中国に進出している日本企業の間では、ビジネスソフトの不正コピー利用が大きな問題になってきているという。
不正コピーというと「あいかわらずアジアでは著作権意識が低くて……」という話と思われるかも知れないが、実はそうではない。中国企業が日本のソフトの著作権を無視しているというのではなく、日本企業の従業員たちが、ビジネスソフトを不正コピーして使っていることが問題になっているのである。
先日開かれた社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)総会で、ソフト開発会社クオリティの浦聖治社長が以下のような話を紹介していた。同社は2002年から上海に進出している。
「いま上海の日系企業がたいへん苦労していることはふたつあります。ひとつは違法コピーで、もうひとつは情報システムの維持管理」
「違法コピーに関して言うと、先日も日系企業でこんなことがありました。従業員約300人の現地法人です。この会社にある日突然、上海市政府から電話がかかってきて、『おたくに違法コピーがあるそうなので、調査におうかがいしたい』という。間もなくやってきた市担当者は、アメリカ系のビジネスソフト企業担当者を連れてきているんです。そして『あなたの会社はこのビジネスソフトをこれだけ違法にコピーしてますね』と、違法コピーの正確な状態を示している詳細なリストを見せ、『もし正式に使うのであれば、これだけの追加購入が必要です』という見積書まで持ってきていました」
もちろんこの日系企業は上海市政府の申し出をありがたく受け入れ、ライセンスを追加購入して事なきを得たという。
「上海市政府にどうしてこれだけ克明な情報が入ったのかといえば、推測にはなるけれども、おそらくは不満を持って辞めた社員が退職前に克明に調べておき、当局に通報したのではないかと思われました」
優秀な技術者がまだ数少なく、しかも起業志向の強い中国では、人材の流動化は日本と比べものにならないほど激しい。優秀であればあるほど欧米系の企業などに流れてしまうケースが少なくなく、日系企業はあまり人気を集めていないのが現状だとされる。オラクルの中国担当幹部に取材したことがあるが、その幹部も次のように説明していた。
「せっかくいい人材を日系企業が採用しても、少し経験を積むとすぐに退職して独立してしまうんです。他社からヘッドハンティングされて引き抜かれるケースもある。日本的な仁義のある世界ではないから、プロジェクトの途中だとか会社に恩義があるだろうといった日本的な発想はまったく通用しない」
また先述の浦社長は、こう説明していた。
「当初はきちんと従業員人数分のソフトを購入しても、中国市場は爆発的な成長を遂げているから、現地法人も人数がどんどん増えてしまう。途中できちんと正規品を購入すればいいのだが、現地のマネジャーが『とりあえず』と不法コピーして使っているうちに、収支がつかなくなるまでに不法コピーが増えてしまう。こうなると本社に『正規品のライセンスを購入したい』と稟議を出しても、『ずっと放置しておいて、今さら何をやってるんだ』と怒られてしまうから、現地法人側はなかなか言い出せない。おまけに『せっかくコスト削減のために中国に進出したのに、どうしてそんなにカネがかかるんだ?』などと嫌みを言われることもある」
話を戻そう。
クオリティの浦社長が指摘するようなケースが、いま上海では続発しているという。日系企業が次々と、ビジネスソフトの不正コピーで当局に摘発されているというのだ。
それにしても、いったいなぜ日本企業なのだろうか?――そんな疑問を持つ人は少なくないだろう。そもそも東アジアでの著作権違反といえば、中国企業の著作権意識の低さが最大の問題ではなかったのか。
実際、中国企業の手法は過去にもさまざまなトラブルを引き起こしている。米国製ビジネスソフトの中国語海賊版があいかわらず多数出回っているのは有名な話だし、日本企業も自社製品を勝手にコピーされ、ひどい目に遭っているケースが少なくない。
この件について著作権に関わる業界の関係者に聞いてみた。彼は「これは政治的な問題だ」と前置きし、次のように説明してくれた。
「中国政府も、自国企業の著作権意識の低さについては頭を悩ませている。もちろん積極的に摘発を進める意志はあるが、一朝一夕にそうした文化がなくなるわけではない。その一方で、欧米や日本からは違法コピーの問題をさんざんに追及され続けているわけです。そこで中国政府が考えたのが、他国から進出している外資企業の現地法人をやり玉に挙げ、『そうやって中国を批判しているが、おまえのところの国もひどいことをしているではないか』と反論するという戦術だった」
要するに日系企業が摘発されているというのは、スケープゴートに過ぎないのだという。
とはいえ、だからといって日系企業現地法人の著作権違反が許されるというわけではない。つけ入れられる隙を与えないよう、万全の体制を取るしかないようだ。
不正コピーというと「あいかわらずアジアでは著作権意識が低くて……」という話と思われるかも知れないが、実はそうではない。中国企業が日本のソフトの著作権を無視しているというのではなく、日本企業の従業員たちが、ビジネスソフトを不正コピーして使っていることが問題になっているのである。
先日開かれた社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)総会で、ソフト開発会社クオリティの浦聖治社長が以下のような話を紹介していた。同社は2002年から上海に進出している。
「いま上海の日系企業がたいへん苦労していることはふたつあります。ひとつは違法コピーで、もうひとつは情報システムの維持管理」
