「山」旅の途中

40代後半になって始めた山歩き。自分はどこから来てどこに行くのか。光、空気、花々の記憶を留めたい。

大雪山を行く 天人峡~化雲岳(3)

2009-08-12 22:45:06 | 表大雪
(写真: 1947峰で出会ったシマリス)

ポン沼から少々行くと、1947峰に。岩に登ると、右手に構えるトムラウシ山と、それに連なる十勝岳連峰の迫力にわくわくする。

ふと、左手の岩に生き物の気配。シマリスがぽつんと、遠くを見ていた。

背景は表大雪の残雪。絵になるなあと、感嘆。

岩峰を降りると、1933峰から化雲岳まで続くゆるやかな草原を行く。

すでに花の季節は過ぎ去り斜面は寂しいものの、大きく迫るトムラウシ山の気高さに見とれる。

心中でそっと手を合わせた。先日、大勢の登山者の生命を奪ったばかりの、その山に。

百名山、憧れのトムラウシ。大きなその立ち姿が、自然と向き合うことの厳しさも教えてくれる。


(写真: トムラウシ山。右手の連なりは十勝岳連峰)


(写真: 行く手の化雲岳)

1947峰と1933峰の間で、化雲岳から降りてきた単独登山者と会う。僕より1時間早い午前4時半に天人峡から上がった、先行者だ。

1933峰を過ぎると、化雲岳は手に取るほど近い。

が、登山路に予想外のクマの糞。今まで何度も見てきたクマの落とし物は、茶系で大きくて、馬糞に似ていた。

しかし、これは黒くてカタチも少々細くてまとまっている。クマかどうか? 

少々疑問だったが、その後にふたつも見たので、これはクマに違いないと思う。

差異は食べ物の違いなのだろうと納得する。

化雲岳の頂上に近づく最終の登り。嬉しさのあまりに、歩みのピッチが早くなる。まるで、初登校する小学一年生の気分だ。

と、心臓がバクンと胸骨から飛び出しそうになる。クマよりこちらのほうがはるかに危険だ。年齢にふさわしく慎重に歩むことの大切さを思い知る。



(写真: 予想外のクマの落し物?)


(写真: 化雲岳の山頂。大きな岩が特徴)

山頂(1954.3m)には大学生のパーティーが休んでいた。様子からすると、ここからヒサゴ沼、そしてトムラウシ山に向かうのだろう。先日の遭難者と同じコースだ。

頂上からは2年前にクチャンベツコースから登った五色岳が、すぐそこに。1時間ほどの距離だろう。忠別岳の向こうには先月歩いた高根ケ原も望む。

大雪山を巡る幾筋もの登山路が全身の感覚で、つながり始めた。

自宅に戻って、五色岳から撮影した写真と化雲岳から見た光景を比較しようと、過去の写真を探す。が、07年7月14日のフォルダーだけがない。

バソコンを買い替えた時に、このフォルダーの移動をミスったのだろう。大ショック!

でも、記憶に刻まれている。ブログも残っている。(07年7月の五色岳)

と、自分を励ましてみると少し気持ちが落ち着いた。

今度はクチャンベツコースから五色岳、そして化雲岳まで歩くという目標がひとつ増えた。


(写真: 化雲岳山頂から望むトムラウシ山)


(写真: 手前は1954峰。その奥のなだらかなピークが五色岳。背景は石狩連峰)


(写真: 山頂から見た表大雪)

■登山記録
05時30分: 天人峡の登山口から入山
06時15分: 滝見台
07時40分: 第一公園
08時20分: ハイマツ帯
09時ごろ: 第二公園付近
09時30分: 礫地
10時10分: ポン沼
10時30分: 1947峰
11時15分: 化雲岳山頂
11時45分: 下山開始
16時15分: 登山口に戻る  (上り6時間15分、下り4時間30分)

天人閣 1000円 明治33年開湯の源泉温泉。古ーい感じの岩風呂がよい。