JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

映画 「忘れられた人々」

2008-12-16 | 映画(DVD)
「忘れられた人々」1953年 メキシコ 監督:ルイス・ブニュエル

メキシコシティのスラム街に母と弟と妹と暮らす少年ペドロ。彼は不良少年グループのリーダー格ハイボが友人を殺すのを目撃するが、ハイボに口止めを約束させられる。冷たい母の愛を得たくて真面目に生きようとするペドロだったが、なにかとつきまとい、ついにはペドロの母とも姦通してしまうハイボに窃盗の濡れ衣を着せられ、ついに感化院に入れられてしまう……。

メキシコ時代のブニュエル。
これは非行少年施設のPR映画として作られた?

かなり昔に劇場で観た作品。何か別のお目当てがあって、それの併映だった。かなり衝撃があった。後にブニュエルという名を認識した。
記憶は薄らぎ、「不良少年が盲やいざりをいじめる映画」とのみ記憶していた。

オープニングに「十代の暴力」という題名が出る。
邦題を2つ持つのか。

弱者が牙をむくのはより弱者に対して。不良少年たちを生み出す社会。

社会の問題にしてしまえばそれまでだけど。このメキシコを始めとする貧困や愛情に飢えた現代の日本やらが抱える少年犯罪、凶悪犯罪・・・まぁ、そんな事は置いといて。

盲目の音楽師が不良少年に襲われるシーン。
盲目の音楽師は父親に捨てられたオイトスを拾い養う。この盲人が狂言回し的な科白を口にするなど重要な役割を演じる。一見善人のようだが、そんなわけ無い。美しい娘メチェを膝に乗せセクハラまがい。
この盲人に対して、いざりの方は不良少年にやられっぱなしで道に放置されるだけ。勿体無い。

ペドロの人生のあまりにも不条理なところは中南米的ブニュエル的。

ペドロの夢のシーン(生肉を持つ母親。生肉をベッドの下から奪うハイポ)
ハイポとペドロの母親の緊張のシーン。
立直ろうとしてもハイポから抜け出せず悪循環に嵌るペドロ。
ペドロのハイポに対する逆襲のシーン。
そしてラストのゴミ捨てシーン。
印象的で魅惑的なショットが続く。

汚らしさ悲惨さ残酷さが逆に美しく心に迫る不思議。

映像を通して訴えかけてくる事の多さ、圧倒的な力。
鑑賞後もさまざまな事に思いを巡らし余韻が残る。
それでも結局のところ、「不良少年たちが盲やいざりをいじめる映画」という記憶でOK。

シネマヴェーラ渋谷 「映画史上の名作1」より

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