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夢を生きる方々に学生がインタビュー

神戸大学大学院経営学研究科 金井壽宏 教授

2008-06-12 06:50:32 | インタビュー記事

●日時 2008年5月26日 18:00~18:45 
●場所 神戸大学 フロンティア館 8階会議室
●経営人材研究所についての詳細は こちら
●インタビュアー 水谷 翔 (起業家育成塾)

 
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今回は経営学の中でも組織行動という人に深く関わる
分野について研究されている金井壽宏教授に研究内容
から人生観や夢についてのお話を伺いました。

 
 
●金井壽宏教授プロフィール
1954年神戸市生まれ。京都大学教育学部卒業後、
神戸大学大学院経営学研究科修士課程修了。その後、
マサチューセッツ工科大学でPh.D.(経営学)を取得。
現在は神戸大学大学院経営学研究科教授。リーダー
シップ、モチベーション、キャリアなど、経営学の中
でも人間に深く関わるものを主な研究分野としている。
   
 
<著書>

 
・『働く人のためのキャリア・デザイン』(PHP新書)
・『リーダーシップ入門』(日系文庫)
・『働くみんなのモチベーション論』(NTT出版)
・『サーバントリーダーシップ入門』(かんき出版)
・『組織変革のビジョン』(光文社新書) 
・『変革型ミドルの探求』(白桃書房) 
・『経営組織』(日経文庫) など多数。
  
また監訳では、
・『シンクロニシティ 未来をつくるリーダーシップ』(英治出版)
・『完全なる経営』(日本経済新聞社) 
・『幸之助論』(ダイヤモンド社) など。

 
◆現在のお仕事を聞かせてください
 
仕事は大きく分けると研究と教育の二つに分かれます。
研究分野は経営学ですが、中でも人に関わる組織行動という
ものを研究しています。細かくはモチベーション、リーダー
シップ、コミュニケーション、キャリアなどですね。
 
人々が共同で何事かを成し遂げるための組織が会社としますと、
その中での人の行動や組織との関係を細かく研究しています。
 
研究というと研究室にこもって作業をしているという
イメージが強いかもしれませんが、実際は企業に行き、
働いている人々にインタビューを行ったり、経営上の
課題などについて討議し、分析を行います。
 
インタビューのテープ起こしをしたり、そのデータを解釈したり、
質問紙をコーディングして統計分析したり、そういう結果を共同
研究者と議論したり、何かを書いたりという作業は、研究に
なります。
 
教育は大学で経営管理の学部学生への講義、組織行動の
MBAの講義、あとは、学者になる院生、MBAのゼミをもって
います。

大学ですと教えることがもちろん大事なことなのですが、
神戸大学では特に経営学の研究成果を企業という実践の
現場に繋げていく試みも行っています。研究の最新成果を
教育の場に反映することも目指しています。
 
また、企業の現場から研究にフィードバックを得ることも
あります。現場と大学は、実務家の経験と持論、研究から
生まれた理論が対話するような形で繋がっていることが
理想だと私は思います。
 
また、企業の管理職の方々に向けての研修や経営学が
必要なシンポジウムなどで講演をさせていただくことも
あります。
 
 
◆経営人材研究所について教えてください
 
文部科学省から「企業のコア人材の体系的な育成に関する
国際比較」というプロジェクトが採択されました。
 
このプロジェクトに向けて神戸大学では経営の仕組みづくり、
人材の育成と教育をメインテーマにし、同僚の高橋潔先生を
中心に結成されました。現在は、本格的に始動するための
準備を行っています。
 
ウェブサイトを活用して経営、人材についての調査から
研究成果の発表を中心に行っていこうと思っています。
 
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◆お仕事を始めたきっかけは何ですか
 
学生の時に尊敬する教授や先輩の方々から心あるアドバイス
をいただいたことが一番の要因だと思います。
 
当時、私は教育学部で臨床心理学を学んでおり、将来は
カウンセラーになろうと思っていました。しかし、自分の
目指す分野の仕事は知的好奇心から来ているのか、自分が
その職業に向いているのかは、別の問題かもしれない、と
様々なアドバイスをいただき、そう考えるようになりました。
 
そして、私の根底には常に「人」の発育や成長に関心が
ありましたが、私の関心は人を生み出している組織、つまり、
人を育てる機関となっている学校や会社について深く
知りたいと思うようになりました。
 
その後、修士課程を終える頃、外資系コンサルティング
会社のマッキンゼー社に内定をいただきましたが、その際、
尊敬する恩師が私の研究者としての適性などを見てアドバイス
をくださり、最終的には大学で研究をすることにしました。
 
