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奪取 / 真保裕一

2005-11-28 22:59:28 | 読書
真保裕一さんの『奪取』です。
かなりの長編作です。
文庫版だと総ページ966p(上巻と下巻の最終ページを足し算したもの)
厚さにして約4cm
あとがき解説によると1400枚(原稿用紙換算?)
にもなる大作です。
僕が今まで読んできた小説の中でもおそらく最長となる作品です。
でも、この長さに見合う面白さを十分に持った作品だったと思います。
まずは内容紹介から。

内容紹介
手塚道朗、22歳。現在ちゃんとした職には就いてない。
というか無職。
彼の友人(西嶋雅人、同じく22歳、板金工)曰く、汗水流して働くことを小馬鹿にしてる
そんな奴だ。
しかしそんな道朗であったが
ちょっとしたお金の稼ぎ方を知っている。
それにはある方法を使う。
今日も自販機相手にちょっと小遣いを稼ぐつもりで家を出た。
都合上時間は深夜。
さて、ひと仕事というところで後ろからポンと肩をたたかれた。
「手塚道朗さんだね」
息を詰め、振り返ったそこにいたのは…!

この内容紹介は第一部の2ページにも満たない内容を
この先の展開を知ってる者の知識を少し詰めて
なんか気になる感じに仕上げたものです。
ということであんまり紹介になっていないので補足として
『奪取』は偽札造りの話です。
この内容紹介の展開からどう偽札造りに繋がるのかは
実際に小説を読んでのお楽しみです。


以下感想です。
『奪取』の感想をひとことで言うと
驚くほど面白かった
です。
話はどんどん驚くべき展開へとなっていって一気に読める
(と言っても読み終わるまでにはけっこう時間かかったけど)
そんな小説です。
主人公・道朗の軽い感じのノリも好きです。
第一部、手塚道朗篇の危機的状況なのに
なんか楽しそうに道朗と雅人がやってるあの感じ
面白くて好きです。
物語は第一部の後半辺りから怒涛の展開に突入していくわけなんですが
この前半の道朗・雅人コンビの頃の話がかなり好きです。
(2回も同じようなことを書くほどに好き)
もちろん第二部以降にもこのノリは生き残ってて
十分面白いんだけど
内容がちょっと重くなり
何やら専門性も少し増して難しい
そんな印象が第二部以降にはあるように思った。
ただし物語の面白さは最初から最後まで変わらずにすごい!
第二部以降も、ここには書けないけど(ネタバレ要反転のトコには書く)
一癖ある強烈なキャラを持つ人達の登場で
驚くほど面白くなってきます。

ネタバレ要反転↓
目次見た限りだと、第二部以降主人公変わるのかなと思っていたら
変わらない!
この辺はうまくやられました。
まぁ、変わらなくてよかったです。
道朗君、好きですから。そして
じじい(=水田鉱一)の登場、その後の活躍、すごく面白かったです。
最初は変なおっさんとぐらいにしか思わせないのに
まさかあんなにすごい人だとは。
そして、あんなにいい人だったとは。
それだけに第二部最後の展開はショックだった。
小説読んでて、ここまで悲しくなったのは久しぶりです。
しかし、悲しいだけじゃ終わらない。
第三部の雅人の登場、再加入は身震いするほど嬉しかった。
やっぱ道朗の相方役は雅人が一番だ。
幸緒の成長ぶりにもびっくり。
幸緒と道朗(仁志いや良輔と書くべきか?)のほほ笑ましい?恋の話もよかったです。
なんか文庫版になって終わり方が変わったみたいなんだけど
連載当時バージョンも気になるなぁ。


ちょっとネタバレ感想が長くなりすぎたけど
まだ読んだことない人は絶対反転しちゃだめです。
まだ読んだことない人にその後の展開をバラすのはあまりに惜しいんで。
とにかく驚くべき展開が『奪取』には詰まってる!
としかここでは言えません。

それから、小説でのお札と今現在使われているお札は
違うものになっちゃってるんですが
この小説を読んでお札の見方が変わった。
こんないろいろな工夫を施されてるとはなぁ。

衝撃、面白さ、感動、笑い、
いろいろ詰まった『奪取』はおススメ作品です。


『奪取』 / 真保裕一 / 講談社文庫 / 上・下巻の全2冊 /
ジャンル:小説(ドラマ/アクション/お金)
メモ:
第10回山本周五郎賞 受賞
第50回日本推理作家協会賞長篇 受賞
おすすめ度:★★★★★
は最大で5つです)


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