JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「スリップ」

2010-04-13 | 映画(DVD)
「R18 LOVE CINEMA SHOWCASE VOL.7 2009年のピンク映画たち+鎮西尚一の世界」

「スリップ」2009年 国映 監督:鎮西尚一
(熟女 淫らに乱れて)

アルコール依存症の男性・乾は妻の悠子と別居中。悠子は沼津の実家で息子と暮らし、一緒に暮そうと乾を誘うが、彼は気乗りしない。ある日乾は偶然昔の同僚、尚子と再会するが、尚子は恋人と暮らしていた。その夜、乾と悠子は愛し合うが、乾が飲酒をやめていないと知った悠子は彼に絶望する。離婚届を渡され、住む家も失った乾だが……。

監督の鎮西尚一氏にとって12年ぶりの映画制作なんだとか。
公開前、関係者の舞台挨拶があったが、何故12年も沈黙していたのか、そのあたりの経緯は判らない。

失業してアル中に苦しむ男(伊藤猛)と介護の仕事を得て前向きに生き生きと独立していく妻(速水今日子)。
2人の関係がゆっくりとした時間の流れの中で確実に終息に向かっていく。
ピンク映画だから当然セックス・シーンが嫌やおなしに織り込まれる。
まがりなりにも夫婦のセックスなので、そこには微かに残る愛の影がみえる。エロ・シーンを挿入することによって、一層切なさを増すという効果があるんですね。
 
淡々と映し出される人生の一瞬。
平凡な日常の中に煌くような一蹴の映像的構図。
情事のあとこっそり酒を飲む亭主に絶望して蹲る全裸の妻。
台所へ繋がる廊下の手前の男と奥の妻。微かな光。

もう一方、男が以前付き合っていた(元カノ)という同僚の女性(ほたる)。
いまでは別の男と夫婦になっている。
夏の午後、亭主が屋根に上って大の字に寝転がり「気持ちいいぞ、お前も来ないか」と誘いまどろんでいると・・・
窓から乗り出しブタ型の蚊取り線香をそっとおく女・・・(だから、上画像のシーンはありません)

実家に帰っている妻のもとへスクーターで出向く男(伊藤猛)。
海岸の見える道路脇で、元カノ夫婦から渡された握り飯をパクつく。
スクーターに跨ったままハンドル上で離婚届けにサインする男。

妻が介護の世話をしているアルコール依存気味の老女に、ネグリジェ歌手で往年のピンク女優として鳴らした内田高子。

印象的シーンの静かな連鎖で映画を感じることができる。また新作を撮っていただけたら観たい監督さんです。

ポレポレ東中野

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