JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「鍵泥棒のメソッド」

2012-10-04 | 映画(DVD)
「鍵泥棒のメソッド」2012年 クロックワークス  監督:内田けんじ

35歳にして定職もなく、売れない役者稼業にもほとほと嫌気がさした桜井(堺雅人)は自殺にまで失敗してしまう。その後、出掛けた銭湯で見るからに勝ち組男のコンドウ(香川照之)が彼の目の前でひっくり返り、頭を強打したせいで記憶を失ってしまった。桜井は衝動的に彼の荷物をくすねてコンドウに成り済ましたのだが、実はコンドウの職業は殺し屋で……。

宣伝が面白そうだったので、暇つぶしに見てしまいました。
非常に良質でライトなコメディといった塩梅で楽しめましたよ。

テーマらしきものはかなり多方面に拡散して散漫な気もしたけれど、最終的には散りばめた伏線もしっかり回収してよく練れた脚本ではないかと・・・。
この監督の作品はこれ1本しか見てないけれど、これを見る限り、深堀をしないところが良い面なのかもしれない。

桜井とコンドウという真逆なキャラを対比させる手段は、記憶を失くしたコンドウを良い事に、図らずも(行きあたりばったりですから)人生を入れ替えてしまうというやり方。
金も定職も無い悲惨な人生を引き継いだ努力家で几帳面なコンドウはきれいに記していくメモを手掛かりに演技の勉強の努力も怠らず、どん底から這い上がりかける。
一方、計画性の無い行きあたりばったりで、部屋も散らかし放題の桜井は、整理整頓されたコンドウのマンションをあっという間に散らかして、そのだらしなさから、結局成功者の座を堕ちて行く。
この図式をもっともっと深堀して作品を作って行くと、かなり好みの映画が出来上がりそうな気がする。
出来る奴は何をやっても出来るしダメな男は何をやってもダメという・・・

その理想からすると、コンドウが記憶を取り戻す時期がちと早すぎた。

ただ、そんな不満は置き去りにして、終わってみれば結構楽しめたじゃないと思えたのは、ハッピーエンドのやってられない臭いラストに対して森口瑤子の強烈な一撃があったからかもしれない。

香川照之の上手さが堪能でき、なおかつ、デビューのころから、いったい何処か良いのか理解に苦しむ広末涼子が、本作ではとても良い糞真面目キャラを演じていて、ちょっと見直した。

MOVIX川口

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