HRDworld

 

E36 2din化とエアコンパネル移設

2024-06-17 | クルマの話

E36くらいの年代の欧州車は、オーディオのスペースが1dinというクルマも多いかと思います。今回はそれを2din化して、今風にCarPlayを使えるようにしてしまおうという話。30年(近く)前のクルマでワイヤレスCarPlayが使えたらなかなか良く無いですか⁈ 2024年の今、E36の2din化に興味のある人がどれほどいるかはわかりませんが、それなりに色々とがんばったので記事にしてみます。

さて、私のクルマには買った時にはエクリプスの1dinインダッシュナビがついていましたが、流石に古くなって使い物にならなくなってきました。一方、m235iの方で使っているCarPlayが便利なので、E36でも使えるようにしたいなーと思ったのがことのはじまりです。

ひと昔、いやふた昔?前なら1dinインダッシュナビは色々あったと思いますが、今どき1dinインダッシュのディスプレイオーディオなんて無いに等しいですし、1dinに小さい画面が付いたモデルもあまり便利とは言えなさそうです。そうなると必然的に2dinのモデルが欲しくなります。

E36に2dinをインストールするためには、それなりの加工…少なくともエアコン操作ユニットの移設が必要となります。以前から、Etsyでそのためのキットを売っているのは知っていたのですが、背後にあるヒーターと干渉して、特にオートエアコンの後期モデルではそのままでは組付け出来ないなどの情報がいくつかあり、一筋縄ではいかなさそう。とはいえ、どうしてもやってみたくなり、ある程度の加工は覚悟の上で挑戦してみることにしました。

キットには2dinの枠、エアコン操作ユニットの前面パネル、そしてエアコン操作ユニットとOBC(オンボードコンピュータ)の間を埋めるスペーサです。Etsyには複数のセラーが似た商品を扱って居るので迷いましたが、結果的にこちらのオーストラリアからのセラーさん(Auto3DPrint)から買って良かったと思います。

キットに含まれる長方形のエアコン操作ユニットの前面パネルは、3Dプリント用に前面の意匠が若干単純化されているものの、純正とそっくり交換できるように設計されています。この辺り、3Dプリント愛好家として気持ちはよくわかります。素材はABSとのことですが、柔軟性もあり、プリント品としての自体の品質はなかなかだと思いました。

前面パネル単体を移設予定の箇所に合わせてみるとこんな感じ。オンボードコンピュータと同列に、コンソールのエッジに嵌まる感じで固定する設計の様です。

で、この位置にエアコン操作ユニットを当ててみると、後方はがっつり干渉。ここからはユニットを当てながら、後部の干渉部分をひたすら削って行く地味な作業。結果的に後方左右ともに加工することになりました。特に左側はコネクタ青いギリギリまで削ってやっと何とか収まる感じです。このほかにヒータダクト側をヒートガンで炙って凹ませる、という方法をとっている方もいるようです。

さて、何とかエアコンユニットが収まったらもう一息。もともとこの位置には、シガーソケット部と繋がった小物入れがあるので、そちらもカット要です。カットすることで、固定が若干心元なくなるのですが、とりあえず外れてくることは無さそうです。

さて、いよいよ本題の2dinのディスプレイオーディオですが、今回、数ある製品の中から、コレだ!と思い選定したのがアルパインのiLX-705DMという海外モデル。

 

Alpine - iLX-705DM Premium 2DIN Digital Media Station, car stereo featuring DAB+ digital radio, Apple CarPlay and Android Auto compatibility

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iLX-705Dは多分国内仕様のDA7Zと同等のものなのかな?って感じなのですが、これらのモデルは前から見ると7インチ画面の2dinサイズですが、筐体は1dinで、その筐体が画面後ろ下半分にあります。ところが派生機DMは画面後ろ上半分にあり、元々1dinのスペースしかないE36の2din化に最適なのでは?!と思いこのモデル挑戦してみることにしました。結局、それでもクルマ側も加工することになったのですが…

