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一条戻橋

2013年04月02日 | 歴史街道
の内 ①
はじめ 橋は渡って行くより 戻ってくるために架けた

はじめ 京の川といえば、堀川のことだった。
京の町中を北から南へ一直線に流れる堀川の源流はふたつある。
ひとつは鴨川からの枝川で小川といい、もうひとつは鷹ケ峰を源流とする
有栖川であり、このふたつが一条大路で合流して堀川となった。
一条戻橋は、堀川のはじまりである一条大路堀川に架かかっている。

いづくにも帰るさまのみ渡ればや戻り橋とは人のいふらん    
和泉式部


平安中期に死んだ漢学者・三善清行の葬列がこの橋を通った折、急を聞いて帰った熊野修行中の息子・浄蔵が棺桶にすがって祈ると清行が一時生き返ったのが戻橋の由来。「撰集抄」
戻橋の縁起を担いで、出征兵士は必ずこの橋を渡ったというし、今でも花嫁が出戻りになると渡るのを避ける。
一条戻橋は、今も昔と同じ京の堀川をまたいで架かっている。

一条戻橋いちじょうもどりばしに鬼女
源頼光の四天王のひとり渡辺綱が、ある夜戻橋で美女に呼び止められ五条まで送って行く途中、突然となって綱の髪のもとどりをつかみ夜空に飛び上がった。その刹那、源氏の名刀・鬚切ひげきりで鬼の片腕を斬り落とし退散させた。
四天王は大江山の鬼・酒呑童子しゅてんどうじを退治したが、その中に足柄山の金太郎こと坂田金時がいた。

戻橋の傍に、陰陽師おんみょうじ安倍晴明あべのせいめい館跡に晴明神社が鎮座する。
館は御所内裏の鬼門北東に当り、邪気を祓った。家紋の五稜星は陰陽道で使われる重要なデザイン。ユダヤ星の六芒星形に似ている?
晴明のなす戻橋の橋占の呪術は強く威厳高く、神と鬼を自在に操り、渡辺綱が斬り落とした鬼の片腕を仁王経で祈祷もした。
晴明のとき怪異や災厄、祟り、疫病の祓え、鎮め等「穢れ」と接触するような儀礼は陰陽寮の独占になる。
『陰陽師』(原作:夢枕獏)がTVシリーズ放映されたり、再映画化されたりと好評。

1591年豊臣秀吉は、大徳寺の山門から引き下ろした千利休の木像と生首を戻橋さらした。



予告
  次の②は、が古代史を扱うのであれば「二上山」辺りが適切ながら、期待を裏切るのもiina流。
  次の公開まで、笑撃を経て桜の話題から笑点をアップするなど数日を要します。


コメント (14)    この記事についてブログを書く
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14 コメント

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一条戻橋 (らいちゃん)
2013-04-02 07:15:18
一条戻橋には数々の伝説があるのですね。
この橋の名前は小金沢昇司が歌ったことで知った程度で、勉強になります。
最近の若い夫婦には離婚者が多いので、もしかするとこの戻り橋を渡っているのかも知れませんね。
(らいちゃん) (iina)
2013-04-02 09:09:18
「あの世」と「この世」をつなぐ「一条戻橋」ですから、古くから さまざまに 伝わっています。

【一条戻橋は、 死人も生き返る】
【一条戻橋を、 花嫁は渡るのを避ける】
【一条戻橋を、 出征兵士は必ず渡る】
【一条戻橋に、 鬼女あらわる】
【一条戻橋側に、陰陽師・阿倍晴明館】
【一条戻橋に、 千利休の木像と生首】
【一条戻橋を御所の鬼門に】

「みあぐれば 桜しもうて 紀三井寺」は、芭蕉のため息が聞こえるようです。
桜は、紅葉とおなじく神社仏閣にも相性がいいですね。
もののはじめ (ムツゴロウ)
2013-04-02 11:43:20
そんなこと考えたことないから、「はじめ 橋は渡って行くより 戻ってくるために架けた」に、グッときちゃいます。

死人が生き返り、出征兵士は渡るのに花嫁は渡らない縁起が正反対なのに、アリャと思っちゃいます。
鬼女が現れたり、阿倍晴明の館があったり、利休の木像と生首がさらされた歴史をさしはさむあたり唸っちゃいます。

つくづく「もののはじめ」のはじめを飾るにふさわしい出だしです。戻橋の逸話が複数にまたがるのも、これからはじまる話の広がりに期待感が高まります。いつ読んでも卓越した導入と感心するところです。

ところで、前から思ってましたが、【一条戻橋を御所の鬼門に】とあるけど鬼門は北東なのにそうでないように思うのですが?