「違法コピーに関して言うと、先日も日系企業でこんなことがありました。従業員約300人の現地法人です。この会社にある日突然、上海市政府から電話がかかってきて、『おたくに違法コピーがあるそうなので、調査におうかがいしたい』という。間もなくやってきた市担当者は、アメリカ系のビジネスソフト企業担当者を連れてきているんです。そして『あなたの会社はこのビジネスソフトをこれだけ違法にコピーしてますね』と、違法コピーの正確な状態を示している詳細なリストを見せ、『もし正式に使うのであれば、これだけの追加購入が必要です』という見積書まで持ってきていました」
もちろんこの日系企業は上海市政府の申し出をありがたく受け入れ、ライセンスを追加購入して事なきを得たという。
「上海市政府にどうしてこれだけ克明な情報が入ったのかといえば、推測にはなるけれども、おそらくは不満を持って辞めた社員が退職前に克明に調べておき、当局に通報したのではないかと思われました」
優秀な技術者がまだ数少なく、しかも起業志向の強い中国では、人材の流動化は日本と比べものにならないほど激しい。優秀であればあるほど欧米系の企業などに流れてしまうケースが少なくなく、日系企業はあまり人気を集めていないのが現状だとされる。オラクルの中国担当幹部に取材したことがあるが、その幹部も次のように説明していた。
「せっかくいい人材を日系企業が採用しても、少し経験を積むとすぐに退職して独立してしまうんです。他社からヘッドハンティングされて引き抜かれるケースもある。日本的な仁義のある世界ではないから、プロジェクトの途中だとか会社に恩義があるだろうといった日本的な発想はまったく通用しない」
また先述の浦社長は、こう説明していた。
「当初はきちんと従業員人数分のソフトを購入しても、中国市場は爆発的な成長を遂げているから、現地法人も人数がどんどん増えてしまう。途中できちんと正規品を購入すればいいのだが、現地のマネジャーが『とりあえず』と不法コピーして使っているうちに、収支がつかなくなるまでに不法コピーが増えてしまう。こうなると本社に『正規品のライセンスを購入したい』と稟議を出しても、『ずっと放置しておいて、今さら何をやってるんだ』と怒られてしまうから、現地法人側はなかなか言い出せない。おまけに『せっかくコスト削減のために中国に進出したのに、どうしてそんなにカネがかかるんだ?』などと嫌みを言われることもある」
話を戻そう。
クオリティの浦社長が指摘するようなケースが、いま上海では続発しているという。日系企業が次々と、ビジネスソフトの不正コピーで当局に摘発されているというのだ。
それにしても、いったいなぜ日本企業なのだろうか?――そんな疑問を持つ人は少なくないだろう。そもそも東アジアでの著作権違反といえば、中国企業の著作権意識の低さが最大の問題ではなかったのか。
実際、中国企業の手法は過去にもさまざまなトラブルを引き起こしている。米国製ビジネスソフトの中国語海賊版があいかわらず多数出回っているのは有名な話だし、日本企業も自社製品を勝手にコピーされ、ひどい目に遭っているケースが少なくない。
この件について著作権に関わる業界の関係者に聞いてみた。彼は「これは政治的な問題だ」と前置きし、次のように説明してくれた。
「中国政府も、自国企業の著作権意識の低さについては頭を悩ませている。もちろん積極的に摘発を進める意志はあるが、一朝一夕にそうした文化がなくなるわけではない。その一方で、欧米や日本からは違法コピーの問題をさんざんに追及され続けているわけです。そこで中国政府が考えたのが、他国から進出している外資企業の現地法人をやり玉に挙げ、『そうやって中国を批判しているが、おまえのところの国もひどいことをしているではないか』と反論するという戦術だった」
要するに日系企業が摘発されているというのは、スケープゴートに過ぎないのだという。
とはいえ、だからといって日系企業現地法人の著作権違反が許されるというわけではない。つけ入れられる隙を与えないよう、万全の体制を取るしかないようだ。
特にアドビ系のソフトなど。
しかし、日本企業はソフトをコピーして売ったりするのではなく、社内で使いまわします。
しかし、日本企業を摘発する警察はいません。 こんなことを政治問題に絡めるのは
あさはかではないでしょうか?
人材の流出にしたって、いい人材を確保したければ、それなりの対価をはらうのが常識で、
恩義だとかそういうことは、これからの日本人にも通用しないと思います。
まさに、おっさん的発想です。
たまには、若者と触れてください。
コメントなんかさせないほうがいいんじゃないかと思う。どこにでもこういう人はいるものなんだろうけど、見えてしまうと見苦しいです。
トラックバックのみにした方がいいのでは?
だから、他人にコメントされると、
「知った口利きやがって」となる。
ジャーナリストなんて、今の時代いらね。
今の時代はひとつの記事をみんなで考察する時代だ。
ちょっと勉強になりました。
しかし政策的に日系企業のみをねらっているのであれば問題でしょうが、外資がやり玉にあがるというのはある話だと思います。
佐々木氏のいわれるように隙を作らないということが重要なんでしょうね。
隙もなにも、悪いことしてるのは日本の企業でしょう?
>>政策的に日系企業のみをねらっているのであれば問題でしょうが
別に問題ではないよ。 そんなもんだよ。
http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000017916
阿片戦争の教訓もあり、ソフトベンダの販売戦略に悪意のあるなしにかかわらず、国内資金が海外へ流出するのを防ぐ政策をとっているのでしょう。
ハワイまでは我領土と言っている国ですぞっ。まぁ色々な問題が複雑に絡んでいるからこそ解りにくいのですが、大前提はこういうことでしょ。