「秋日和」

「伝説の女優 桑野通子と桑野みゆき　――母と娘が紡いだ、一瞬の夢」

「秋日和」1960年　松竹　監督：小津安二郎

亡き友の三輪の七回忌に集まった間宮（佐分利信）、田口（中村伸郎）、平山（北竜二）の三人は、未亡人の秋子（原節子）とその娘アヤ子（司葉子）と談笑するうち、年頃のアヤ子の結婚に話が至る。三人はなんとかアヤ子を結婚させようと動き始めるが、アヤ子は母親が一人になることが気がかりでなかなか結婚に踏み切れない。間宮の紹介で知り合った後藤（佐田啓二）とアヤ子がお似合いだと考えた三人は、アヤ子が嫁ぐ気になるためにはまず母親が再婚することが先と思うがうまくいかず、秋子の再婚相手として話が進んでいると勘違いした平山は一人有頂天になる。

ひっさしぶりに小津映画を見る。やっぱり変だ。変だけど癖になるこのショット、間合い。
七回忌でのオヤジトークのドすけべ度合い。当然ガールズトークより共感持てる。
中村伸郎節炸裂。もっとやってもっとやって、となる。
本作で完全に三枚目の北竜二。とぼけた感じ、はしゃいでる感じ。痒い所はどうして納めるのでしょう。
佐分利信が一番スケベだろう。顔でかいし。



相変わらず濃ゆすぎる美人原節子の浮いた感じ。しかし、これだけ濃ゆい顔していて下品にならない所が奇跡。
1958年最強美女説の岡田茉莉子は1960年になるとやや劣化の兆候が見える。清楚で初心なお譲ちゃん司葉子に一歩譲ってる。
しかし、ここでは岡田茉莉子のコメディエンヌぶりが素晴らしく物語を引っ張る。
しゃっくりしながら「平山君」とやる実家の寿司屋のシーンで笑った笑った。映画で素直に笑えたのも久しぶりな感じ。





もう一人の美人女優、岩下志摩が実は重要（？）な役割。台詞の少ない端役にすぎないが、繰り返し登場することで印象に残っていく。

桑野通子の忘れ形見、桑野みゆきは佐分利信の娘で「紺碧の空」を歌ってます。やはり、声高い。

大学時代からの悪ガキ3人組（三輪も含めて4人組）それぞれに幸福な古き良き家庭。

恥ずかしながら小津監督が生涯独身だったという事を最近知った。
だからこそ冷静に家庭を観察して描けたって言うけど
これ、史上最強のチョンガーだな。ちょっと信じられん。

小津映画、今さらと思っていたけど、まだまだ観てないものも多いので、これは観ておいて損は無さそう。

神保町シアター