あらためて「もののはじめ」をおさらいさせてもらいます。
あの世とこの世をつなぐ橋 (「のべR山会」のK)
2013-04-02 17:35:59
一条戻橋
以前から「清明神社」や「大徳寺山門=利休の逸話」等に関するコメントで
このiinaさまの記事は何度か拝見してました。
「橋は渡って行くより 戻ってくるために架けた」
冒頭のこの一言は、インパクト強烈で印象的でした。

最初私は一条戻橋のお話を伺ったとき、山口百恵さんの「愛染橋」か?
と思いましたが、内容は逆でした。
 ♪~橋の名は愛染橋
   ただ一度渡ればもう戻れぬ
   振り向けばそこから想い出橋
それに、愛染橋といえば多分、大阪ですね
余談ですみませんでした。


人面にぎょっとされましたか?
レンゲの花は郷愁にかられます。
私も子供の頃よくレンゲ畑で遊んだことを思い出します。
花が散った後に葉っぱが芽吹く木は桜以外にもあるのでしょうかね
花びらがいっせいに風に舞う光景は本当に風情があります
花はまだか、もう少し、そろそろ、もう散ったか~と何度も花見で飲めるのもまた良いですね

 >”歴史街道”は完結ではありません
当方の早とちりですみませんでした。また楽しみにしています。
2コメントに ひとこと (iina)
2013-04-03 08:42:50
(ムツゴロウ) さん へ
たくさんほめていただき、穴があったらはりたい心もちです。 m(_ _)m

ムツゴロウさんは、「逃亡者」以来の古いお友達ですから、「もののはじめ」には馴染み過ぎていますから、おさらいと
思っておつき合いください。m(__)m

>【一条戻橋を御所の鬼門に】とあるけど鬼門は北東なのにそうでないように思うのですが?
はじめに造られた平安京の御所は、いまの京都御所の所になく、いまより随分と西にありました。
現在、南北に走る千本通りが、平安京の朱雀大路になります。この御所からみた北東の鬼門に一条戻橋を造った
そうです。いまも、元の御所の太極殿跡が残っています。
http://blog.goo.ne.jp/iinna/e/c2b7e6f1c513fbfc9d28a5b275e48b5c




(「のべR山会」のK)さん へ
廃線の無人駅に桜が咲くと、景色も華やぐようです。
紅白の花は桃らしく思われます。赤く咲く花の名前は、花桃だと思います。
桜をメインにして、紅白に黄や真っ赤な花が春をいろどっています。

「橋は渡って行くより 戻ってくるために架けた」は、我ながら名言と思っています。何気なく通っている橋も、はじめは
そうであったろうと思えます。その後、戦時において大勢を渡らせ行け行けどんどん攻めるために必要にもなります。
かと思えば、Kさんが歌った「愛染橋」のような「渡ればもう戻れぬ」橋もあります。江戸にある「泪橋」は、斬首される
罪人が通った橋もそうでした。↓
http://blog.goo.ne.jp/iinna/e/6bde1259c689852bc46910c8b7a013e0

きょうは、①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑩の内の「はじめの①」でした。
向後、「もののはじめ」本編の文言を微妙にいいまわして使うことにします。
TB (デカダンとラーニング!?)さん へ (iina)
2013-04-03 09:20:49
一条戻橋は、新しくなりました。説明板も写真入りになったようですね。下を流れていた堀川はコンクリートで埋め
立てられ、むかしの川を知りませんが面影はなくなったようです。

渡辺綱が戻橋で、鬼の腕を斬り落としたのは源氏の名刀「髭切りの太刀」だといいます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%A1%E8%BE%BA%E7%B6%B1

戻橋の傍にある晴明神社もパワースポットとして凄い人気のようです。
http://blog.goo.ne.jp/iinna/e/c2b7e6f1c513fbfc9d28a5b275e48b5c
奈良・平安の伝説 (オペラ座の灰燼)
2013-04-04 00:08:02
弊ブログへのご来訪、ありがとうございます。

歴史は遡れば遡るほど神話や民話の様相を帯び、
のちのちの創作物にて描かれるところの神がかった人物が
大活躍したりしますが、弥生時代、飛鳥時代、
奈良時代、そして平安時代の「伝説・逸話」には
その最たるものがあるように思っております。

京都は伝説に彩られた場所がたくさんありますゆえ
歴史好きにはたまらない都市だと思います。
私もまた興味深いスポットにめぐり合えたらと思っております。
(オペラ座の灰燼)さん へ (iina)
2013-04-04 10:32:33
一条戻橋は、新しくなりましたね。説明板も写真入りになったようですね。
下を流れていた堀川は、コンクリートで埋め立てられ、むかしの川を知りませんが面影はなくなったようです。

渡辺綱が戻橋で、鬼の腕を斬り落としたのは源氏の名刀「髭切りの太刀」だといいます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%A1%E8%BE%BA%E7%B6%B1

戻橋の傍にある晴明神社もパワースポットとして凄い人気のようです。
http://blog.goo.ne.jp/iinna/e/c2b7e6f1c513fbfc9d28a5b275e48b5c
Unknown (野の花)
2014-10-19 06:53:00
iinaさんは ご旅行中なのですか?

渡辺綱のお話、絵本にもなっていて とてもリアルに描かれていました。切られた腕 鬼面など 幼い頃みたにもかかわらず まだ覚えています。

時の権力者 秀吉が 利休の首を晒した・・そんな日本人の理不尽な暗い闇・・それがいまにも嗅ぎ取れたりします。
お早うございます。  (延岡の山歩人K)
2014-10-19 08:24:31
一条戻橋は 伝説とロマンの橋ですね

最近テレビのミステリードラマで拝見しましたが
真っ先にiina様のこの記事を思い出しました。

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