JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「掟によって」

2013-10-05 | 映画(DVD)
「レフ・クレショフ傑作選」

「掟によって」1926年 露 監督:レフ・クレショフ
По закону

男4人と女1人のグループが、カナダとアラスカを流れるユーコン川の岸辺で黄金採掘していた。やがてメンバーのデニンが鉱脈を発見するが、仲間にその功績を認めてもらえない。そればかりか逆に馬鹿にされていると感じたデニンは、男2人を射殺。仲間のハンスとエディスに取り押さえられたデニンは小屋に閉じ込められるが、その時、川が氾濫。3人は小屋の中に取り残されてしまう。ハンスとエディスは殺人犯のデニンをどう扱うかで議論を始めるが……。

渋谷で見逃したと思ったら吉祥寺でやっていた。

無声映画のサスペンスドラマ。
黄金採掘の株主やら経営者ら4人にこきつかわれ苛め同然の仕打ちを受けている労働者デニンという構図。
チョビ髭のデニンが犬と笛を吹きながら戯れているシーンなんか見てると無声喜劇を観ているような気にもなるが、違う違う、これはサスペンス。

嵐がやってきて川が氾濫するあたり、自然の脅威で映画として盛り上がりを見せ、その後、孤立してしまう夫婦と捕えられた殺人者デニンとの3人の生活へと心理劇。印象的なカットバックと役者の熱演。

ところどころ見せる遠景カットがとても印象的。
小屋の遠景に佇む妻のシルエットとか。



妻役のアレクサンドラ・セルゲーエヴナ・ホフローワはクレショフの奥さんになる人で「ポリシェヴィキの国におけるウェスト氏の異常な冒険」にも出ていて、その時は「美人だなぁ」と思ったけど、ここで見ると決して美人では無い事に気付いた。
いやいや、それでもかなり魅力的なお顔だち(特に横顔のネズミ顔が良い)でありながら猟銃を構えたデニスに果敢に飛び付く勇猛ぶりから、孤立した生活で徐々に疲弊して行く様、狂気を伴い凄まじい演技。

眼球が凄い事になってます。

殺人者デニンを殺してしまおうとする夫ハンスと、きちんと裁判にかけて法により裁くべきだと主張する妻エディス。
結局は川の氾濫で孤立状態のまま埒が明かず、英国女王の肖像を飾って自分たちで裁いちゃう。
クライマックスですね。

ところがラスト、絞首刑されたデニンが・・・・
ホラー映画などで良く使われる手だけれど、この時代からやっていたって事?

クレショフ自賛するだけあって見応えのある作品でした。



吉祥寺バウスシアター

にほんブログ村 映画ブログへ blogram投票ボタン

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「国際秘密警察 火薬の樽」 | トップ | KING CRIMSON 「RED」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

映画(DVD)」カテゴリの最新記事