JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

映画 「軍旗はためく下に」

2008-01-21 | 映画(DVD)
こういう、いたって真面目な映画だって観るんですよ。

戦後、日本の映画界は様々な反戦映画、厭戦映画を製作し映像としての存在をアピールしてきた。それらの作品は機会があればできるだけ観たいと思っている。
「素晴らしき日曜日」「戦争と平和」「また逢う日まで」「きけわだつみの声」「純愛物語」「戦争と人間」「人間の条件」・・・

しかし、戦後も25年にもなると戦争を題材にした娯楽映画が人気を博すようになる。
だからといって反戦映画と娯楽戦争活劇を比較してどうのこうのというのは野暮。
・・・というのも所詮、戦争を知らない世代の戯言にしかすぎないんだけど・・・
これは、そんな泰平の時代になれた頃に公開されたすぐれた反戦映画。

「軍旗はためく下に」1972年 東宝 監督:深作欣ニ

昭和27年。富樫勝男(丹波哲郎)の未亡人サキエ(左幸子)は“戦没者遺族援護法”に基づき遺族年金の請求をするが、政府はこれを却下した。理由は富樫軍曹の死亡は“敵前逃亡”による処刑で援護法の対象外というもの。しかし、“敵前逃亡”の確たる証拠はなくサキエは以来、昭和46年の今日まで夫の無罪を訴え続けていた。そして、ある日、サキエはついにその小さな手掛かりを手にするのだったが……。

日本ドキュメンタリー映画の傑作「ゆきゆきて神軍」が公開されたのは15年後。
同一の題材で、こちらは結城昌治原作でフィクション色が強いけれど、深作監督はドキュメント・タッチで製作した。これは見るものを引き付けずにはおかない傑作となった。

サキエは帰国した生存者に聞き込みに行くが、彼等は自分の都合の良い事しかしゃべろうとはしない。そして戦後26年たって平和な時代になっても彼等もそれぞれに抱えている問題や傷に苦しんでいる。その事が戦争の悲惨さをさらに浮き彫りにしていく。

何と言っても寺田役の三谷昇、気の弱そうな戦士の狂気ぶりの怪演が見逃せないが、忘れちゃ行けないのがラッキーセブンの関武士とポール牧。漫才師役で高座の様子(ラッキーセブンそのまんま)楽屋でメイクをしながら戦場のことを思い出しポツポツと話す関。次第に相方の話に引き込まれ神妙な顔になっていくポール牧。
関武士の不気味な笑いが印象的。

「とうちゃん」を浮かばしてやりたい。どうすれば浮かぶせる事ができるか?それを知っているのは自分だけというサキエの執念。
劇中のサキエと共にに少しづつ真相が解明していく面白さ。しかし、真相が解明したからといって「とうちゃん」はやっぱり浮かばれる事はない・・・・

夏になると戦争映画が必ず話題になるけれど、最近このような良質のものってあるのかしら?私が知らないだけでしょうか?

シネマヴェーラ渋谷
焦燥★70年代★深作欣ニ

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