素晴らしい方々との出逢いと心あるアドバイスのお陰で、
今の自分と仕事があると思っています。本当に適切な時に
助言をくださった方々とのご縁に感謝をしています。
 
 
◆お仕事の魅力は何でしょうか 
 
研究と言っても、私の組織行動という分野の場合は、働く
現場の人たちにインタビューを行い、生の声を聞かないと
研究は成り立ちません。
 
企業でインタビューを行うと実に様々な人たちと出逢います。
とても素晴らしく魅力的な社長の方々に出逢う機会に恵まれ、
インタビューを行った自分自身が多くのことを学ばせていた
だいた、という場合もあります。
 
インタビューは建築家の安藤忠雄さん、ドラマーの村上“ポンタ”
秀一さん、元ラグビー日本代表の林敏之さん、指揮者の佐渡裕
さんなど、産業社会の経営者以外にも、様々な分野で活躍される
方々にさせていただきました。
 
分野が違う方々のお話は経営学の人材育成や組織開発にも
通じるところがあると考えています。そういった面で多くの学び
を与えていただき、大変感謝しています。
 
また、私がインタビューなどを行ったことで、経営上の課題や
問題を抱える方々に、解決して良かった、またはやる気が出た
と言っていただける時は本当に嬉しいですね。
 
私は研究成果が実践で生かせることが大切だと思っています。
仕事の基礎や定石は机上ものだけではなく、実際の現場で磨か
れてきたものを伝えていくことが大事だと思います。
 
それを研究成果として発表する、あるいは、書籍などでの
出版を通じて、役に立ったと言っていただけることが
最も嬉しいことですね。
 
 
◆将来に向けて学生中には何をやっておくとよいでしょうか
 
私は学生の間は、悔いがないと思えるほど熱中して何かに
打ち込むことが一番大切なことなのではないかと思っています。
 
体育会系のことでも、文化系のことでも良いので、これほど
真剣にやったことはない、と言えるくらい一つのことを
集中してやって欲しいです。
 
これは大学生と言わず、高校生や中学生、早ければ早いほど
良いと思います。
 
一つのことを真剣にやり抜く力は、やがて会社で働くように
なった時にとても重要な経験として活きてくるし、自信も
生まれると思います。
 
困難に遭遇した時に、解決策や方法、行動をする原動力と
なるものが、何かに熱中したという体験だと考えられる
からです。
 
また、好きなことならなおさら良いことだと思いますが、
とことん何かに向かって頑張った自分がいると、夢が理想
ではなく、現実に見えてくるようになると思います。つまり、
真剣に頑張った経験は夢を実現する力の源にもなると言える
と思います。
 
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◆理想の人生と将来の夢について聞かせてください
 
経営学の組織行動の研究と教育を今まで行ってきて、社会的
にも認めていただけるようになり、これはとても嬉しいことです。
 
今後は神戸大学での経営学の研究レベルをさらに高め、
世界レベルの教育研究機関にしていきたいと思っています。
私のところで学んだ若い人たちと一緒に今まで以上によりよい
コラボレーションで経営学をともに研究していき、さらに
上を目指したいと思います。
 
私は人生の節目で「本当に自分は何がしたいのか?」と問う
ことが大切だと思っています。
 
さきほどお話したことは、具体的に今見えているビジョンです。
でも、さらにその先にどんな人生を描くのか、どんな夢を
持って取り組んでいくかは、絶えず問い続けることが大事だと
思っています。
 
「本当に自分は何がしたいのか?」という問いを持ち続け、
進んで行きたいと思っています。
 
 
◆夢に向かって頑張っている人たちに一言お願いします
 
TSUTAYAを創業された増田宗昭さんが「夢しか実現しない」と
おっしゃられました。私はこの言葉が好きですね。
 
迫力があり、絶対にやってやるんだ、という強い思いが込め
られているように感じます。
 
増田さんがおっしゃたこの言葉のように、絶対に実現させる
という強い思いを持って夢を描き実行して欲しいと思います。
 
 
◆本日は大変お忙しい中、本当にありがとうございました
 
 
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私は今回のインタビューで「本当は自分は何がしたいの?」
という問いを常に持ち続けること、そして、後悔する事がないように
真剣に打ち込むことが大切だ、というお話が特に印象的でした。
 
そして、常に自分の中には「人」が中心にいたという先生、
まさに、とことんその分野に打ち込まれて来たという先生の
お話は大変エネルギーにみなぎっていました。
 
先生は様々な出逢いをされて今の自分があるとお話を
されました。先生がそう語られる姿からは素晴らしい出逢いを
されたということを聞き手の私も想像することができ、
嬉しくなりました。
 
本当に素晴らしいお話をありがとうございました。
 
記事作成 水谷 翔 (起業家育成塾)
 
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