JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「乱暴と待機」

2010-11-05 | 映画(DVD)
「乱暴と待機」2010年 メディア・ファクトリー 監督:冨永昌敬

木造平屋建てが連なる市営住宅。夜な夜な屋根裏に潜み、隙間から自分の事を覗いている英則(浅野忠信)を兄でもないのに“お兄ちゃん”と呼ぶ奈々瀬(美波)。二段ベッドの上下で眠る2人を結びつけているのは、約20年前に起きたある出来事。英則は、奈々瀬に対するこの世で最も惨い復讐方法を考えていた。奈々瀬もまた、その罰が下されるのを待ち続けていた。しかし、ある一組の夫婦が近所に引っ越してきたことから、2人の閉塞した生活に微妙なズレが生じていく…。

「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」の本谷有希子原作の映画化。やはりこの方は注目すべき才人のようです。

強烈なキャラを持つ4人の関係性は後半までなかなか説明されることなく、ミステリアスかつシュールな展開。
人間の可笑しみを描いていて、浅野忠信を中心にかなり笑える場面も多いのだけれど、反面ちょっとぞっとするような人間の深遠に迫るところもあり、時にドキッとさせられる。

グレーのスウェットスーツに伊達メガネの奈々瀬のキャラ。人から嫌われる事を極端に恐れおどおど挙動不審。高校時代は断りきれないのでほとんどの男子生徒とやっていたという女で、あずさ(小池栄子)もその被害者。このあずさが暴力的ではあるけど登場人物の中では一番まとも。強いあずさは弱い奈々瀬をいじめているように映る。大抵の男はバカなので奈々瀬の方に惹かれる。
亭主を寝取られ怒ったあずさは奈々瀬に「私は自分のことしか考えていません」と言わせる。いつだってまともな人間がこの手の人間から迷惑を被り、損をする図式があるんです。

実は本質的には怖いお話なんじゃないか思うけどギャグによって笑わせるのが救い。
不意にゲロ吐くあずさ
「人の顔見て吐くなんて失礼だろ」と小声の番上君(山田孝之)
ダメ男番上君の「そへんは積極的に麻痺して行こうよ」
英則の「救急車を呼べ!」
「足はどうしたの?」に「治った」って何それ。
などなど・・・

ゲーム人生(人生ゲームね)で遊んでいる時、ラブラブを見せつける小池栄子は可愛いし、美波のスウェットごしのおヒップがエロい美波。しかもゲーム人生の時はノーブラでお兄ちゃんがマラソンで外出すると小さくガッツ・ポーズですもの。

シュールな展開に一層の効果を上げているのがフリーフォームなジャズサウンド、大谷能生の音楽。主題歌は相対性理論と大谷能生。

現代の異形・妄執なるラブ・ファンタジーというかある意味、異常性愛記録?

「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」の時は間を置かず原作を読んで失敗したので、今回はすこし間隔を開けてから原作を読んでみよう。

テアトル新宿

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