ブログ de ビュー

映画や本、テレビ、ゲームの感想がメイン。作品の記事はカテゴリ「索引」から探せます。

狐罠 / 北森鴻

2006-06-25 00:37:23 | 読書
今回の記事は北森鴻さんの『狐罠』
連作短編というイメージが強い北森鴻さんですが
この話は本格的な長編で、「旗師」宇佐美陶子の活躍を
描く冬狐堂シリーズの第1作です。


内容紹介
店舗を持たず、自分の鑑定眼だけを頼りに骨董を商う「旗師」宇佐美陶子。
彼女は若いながらスゴ腕の旗師として業界で注目されていた。
そんな彼女の前に保険会社の調査員を名乗る鄭(てい)という男が訪ねて来る。
「銀座の骨董商の橘薫堂(きくんどう)から発掘物の硝子碗を
 お買いになりましたね」
陶子にとって触れられたくない部分のことであった。
決して忘れてはならない、心に深い溝を刻み付けられたあの出来事…。
「目利き殺しを…多分…仕掛けられたのだと思います」
感情を押し殺した細くかすれた声が陶子の口から漏れた。


感想
この話はちょっと昔に此処でレビュー記事を書いた『孔雀狂想曲』と同じく
骨董世界を舞台にしたミステリーです。
しかし作品から感じる雰囲気はまるで違う。
『孔雀~』はいい感じのおじさんが主人公だったけど
『狐罠』はかっこいい凛とした女性が主人公。
そしてより本格的に骨董世界を描いた作品です。
(ちなみに『孔雀~』より『狐罠』の方が北森鴻にとって昔の作品)
登場人物も一癖も二癖もある人ばかりですごい。
そんな人たちがしのぎを削る骨董世界(裏のという形容がつくのかも)に
どっぷりと引き込まれていきます。
面白く奥深く、驚きも盛りだくさんです。
長いながらも(文庫版で本編が500Pを超えてます)
最後までドキドキしながら読んでいけます。

嬉しいのがこの作品、なんとあの香菜里屋が出てくるじゃないですか!
(香菜里屋?という人は⇒ここで
北森作品は他作品間の繋がりがとっても強い。
ある作品の主人公が別の作品のサブキャラとして出てきたり、
ん、これは!という設定が出てきたりします。
ファンにとっては嬉しい限り。
この宇佐美陶子も最近読んだ別の作品(凶笑面:近日レビュー予定)に
けっこう重要なサブキャラとして出てました。
こういう趣向は北森作品のファンとしてとっても嬉しい。
なんだか得した気分になっちゃいます。

宇佐美陶子のお話はその後もシリーズ化して続いていきます。
『狐罠』はその第1作にあたる話です。しかも
宇佐美陶子=旗師についても他作にぼちぼちと出てきます。
北森作品を読んでいくのなら、割と早めに読んだ方がいいかもしれない作品です。



『狐罠』 / 北森鴻 / 講談社文庫
ジャンル:小説(ミステリ/骨董)
メモ:旗師・冬狐堂シリーズ 第1作
おすすめ度:★★★★
は最大で5つです)




最新の画像もっと見る

コメントを投稿