JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

映画 「江戸川乱歩の陰獣」

2008-11-29 | 映画(DVD)
「江戸川乱歩の陰獣」1977年 松竹 監督:加藤泰

「私は先生のファンです。」探偵作家寒川(あおい輝彦)にさりげなく近づいた女、静子(香山美子)のうなじにはエロチックな赤いミミズ腫れがあった。その静子が大江春泥から脅迫されているという。 昭和3年、寒川は怪奇幻想が売りの変格派春泥を軽蔑し、批判の文章も書いていた。 春泥は静子の初恋相手だったが、ふられた腹いせに復讐を宣告してきたのだ。脅迫状には静子と夫の夜の秘事まで観察した記録があり、闇に潜む陰獣のような眼に静子は恐れおののいていた。そして第二の脅迫状が届き、予告通り、静子の夫六郎(大友柳太朗)が隅田川に溺死体で浮かび上がった…。

今となっては何故だか解らないんですが子供の頃、TVで見る香山美子を相当良いと感じていた時期があります。
「陰獣」こちらは子供の頃読んで薄気味悪さしか憶えていない。
幻滅しないようにまずは「陰獣」を再読してから臨みました。原作の方は推理が二転三転のお腹いっぱいの名作。

原作にとらわれずいかに美しく妖しく撮れるか。加藤泰監督の映像美はその時代の雰囲気も損なう事なくとても良いのですが何か物足りなく感じてしまうのはこちらが江戸川乱歩=実相寺昭雄の世界に毒されてしまっているからでしょう。

今ひとつ静子のイメージに乗り切れない香山美子さんですが寒川先生への怪談噺めいた状況説明でがんばっていただけます。
六郎に変態的な性癖を教え込んだ西洋美人、田口久美が登場するなどサービスもあり。

原作では大江春泥の「陰獣」が静子の「淫獣」へと変貌していく場面が素晴らしかったので、ちょっとそこら辺の「陰」と「淫」には適わない。
ただ、日本髪で魅力を損なっていた香山美子が髪を降ろされ、眼鏡を掛けさせられ、頬にふくみ綿、金歯を施された時に確かに妖艶さが垣間見えたので良かった良かった。

「ラピュタ阿佐ヶ谷 昭和の銀幕に輝くヒロイン 香山美子」

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