「絶対に観てほしい時代劇」
「続清水港」(清水港代参夢道中)1940年 日活 監督:マキノ正博
劇団の演出家・石田は上演する「森の石松」の稽古がうまく進まず、ふて寝。目が覚めるとそこは清水港。自分が石松になっていた!当然の如く、金毘羅代参を命じられるが、その結末を知っている彼は・・・。戦前のこの時期にタイムスリップというアイデア!抱腹絶倒、あまりに面白すぎるバック・トゥ・江戸時代!超必見。
これ、見る前からパンフの紹介文を読んでかなり期待して行ったわけだけれど、期待以上に最高に面白かったですよ。
今でこそタイムスリップ時代劇なんて掃いて捨てるほどあるけれど1940年ですからね。マキノ正博、小国英雄(脚本・演出)は偉いもんです。
今回の文芸坐特集。そのタイトルの前に「時代劇が苦手な貴方に」とつけても良いくらい番組が秀逸。私のような愚か者のための番組。
片岡千恵蔵さん、現代劇になると登場するだけで面白い。今回は癇癪持ちで気難しい舞台演出家。イライラ演技で笑わしてくれます。秘書に対して女性蔑視な風当りも流石戦前の面白さですが秘書の黒田文子女史(轟夕起子)も負けてないところが良い。
舞台照明係の役で登場は二代目広沢虎造。数年前に虎造の浪曲をたっぷり聴きこんでましたから、声が虎蔵なんで(当たり前だけど)嬉しくなっちゃいます。
夢うつつで目が覚めたら江戸時代の清水港。
とまどいながらもすぐに時代に馴染んだご様子。
金毘羅代参で閻魔堂にて殺されてはたまらんと代参をしぶっていると秘書黒田女史がお文さんとなって「私が同道する事によって筋書が変るでしょう」と二人旅。
お文さんは許婚者なんだけれど、石松が照れて邪見にする道中も良いなぁ。
千恵蔵の石松はお文さんが本当は信じていない事を理解したうえで、彼女の心意気に感ずるところ。浪花節っぽくて楽しいじゃない。
子供嫌いの石松が途中で同行する事になったガキを憎からず思うようになったり・・・
三十石船の「江戸っ子だってねぇ」の件もたっぷり。ここは目玉商品ですからね。
侠客の話をするお客人がまたまた虎造。脇でお文さんが楽しげにやりとりを見ているって寸法。
兄弟分である七五郎の家に、お文さん、客人の浪花節語りらと泊まりに行くが、七五郎は貧乏暮らしで着物を質屋に売って歓待しようとする。
この七五郎の若き日の志村喬がもう最高にコメディアンしてくれて、楽しいったらない。
浪曲の七五郎のお話にはこんなシチュエーションは無いのだが、本作のオリジナルなのか?村上元三ではどうなん?
落語のように面白い場なので、落語高座にしてもウケそう。いや、現代じゃなくて当時って事ね。
浪曲では七五郎に惚れぬいてるお民の度胸がまた最高に良いんだが、ここでのお民さん(美ち奴)も演技素人ながら良く頑張っている。ちゃんとそのキャラを受け継いでいてほんのちょっと片鱗が見えたりもする。
都鳥一家の元へ出向いていく石松に、一節唸る虎造の場面は大きな見せ場。
七五郎とお菊さんが石松のもとに駆けつける描写は古き良き無声映画を彷彿とさせる。
なんだかんだと現代に戻れた演出家・石田。エンディングはやや弱い感じだが冒頭と終幕が現代という自由な発想のタイムスリップ時代劇は後の作品にも影響を及ぼした事でしょう。
タイトルの「続清水港」、1939年の「清水港」の次の作品って事だけど続編ではないし、後に付けられた内容そのまんまの「清水港代参夢道中」の方がしっくり来る。
道中、預かる事になるあのガキは長門裕之(澤村アキヲ名義)らしい。知らんかった。
広沢虎造の「清水次郎長伝」がまた聴きたくなった。YOU TUBEでも良いけどCD全集欲しいな。
新文芸坐
「続清水港」(清水港代参夢道中)1940年 日活 監督:マキノ正博
