JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「ラ・パロマ」

2007-02-01 | 映画(DVD)
「世界中で熱狂的愛好家を生み出した空前絶後の怪作。数々の紋切り型をちりばめ、移り気な御都合主義、荒唐無稽の限りを尽くしたこの映画は、歌劇、怪奇趣味、メロドラマへの偏愛を隠さない。青年貴族イシドールとキャバレーの歌姫<ラ・パロマ>ことヴィオラの“愛と狂気と死”の物語は“空想”のための単なる口実なのだろうか。」

ふと手にした「ダニエル・シュミット監督回顧」のこのチラシの紹介文と「ラ・パロマ」のタイトルに曳かれ、何の知識もないままフラフラっと観てきてしまった。

富豪の息子イジドール(ペーター・カーン)は、不治の病で余命いくばくもない高級キャバレーの歌姫ラ・パロマ(イングリット・カーフェン)に一方的な恋愛をし、結婚をする。が、パロマの病気は持ち直し、彼女はイジドールの友人ラウル(ペーター・シャテル)と熱烈に愛し合い、ラウルが去った後、衰弱死する。パロマの遺言で3年後に彼女の墓をあばき、その棺を開けたイジドールの見たものは……。

要は夢の世界だったのか。幻想的、耽美、退廃的、悲恋物語。
オープニングの娼館のシーンで、これは当たりかな。と思うのもつかの間、デカダンな雰囲気(妖しい美少年、美少女、中性)や音楽、映像、皆、素敵なのだけれど、前半は睡魔と闘うのに苦労。しまった所謂、訳解らん映画か・・・映像と音楽でなんとか持ち堪える。

しかし、後半憔悴したイジドールがヒゲ面でラウルに訥々とパロマのその後を語る場面から引き込まれていく。
「彼女は僕の愛を理解していなかったけれど信じていた・・・」

イジドールの一人勝手な大いなる愛。
関係は崩壊しても決して別れない。「君無しでは生きていけない。」のだ。
演じるペーター・カーンは肉まんのようにぽっちゃりしてもう少し髪を伸ばせばジミー・ペイジ?その色白肉まん風貌は適役。役名もイジリー岡田みたいで良いじゃん。

とにかく、音楽の使い方に酔う。普段あまり聴く事のないシャンソン、オペラの美しい曲と、劇中何故かノイジーな効果音の多様がとても印象的。

娼館で歌うイングリット・カーフェンの「上海」も良いけれど冒頭のおばさん歌手が歌っている歌、もう一度聴きたい。

めでたく結婚して、アルプスの風景をバックにパロマが歌う。寄り添うように佇むイジドールまでもがオペラ調に美声を聞かせるのには驚いた。名シーンなんでしょう、笑っちゃいます。強烈!


イジドールの若いママ(ビュル・オジェ)がまた良い。マザコンなんだよなイジちゃん。


前半、一瞬意識を失った場面が数箇所あり残念。もう一度最初から観てみたい。

ダニエル・シュミットという監督昨年亡くなったそうだが、他の作品もこんな感じなのかしら?とても興味が沸いてきた。チラシ紹介文からは、他に「今宵限りは・・・」「ヘカテ」「デ・ジャ・ヴュ」あたりは観てみたいけれど、あまり深入りしないようにしようっと。

1月30日
特集 ダニエル・シュミット監督回顧
御茶の水 アテネ・フランセ文化センター
「La Paloma」(1974)

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