JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

映画 「白昼の襲撃」

2007-12-12 | 映画(DVD)
「岸田森が43歳という若さで逝去してからすでに25年。しかし、あの独特の眼差し、声、存在感は、今もなお多くの人々を魅了してやみません。伝説の個性派俳優・岸田森、その魅力に迫る9週間。」
ラピュタ阿佐ヶ谷レイト・ショー「俳優 岸田森」より

「白昼の襲撃」 1970年 東京映画 監督:西村潔

一丁の拳銃を手にした青年(修・黒沢年男)が誤って大学生を射殺。暴力団幹部に拾われた彼は、やがて組織の中で成りあがっていく。岸田森はインテリやくざ・鳴海役。親分の忠実な手下を装っているが、実は…。

まず、いきなりのタイトルバックがカッコ良く、期待させられる。
単色カラーで登場者のアップ、拳銃、涙のコラージュにかぶる日野皓正のトランペット・ソロ。
全編に流れる日野皓正のエレクトリック・ジャズ。
少年院帰りの無軌道な青年を演じる若き黒沢年男もクールだし、そのスケであるユーコ(高橋紀子)も充分に美貌を発揮しているのだけれど、これはやっぱり脇役の岸田森の映画だなぁと感じるのは何も岸田森特集だからというわけだけでは無いだろう。岸田森は親分(殿山泰司)に忠実に仕えていたが裏で店の金を利用してテロ集団を組織していたのがばれて物語中盤には殺害されてしまうのだけれど・・・

登場シーン、負傷した修を拾う所。親分の座を狙う林に屈服して出所してくる親分佐伯をライフルで殺害、と見せかけ裏切り者の林を撃つ。「話はあとで・・・」と車に乗り込む。

男と男の絆。鳴海に拾われた修は佐伯に拾われた鳴海に自分達の師弟関係を重ねる。また、少年院で知合った左千夫というカマっ気のある少年との絆。女には理解できない男同士の絆だ。捨てられたユーコは取り乱し公衆電話で警察に通報。
あぁ、捨てられた女の気持ちなんてのは解らないが男の美学に比べると・・・美貌も台無し。まだ、そんな時代の匂いが残っていた頃・・・

観ていて気付くと思うけど、この作品は後の大ヒットTVドラマ「傷だらけの天使」に妙に符合する部分がある。ヒントにして「傷天」が企画されたと思われる。

青年の名が修。カマッ気の左千夫はいつも修を「アニキ~」と慕っている。
修と左千夫とユーコの3人の奇妙な関係。
岸田森の役名は鳴海。辰巳さんと音がとても似ている。
鳴海の妻(緑魔子)はエレクトリック・ジャズの鳴る劇中、不似合いなオペラなんぞをかけている。綾部の音楽に通じやしないか。
ラスト、自ら銃撃に加わり死亡してしまった左千夫の死体を引きずる修・・・

「白昼の襲撃」からヒントを得たと思われる「傷だらけの天使」
元作品以上の傑作が生まれた。そして我々は熱中したってわけだ。

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