JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「人妻集団暴行致死事件」

2016-02-08 | 映画(DVD)
「映画作家 田中登」

「人妻集団暴行致死事件」1978年 日活 監督:田中登

変わりゆく郊外の町。少し頭が弱いが美しい妻と元テキ屋の夫が営む貧しくも仲睦まじい暮らしが、ハミダシ者の若者たちの暴走でによって崩れていく。溺愛する妻を失い慟哭する室田日出男の魂の演技は鳥肌ものの素晴らしさ。壊れ行く村社会と勃興する郊外の狭間で零れおちた人間たちを描き切った傑作。

8年ぶり2回目の観賞。今回、二本立てで双方ともに再観賞作品という初めての試み。2つとも(もう1本はマル秘・色情めす市場)再観賞に値する傑作ですからね。

泰造オヤジ、室田日出男の演技ですよね。名優ですけれど出演全作品(見たわけではありませんが)の中でもこいつが白眉かもしれませんよ。

しかし、この映画はロケ地が開発途中の吉川市、越谷市と言う事で実に貴重な風景が納められている所にも価値があります。風景だけでなく変わりゆく町の新住民と村社会の旧住民のせめぎ合いが切り取り描かれている点がとても重要なんですね。
仲良くなった泰造オヤジに女をあてがえようと膳立てした合コンは女子たちが団地族の若者との合コンに走ってすっぽかされる。
居酒屋で開発話をしている背広族に充て付けて、バカ話にオタを上げる古尾谷雅人(康雅)ら旧住民の若者。・・・絵沢萌子の女将に窘められてますが。



女子にすっぽかされた合コン(と言ってもアパートの一室)に絵沢萌子女将を呼んで酔わせてご開帳を拝もうとする若者たちとオヤジの饗宴シーンが大好きです。
室田日出夫の三味線に合わせる唄が良いのです。憶えたいのです。
またまた脱がない絵沢萌子の見せどころ!小便大洪水とゲロうずきの段。

さてさて、若気と言えども恩をあだで返す若者たちの非情な行動。刑事が説く「優しくされた物を逆に狙う」という犯罪者心理。なるほど・・・
ポルノ映画としての見所は室田日出男と黒沢のり子の絡み。夫婦の濃厚な情交。それにも実は理由があって・・・

数あるポルノ女優の中でも死体美人はやっぱり、この黒沢のり子さんですね。
気づいた限りでは微妙な瞬きが一回あったか?

泰造の網うち暮しぶりと青年たちの勤労の姿を映すBGMの良さ。ここは青春映画っぽい名シーン。それだけに後の悲劇が効いてくる。音楽は石間秀樹・篠原信彦の名曲の数々です。



悲劇の真相を知った室田日出夫の呆けた演技も良いですね。
ここは、嫁を暴行死させられた憤りの演技(本作一番の見所)に勝るとも劣らぬ名演技で好きです。



2008年「官能の帝国 ロマンポルノ再入門2 ~バトンは受け継がれる」シネマヴェーラ渋谷

シネマヴェーラ渋谷

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