劇団の演出家・石田は上演する「森の石松」の稽古がうまく進まず、ふて寝。目が覚めるとそこは清水港。自分が石松になっていた!当然の如く、金毘羅代参を命じられるが、その結末を知っている彼は・・・。戦前のこの時期にタイムスリップというアイデア!抱腹絶倒、あまりに面白すぎるバック・トゥ・江戸時代!超必見。
これ、見る前からパンフの紹介文を読んでかなり期待して行ったわけだけれど、期待以上に最高に面白かったですよ。
今でこそタイムスリップ時代劇なんて掃いて捨てるほどあるけれど1940年ですからね。マキノ正博、小国英雄(脚本・演出)は偉いもんです。
今回の文芸坐特集。そのタイトルの前に「時代劇が苦手な貴方に」とつけても良いくらい番組が秀逸。私のような愚か者のための番組。
片岡千恵蔵さん、現代劇になると登場するだけで面白い。今回は癇癪持ちで気難しい舞台演出家。イライラ演技で笑わしてくれます。秘書に対して女性蔑視な風当りも流石戦前の面白さですが秘書の黒田文子女史(轟夕起子)も負けてないところが良い。
舞台照明係の役で登場は二代目広沢虎造。数年前に虎造の浪曲をたっぷり聴きこんでましたから、声が虎蔵なんで(当たり前だけど)嬉しくなっちゃいます。
夢うつつで目が覚めたら江戸時代の清水港。
とまどいながらもすぐに時代に馴染んだご様子。
金毘羅代参で閻魔堂にて殺されてはたまらんと代参をしぶっていると秘書黒田女史がお文さんとなって「私が同道する事によって筋書が変るでしょう」と二人旅。
お文さんは許婚者なんだけれど、石松が照れて邪見にする道中も良いなぁ。
千恵蔵の石松はお文さんが本当は信じていない事を理解したうえで、彼女の心意気に感ずるところ。浪花節っぽくて楽しいじゃない。
子供嫌いの石松が途中で同行する事になったガキを憎からず思うようになったり・・・
三十石船の「江戸っ子だってねぇ」の件もたっぷり。ここは目玉商品ですからね。
侠客の話をするお客人がまたまた虎造。脇でお文さんが楽しげにやりとりを見ているって寸法。
兄弟分である七五郎の家に、お文さん、客人の浪花節語りらと泊まりに行くが、七五郎は貧乏暮らしで着物を質屋に売って歓待しようとする。
この七五郎の若き日の志村喬がもう最高にコメディアンしてくれて、楽しいったらない。
浪曲の七五郎のお話にはこんなシチュエーションは無いのだが、本作のオリジナルなのか?村上元三ではどうなん?
落語のように面白い場なので、落語高座にしてもウケそう。いや、現代じゃなくて当時って事ね。
浪曲では七五郎に惚れぬいてるお民の度胸がまた最高に良いんだが、ここでのお民さん(美ち奴)も演技素人ながら良く頑張っている。ちゃんとそのキャラを受け継いでいてほんのちょっと片鱗が見えたりもする。
都鳥一家の元へ出向いていく石松に、一節唸る虎造の場面は大きな見せ場。
七五郎とお菊さんが石松のもとに駆けつける描写は古き良き無声映画を彷彿とさせる。
なんだかんだと現代に戻れた演出家・石田。エンディングはやや弱い感じだが冒頭と終幕が現代という自由な発想のタイムスリップ時代劇は後の作品にも影響を及ぼした事でしょう。
タイトルの「続清水港」、1939年の「清水港」の次の作品って事だけど続編ではないし、後に付けられた内容そのまんまの「清水港代参夢道中」の方がしっくり来る。
道中、預かる事になるあのガキは長門裕之(澤村アキヲ名義)らしい。知らんかった。
広沢虎造の「清水次郎長伝」がまた聴きたくなった。YOU TUBEでも良いけどCD全集欲しいな。
新文芸坐
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