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ジャーナリスト。1961年生まれ。大手新聞社で警視庁捜査一課、遊軍などを担当し、殺人事件や海外テロ、コンピュータ犯罪などを取材する。その後、1999年10月、アスキーに移籍。月刊アスキー編集部などを経て2003年2月に退社。現在フリージャーナリストとして、週刊誌や月刊誌などで活動中。
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 前回に引き続き、「通信と放送融合モデル」の話をしたい。

 通信と放送の融合とは、すなわち放送コンテンツを運ぶコンテナー(メディア)が多様化し、最終的に通信と融合する形であらたな進化を遂げることだと、私は思っている。

 その視点から現在のネット業界を見渡してみると、コンテナーの進化を象徴するふたつのできごとが起きている。

 ひとつはTivoの出現であり、もうひとつはiPodへのビデオ機能の実装である。

 Tivoは会社名/サービス名で、一般的にはPVR(パーソナルビデオレコーダー)という用語の方が的確かもしれない。日本で販売されているハードディスクレコーダーと似たようなものだが、日本のハードディスクレコーダーがハードウェア製品として電気店で販売されているのに対し、PVRは月額料金制のサービスであるという違いがある。加入者はハードディスクレコーダーをTivoなどのPVRサービス会社を経由して購入し(DVDなしの最安値モデルで100ドル程度)、月額12.95ドルの料金を支払う。

 Tivoからは、地上波や衛星放送、ケーブルテレビなどの番組が掲載されたEPG(電子番組表)が配信されてくるので、加入者は好きな番組をクリックしてハードディスクに蓄積しておき、あとから好きな時間に見ることができる。Tivoはすでに全米で300万世帯にまで普及し、しかも解約率が非常に低いことでも有名になっている。解約率が低いというのはつまり「Tivoがなければ生活できない」という加入者が激増しているということだ。

 Tivoがすぐれているのは、加入者から見て自分の視聴しようとしているコンテンツが地上波経由なのか、衛星放送経由なのか、あるいはブロードバンド配信なのかをまったく気にせずに、シームレスにさまざまな番組を見ることができるという点だ。視聴者からすれば、重要なのは自分のみたい番組がそこにあるかどうかであって、その番組がテレビなのかネット配信なのかは重要な問題ではない。通信vs放送というのは、企業側が勝手に起こした戦争なのであって、視聴者にとってはその戦争はとっくに解決ずみのどうでもいい戦いなのである。

 その心理をうまく活用して、Tivoは完全に放送と通信を融合してしまっている。そしてTivoというサービスは単なるサービスではなく、ひとつのメディアとなりつつある。つまりはこれまでの「地上波」「衛星放送」「ケーブルテレビ」「ブロードバンド」というコンテナーに加え、あらたにTivoというコンテナーが加わったのである。

 Tivoは案外と歴史が古く、1997年からアメリカではサービスインしている。実は過去、2000年ごろにいったん日本市場に参入を計画した経緯がある。だがこの計画は途中で宙ぶらりんとなり、その後忘れ去られた。しかし関係者によれば、Tivoは来年か再来年――ごく近い将来に、再び日本市場に参入する計画を進めているという。日本の大手ケーブルテレビ企業との提携もささやかれており、非常に気になるところだ。

 そしてiPodも、Tivoと同じような可能性をはらんでいる。

 iPodはつい先日発売された新製品で、ついにビデオに対応した。現在のところ新しいiPodでできることと言えば、iTunes Music Store(iTMS)でビデオコンテンツを購入し、iPodの2.5インチの画面で視聴するだけだ。だがオプションのiPod Universal DockやiPod AVケーブルなどを接続すれば、大画面テレビでiPodのハードディスクに保存してあるビデオコンテンツを観ることもできる。そしてアップルコンピュータは、アメリカ国内ではABCテレビで前日放映した人気ドラマの一部をiTunes Music Storeで購入できるサービスを開始している。つまりiTMS―iPod経由で、テレビドラマを視聴することができるようになったわけである。

 コンテンツ配信というと必ず課金モデルをどうするのかというのが問題になり、「無料で放送している地上波の番組をわざわざカネを払って見る人はいない」「少額決済のモデルがない」といった課題が指摘される。だがiTMSはすでに音楽有料配信のプラットフォームとして定着しつつあり、このスキームの中でコンテンツに対して料金を支払うことに抵抗を感じる人は少ない。いわばNTTドコモがiモードで確立した通信料金とコンテンツ料金のウィンウィン関係と同じような関係(実際には音楽課金―ビデオ課金という関係だが)が、iTMSを活用することで可能になってしまうわけだ。

 さらには今後、ビデオポッドキャスティングを使って、iPodを経由した広告モデルが登場してくる可能性もある。アップルは今のところはポッドキャスティングに広告を導入することは認めていないが、今後この規制がゆるめられる可能性は大いにあると思う。

 かつてはネット業界では「広告依存」というのは良くないことだと考えられ、広告依存からいかに脱して、有料課金へと向かうのかが大きな課題とされていた。しかし最近、グーグルがAdWordsとAdSenseで大成功を収めたことによって、広告依存モデルが再び脚光を集めるようになってきている。コンテンツを有料化しなくとも、リスティング広告(キーワード広告)やコンテンツターゲット広告のような秀逸な広告モデルがあれば、広告に依存して収益を上げることは決して間違いではない――そんな共通認識が広まりつつある。

 その枠組みでは、今回楽天が提示した事業計画案のなかのひとつである「テレビのトラフィックをウェブに誘導し、そこで広告収入を得る」というプランは、決して間違いではない。

 <インターネットで番組配信―パソコンで視聴―コンテンツ課金>

 というモデルだけが、通信と放送の融合ではない。コンテンツとコンテナーの関係は今後も進化していくはずで、さまざまな可能性が広がっている。
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