JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

映画 「素粒子」

2007-04-08 | 映画(DVD)
性に対して奔放でヒッピー生活を送る母親に養育拒否された異父兄弟が、それぞれに悩み、「モテたい、ヤリたい」と人生をモガキ苦しむと言った映画。
・・・なんて紹介されると大いに好奇心かきたてられ見たくなるってもんです。

原作はフランス文学、ミシェル・ウェルベックの小説。かなりセンセーショナルを巻き起こした超話題作だそうです。知らんかった。
それを映画化したのはドイツ人監督オスカー・レーラー

異父兄弟はそれぞれ異なる環境で育てられ、異なる境遇をたどった。
兄ブルーノは作家くずれの国語教師、妻子もあるが自分の性欲をもてあまし、妻との関係も冷めつつ、教え子の作文と写真でマスかいたり、セクハラ行為へ・・・
弟ミヒャエルは異性との接触ができず、研究に没頭する天才分子生物学者。

何と言っても兄ブルーノの「モテたい!ヤリたい」!とのもがき苦しみが滑稽の中にも感情移入しやすい。そうだ「俺にだって権利はある」のだ。
弟に夫婦間のSEXがうまく行っていない事を告白し
「マスはうんざりだ。じき40歳だぞ」と呟く。
ここに彼の苦悩が始まるわけで、野坂センセのように幾つになってもマスに価値観を見出すという自己防衛本能が働けば彼はこんなにも苦悩する事はなかった。
しかし、満たされたい、幸せになりたいともがき苦しむ様は尊い物のようにも写るのでした。
Hero-Nと「動物奇想天外」をよく見ているけれど必ず目の当たりにさせられる雌を巡る雄の過酷な戦い。動物だったらこちとらなんぞ雌にありつけやしない。金や自慰で解決できる人間。だからこそ苦悩も多く誰もが大なり小なりもがき苦しむ。

ミヒャエルの性交渉無しで子孫を残す遺伝子研究が日の目を見ると多くの人はもがきから解放されるのかというと、そんな事はないわけですね。
映画「バーバレラ」の未来では手の平を合わせだけでエクスタシーを感じられる世の中になっていたが、バーバレラと旧式の愛を確かめれば「旧式もなかなかいいものだ」と未来人様ものたまわれていましたっけ。

小児は白き糸の如し

子供の性格形成に大きな影を落とすのは多くの場合、幼い頃の父、母との関係。
親は子供を愛して接しているには違いないのだけれど、どのような事が子供の性格に悪影響を及ぼす事か。答は難しく、答なんか無いのかもしれないって所が恐ろしい。責任は重大なのです。取りあえずは愛情を持って真摯に向き合って行きましょうや。

原作はもっとユーモアとSF的要素の強い物らしい。オスカー・レーラーはその部分をそぎ落とし人間の文明の矛盾や価値観の崩壊を訴える部分を忠実に映画化したと言う。
となると原作、気になるところなんですが、映画観ちゃったし、ちくま文庫でめちゃくちゃ高いのでひとまず忘れる事にいたしましょう。

こういう映画こそ、自分としては劇場で見たことが正解。かなり曳き付けられて見る事ができたけど茶の間のDVDだとかったるくて観てられなかったかも。

音楽はいいですよ。T・REXの「ゲット・イット・オン」、J.J.ケイルの「コカイン」、ボブ・ディランの「イッツ・オール・オーバー・ナウ・ベイビー・ブルー」・・・
これは自分の好みの問題であって、映画にマッチしているかというと、ちょいと不明?

批判的な事を書いちゃいましたが、良かったんですよ。ほんとうに・・・
あ、ブルーノの永遠の恋人役マルティナ・ケデックは同年代の熟女優だが、けっこう良かったです。

4月7日
渋谷 ユーロスペース


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1 コメント

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Unknown (現象)
2007-04-24 15:34:55
お久しぶりです。
コメント&TB失礼します。
音楽良かったですね。
良き日のロック、乾いた感じのギターといいますか、
…すいません、知ったかぶりでした。
いまだにマスかいたり視姦したりの毎日ですが、
悶々している自分が割と好きであります。

あれ、もしかしたらTBがちゃんとできていないかもしれません。
とりあえずコメントのみ失礼させていただきます。
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