JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

映画 「秋津温泉」

2007-08-05 | 映画(DVD)
がらにもなく日本メロドラマの名作を見た。

成瀬巳喜男の「浮雲」を見損ねた今回、比較対抗される作品だというので。

岡田茉莉子映画出演百本記念作品。温泉宿の娘と宿泊客の青年との十七年におよぶ愛のふれあいを描く。ロケーションは原作のモデル地である岡山県・奥津。雪、桜、付近一帯の風光美が二人の切なさ哀しさを際立たせる。

カラー作品でした。映像美堪能できます。

岡田茉莉子自身が企画した作品。自分を一番美しく撮ってくれる監督は後のご亭主でしたとさ。

下調べでは長門裕之の河本周作のいいかげんなダメ男ぶりが期待できるのではと思っておりましたが、完全なる思い違い。どこまで行っても岡田茉莉子の映画でダメ男大好きの私でさえ、長門裕之どうでもええねん。となるくらい岡田岡田岡田でございました。

岡田茉莉子が笑う。岡田茉莉子が泣く、岡田茉莉子が怒る。岡田茉莉子が嘆く。岡田茉莉子が悲しむ。岡田茉莉子が媚びる、岡田茉莉子が拗ねる、岡田茉莉子がはしゃぐ、岡田茉莉子が呆然とする・・・(しかも終始、大袈裟な映画音楽をバックに)
時代的にも濡れ場が最小限に抑えられていたのも、返って良いです。接吻、抱擁のみ・・・後半に漸く濡れ場らしきシーンあり。

岡田茉莉子は企画だけでなく、衣装でも名前が上がっていました。
もんぺ姿から始まり、温泉の女将として次から次へと美しい着物をお召しあそばしています。中でも終戦直後の殺風景な焼け野での着物に赤い襟巻き姿が美しい。

これぞ、銀幕のスタアって感じでしょうか。
昔の女優さんは本当に綺麗ですが、岡田茉莉子おばさんの若い頃って見たことなかったので怖いもの見たさ。当時28歳という事ですが、当時からまったく年齢不詳の怪しさで17歳から34歳を演じきっておりました。

着物での立ち居振る舞いも見事で、着物のまま小走りに走るシーンが2度ほどあり、見とれてしまいました。

ロケ地の四季もとても美しく印象的。

戦後民主主義を映し出すとか、一つの象徴とか、それはどうなんでしょ。どうかと思います。どーでもいーんじゃないでしょーか。

「あきらめるとか、後悔するとか、そんな事なら死んだ方が・・・私は何もできなかった・・・」温泉旅館の椅子に頭を仰向けに投げ出して。

17年に及ぶ物語って事で長門裕之の吸う煙草も「ゴールデンバット」から「いこい」に変化して行ったようです。

ストーリーの方ですが、周作との腐れ縁でどうしても離れられずずるずると。そんなのは解りません。

岡田茉莉子、恐るべし。

「秋津温泉」1962年松竹 監督:吉田喜重
ラピュタ阿佐ヶ谷「映画×温泉 湯けむり日本映画紀行」

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