというのがグローバリゼーションです。…
…日本人が言っている国際化は、国際的な基準に自分たちが合わせていくという意味です。
アメリカ人が言うグローバリゼーションは、自分たちの基準を世界に普遍させるということです。自分たちが正当であり、正義であり、自分たちが憲法である。これを世界各国に強要していくことがグローバリゼーションなのです。
つまり、同じ国際化といっても、自分を世界の基準にしようとする「グローバリゼーション」と、世界の基準に自分を合わせようとする「国際化」とのあいだには、ものすごく大きな溝があるわけです。正反対の意味ですよね。これを私たちはちゃんと自覚するべきだと思います。…＞
「市場原理主義」の「グローバル」化とはどういうことか、米原万里さんは同時通訳という自らの職業を通して端的に教えてくれている。
テレビが紹介する“ワーキングプア”はほんの一握りの姿に過ぎなかったが、「拡大する勤労貧困層」韓国、「貧しい人は奈落の底に落ちるしかない」アメリカ、「貧困の連鎖にはまる」イギリスから、展望のない生活にあえぐ人々の増大が世界中に拡散していく恐ろしさを感じた。
“ワーキングプア”の存在を「格差社会」ともいう。すでにこの表現は現実にそぐわない言葉で、正しくは「差別社会」と言うべき状況が生じていないか。「差別問題」に関してはいずれ改めて書きたいが、ここでは民俗学者・色川大吉氏の見解を紹介するにとどめたい。「差別は絶えず再生産されるとともに下へ下へと移譲される。落ちこぼれの少年がホームレスを襲ったり、いじめにあってる子がペットを虐待するのはその例だ」（注：いま出所を確認できない）という。段階的に下層民を創造することによって支配権を確立してきた歴史はいまも生きている。
“ワーキングプア”の問題を考える時、半世紀前、4年半を「臨時工」として過ごした体験から、わが国最大の労働組合組織“連合”の運動体としての機能に大きな疑問を投げかけずにおれない。正社員中心の“連合”の労働運動は「労働の尊厳」、ひいては「人間の尊厳」を貶めていると言うしかない。ここに、貴重な動画があるので、ぜひ見てほしい。田中康夫参議院議員が「労働者派遣法」改正に関し見解を述べているが、国会にこういう人物もいることに注目しておこう。
「田中康夫」：http://202.90.10.24/janeye/senkyo/4113/4113_3.html
“アメリカン・ドリーム”などという言葉はとっくに「死語」になったアメリカの貧困率は17％（06年）で世界第一位、わが国が15.3%で第二位という。戦争大好きのアメリカの来年度の国防予算は総額6960億ドル（約79兆円）、わが国の国家予算に迫る額が計上されているが、よく暴動が起きないものだと感心する。もっとも、報道機関は一部勢力の支配下にあって、大多数の国民は“真実”から遮断された状況に置かれているのだろう。
「市場原理主義」とは「弱肉強食主義」と同義語である。経済の仕組みを市場に任せてしまえば強い者が勝つに決まっている。それでは“社会正義”に反するから負け組みの救済策を講じるというのが国家による勝ち組「規制策」であり、これが安定した市民社会の基盤になっていた。こんなことは中学生程度の一般常識であり、社会通念でもあったのだ。ところが「市場原理主義者」小泉純一郎らの口車に乗せられた「電波芸者」たち、つまり“みのもんた”を筆頭に一部の政治屋、学者、評論家、司会者どもが煽りまくって一般常識や社会通念を崩壊させ、「強い者勝ち」の風潮をつくりあげた。恥知らずの御手洗経団連会長率いる大企業が空前の利益を上げる中で「ツクラレタ」のが“ワーキングプア”なのだ。
「市場原理主義」は共産主義国家・中国さえをも席捲している。つまり、「市場原理主義」は世界を席捲しつつあるとみていいだろう。いわゆる「グローバル」化、「グローバリゼーション」である。「グローバリゼーション」とはどういうことか。昨年、惜しまれながら亡くなった作家・米原万里さんは『米原万里の「愛の法則」』（集英社新書）で「グローバリゼーションのほんとうの意味」と題し明解に書いている。
＜グローバリゼーションというのは、英語ですから、イギリスやアメリカが、自分たちの基準で、自分たちの標準で世界を覆いつくそうというのがグローバリゼーションです。…
…日本人が言っている国際化は、国際的な基準に自分たちが合わせていくという意味です。
アメリカ人が言うグローバリゼーションは、自分たちの基準を世界に普遍させるということです。自分たちが正当であり、正義であり、自分たちが憲法である。これを世界各国に強要していくことがグローバリゼーションなのです。
つまり、同じ国際化といっても、自分を世界の基準にしようとする「グローバリゼーション」と、世界の基準に自分を合わせようとする「国際化」とのあいだには、ものすごく大きな溝があるわけです。正反対の意味ですよね。これを私たちはちゃんと自覚するべきだと思います。…＞
「市場原理主義」の「グローバル」化とはどういうことか、米原万里さんは同時通訳という自らの職業を通して端的に教えてくれている。
テレビが紹介する“ワーキングプア”はほんの一握りの姿に過ぎなかったが、「拡大する勤労貧困層」韓国、「貧しい人は奈落の底に落ちるしかない」アメリカ、「貧困の連鎖にはまる」イギリスから、展望のない生活にあえぐ人々の増大が世界中に拡散していく恐ろしさを感じた。
“ワーキングプア”の存在を「格差社会」ともいう。すでにこの表現は現実にそぐわない言葉で、正しくは「差別社会」と言うべき状況が生じていないか。「差別問題」に関してはいずれ改めて書きたいが、ここでは民俗学者・色川大吉氏の見解を紹介するにとどめたい。「差別は絶えず再生産されるとともに下へ下へと移譲される。落ちこぼれの少年がホームレスを襲ったり、いじめにあってる子がペットを虐待するのはその例だ」（注：いま出所を確認できない）という。段階的に下層民を創造することによって支配権を確立してきた歴史はいまも生きている。
“ワーキングプア”の問題を考える時、半世紀前、4年半を「臨時工」として過ごした体験から、わが国最大の労働組合組織“連合”の運動体としての機能に大きな疑問を投げかけずにおれない。正社員中心の“連合”の労働運動は「労働の尊厳」、ひいては「人間の尊厳」を貶めていると言うしかない。ここに、貴重な動画があるので、ぜひ見てほしい。田中康夫参議院議員が「労働者派遣法」改正に関し見解を述べているが、国会にこういう人物もいることに注目しておこう。
「田中康夫」：http://202.90.10.24/janeye/senkyo/4113/4113_3.html