JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「仁義の墓場」

2014-09-23 | 映画(DVD)
「わたしたちの芹明香」

「仁義の墓場」1975年 東映 監督:深作欣二

実在のヤクザ石川力夫の生涯を描いた作品で、『仁義なき戦い』シリーズなどと並んで実録路線に目される。石川の型破りかつ破滅的な生き様を凄惨な暴力描写で描き通した。

予備知識は渡哲也が骨を齧るシーンが有名で異様な迫力があるという事。

深作実録ヤクザ映画の流れを組み、スチール写真にかぶさる小松方正のナレーション(これが実に良いです)の幕明き。
石川力夫という男の生い立ちなどが関係者の語りで紹介される。さぞや大器の、ある意味ヤクザ界偉人の列伝なのだろうな、と思いながら本編に入ったが・・・
偉人でもなんでもありませんでした、どんどんどんどん渡哲也演じる石川力也のキチガイぶりがエスカレートしていく。
若い頃は若気の何やら、といった鉄砲玉気質の狂犬といった感じでもいずれは大物になるのかと思ったんですが・・・
単なるキチガイですから、それなりの辞世の句もチヤンチヤラといった風情で漠。

でも、その狂気が徹底していて面白い。

そして、ヤクザ映画は、怖いヤクザさんが女をコマす所も見所です。本作ではあまりにおぼこい多岐川裕美の地恵子。
処女を奪われる際の足袋とふくらはぎがナイス。
狂犬ヤクザの情夫として、芸者として働かされ結核を患う薄幸さ。どうにもならない石川への恋情がせつない。
多岐川裕美はデビューの「聖獣学園」が代表作と思っていましたが、こちの方が数倍良いようです。台詞が少ないのも良い。

本作は田中登の『(秘)色情めす市場』に強い影響を受けている。田中いわく「『めす市場』と全カット真逆の映画」。深作は『仁義の墓場』を制作するにあたり、スタッフに『(秘)色情めす市場』を16回観せたという。Wikipediaより。
16回ですか。これは、あと12回は観ないといけないちゅう事でしょうか。

芹明香は釜が崎に流れついた石川にヘロインを教える娼婦役。
出演は短いのですが、ここで凄まじいワンカットがあり、ゾクゾクと魅了される。
ヘロインで呆けたように足を投げ出し座ってる芹と渡。
芹明香の廃人ぶりはまさにラブ・ドールといった風情。めす市場で爆発したゴム人形とは違いまっせ。
木賃宿のお隣さんは貧しい食前のお祈り捧げ中。



骨を齧る凄みも確かにカルト人気を納得させる衝撃シーンだけれど、こっちの芹明香のシーンも負けずに衝撃的。
芹明香特集に並べたのは大正解。

ついつい女優話になりますが、男優陣も豪華で皆さん素晴らしいです。

包帯姿で殺られる梅宮辰夫。
河田組の親分、ハナ肇。
ペイ中の小崎、田中邦衛。
睨んでいるだけの成田三樹夫。
ホンモノの安藤昇。
石工の三谷昇・・・



ラピュタ阿佐ヶ谷

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