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狐闇/北森鴻(小説)

2008-04-30 00:21:16 | 読書
今回の記事は『狐闇』(北森鴻、講談社文庫)です。
冬狐堂シリーズ第2弾! 他シリーズとの連携がとっても強い作品でした。北森作品のファンなら必読の書です。あの人もあの人も出てきます!


■内容紹介
――すべては魔鏡からはじまった。

その日、宇佐見陶子は競り市で二枚の青銅鏡を競り落とした。
陶子の得意客から依頼された品だった。

しかし、家に着き、青銅鏡を入れた桐の箱を開けた瞬間に陶子の顔が凍りついた。
箱に入れられていたものは目的の青銅鏡ではなかった。
「……三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)」

この鏡は学術対象としての価値はあるが、古物商の間で取引される商品としての価値はない。
疑問を感じる陶子であったが、次第に青銅鏡が持つ不思議な美しさに魅了されていった。
これは魔鏡か……。

後日、魔鏡を手にした陶子に狡猾な罠が仕掛けられる。
その罠は骨董業者である陶子にとって死刑宣告に等しかった。

絶望の淵。無為な日々は陶子から気力を奪う。
しかし、そんな中にあっても、陶子は自分が決してやられっぱなしで済ますことのできない性分であることを確信する。
沈黙の時間がいかに長くとも、永遠ではあり得ない。
いつしか気力が充実し、自分を罠に陥れてくれた者達へ宣戦布告を行う日がやって来るのを陶子は待っていた。


■感想
※カッコ内空白はネタバレ反転です。注意!

この『狐闇』は宇佐見陶子が活躍する冬狐堂シリーズの第2弾です。
そして、この小説は北森さんの他作との関連性が大変に強いです。
他シリーズの主役クラスの人たちが続々登場してくるからです。
あの人も、あの人も出てきます! まさに夢の共演! 何という豪華さだ!

そんな理由で『狐闇』を読む前に読んでおいてほしい本があります。
もし『狐闇』を読むのなら、下記は絶対に必読です。
狐罠』『孔雀狂想曲』『凶笑面
これは絶対にぜったいです!
あと、『花の下にて春死なむ』もできれば読んでおいた方がいいです。
ちょっとだけですが、あのビアバーも出てきますんで。

では感想です。

今回はとにかく登場人物が豪華!
蓮丈先生)が出てくるのはもちろん嬉しいですが、僕はやっぱり(雅蘭堂さん)が出てきたのが最高に嬉しかったです。
だって、(孔雀狂想曲、ものすごくお気に入りの作品でしたから。
このいい感じのおじさん、とっても大好き!


凶笑面との見事なリンクも面白かったです。
狐闇は終始、宇佐見陶子の視点で物語が進行していきます。
凶笑面にはそんな狐闇のとあるシーンを別の視点で描いたエピソードが収録されています。この趣向は面白い!

今回は骨董世界のミステリというよりは、歴史ミステリといった雰囲気が強かったです。
歴史、民俗学、そうしたものに対する考察がかなり書かれているので、読んでいて勉強になるかもしれません。
面白くて勉強になる。お得な小説です。

主人公の宇佐見陶子の魅力もやっぱり大きいです。
強く凛としている宇佐見陶子は本当にかっこいい。
蓮丈那智)ともどこか似た印象を感じる彼女ですが、彼女は強い一面だけでなく、弱い一面もしっかり描かれています。
なのでより感情移入することができるんじゃないかな、と思います。

『狐闇』はミステリの真相云々というよりは、彼女の生き様を見てやってください。
とても惹かれますよ!



『狐闇』 (講談社文庫)
著者:北森鴻
ジャンル:小説(ミステリ/骨董/歴史)
メモ:冬狐堂シリーズ第2弾
おすすめ度★★★★

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