さてさて、私のクルマには先述の通りもともと1dinナビが付いていたのですが、これはカナック企画の取付キットを使ってインストールされていました。調べてみるとこのキット、パイオニアなど複数ブランドからも発売されていたようです。
現物を見ながら色々考えた結果、このキットのブラケットを加工して使う事にしました。
ただ、そのままつけると画面が飛び出し過ぎるため、無加工でという訳にはいかず、最終的にオーディオ筐体の穴に直接m4のネジを切ると言う荒技?を使い、ブラケット及びクルマ側の干渉部分を切り落として、なんとかいい感じの位置に収めることが出来ました。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

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主役の2dinディスプレイオーディオが固定出来たら、最後は枠です。
2din化キットの枠は汎用品なので、若干干渉がありカット要。そして固定方法は特に用意されておらずスキマにはまるだけなので、あまりキッチリとは行きませんが、まあ遠目に見れば見栄えはなかなか悪くない感じです。

どうでしょうこの違和感!90年代生まれのE36にCarPlayの画面が映っている、このなんともミスマッチな見た目が達成感をもたらしてくれる2din化作業でした。

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自作アライメントゲージ2023 その4 キャンバ測定

2024-02-04 | 自作アライメントゲージ

またまた自作アライメントゲージの話。もう2024年ですが、2023年版の話です。

今回はキャンバ測定について。トー測定の話をその3で先に書きましたが、通常キャンバ測定・調整⇒トー測定・調整の順に作業を進めます。これはキャンバの変化がトーに与える影響が、その逆よりもずっと大きいためです。

さて、キャンバ測定はとってもシンプルで、下記のようなデジタル角度計をそのまま使うので、特に難しいことはありません。こうした角度計は底面や側面にマグネットがついているものが多いですが、あいにくアライメントゲージがアルミ製なので使えず、3プリントしたホルダを使ってゲージの縦パイプ部に当ててキャンバを読み取ることになります。


 

  

また近頃のスマホの加速度センサはとても高性能ですので、スマートフォンの角度計アプリを使うのも良いと思います。下記のアプリを手持ちのiPhone12miniに入れて、デジタル角度計と比較してみましたが、おおむね0.05°以内の差のようですので、十分実用できそうです。この手のゲージはもともと精度±0.1°くらいだと思うので、あまり細かい数字にこだわっても意味がありません。ホルダはスマートフォンの使用も想定して設計しましたが、一点うっとうしいのがスマホ側面のボタンです。そのまま取付ようとしても真っすぐ取り付けられないので、やむなくスペーサを使っています(画像の青色部分)。

 

 

‎角度と傾斜を測定 - 水準器、傾斜計、分度器、角度計

‎角度と傾斜を測定: ポケットサイズの一番正確な傾斜計とデジタル水準器。懐中電灯+コンパス+定規+カメラ測定を含む - すべてがひとつの便利なアプリになりました。角度を...

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そうそう、1点注意したいのが、デジタル角度計の側面を基準にする場合、右なら右、左なら左をいつもゲージに当てるようにするといった調子で、常に同じ側を使ったほうがよさそうです。私が買ったものがイマイチなだけかもしれませんが、左右で0.2-0.3°の違いがあるようです。私の場合、右側の側面を使ったときにスマートフォンのアプリとほぼ同じ値なので、そちらを使うようにしています。

 

…記事を書いていてふと気になったことが、鬼キャン(死語?)なクルマだとどうなるのか、というところです。キャンバ測定自体は特に問題ないのですが、私のアライメントゲージのみならず、だいたいトー測定用のメジャーやスケールのホルダはホイール面と直角になるようについています。キャンバが3-4°くらいまでの普通の範囲では特に問題になりませんが、10度に近いようなキャンバ角になると、トー測定用の部分に角度が付きすぎてしまい、うまく測定できなくなりそうな気がします。今風にいうとキャンバーギャング?な皆さんはどうやってアライメント調整しているのでしょうか。

自分はそういったクルマを作ったり乗ったりするつもりはないので必要ないのですが、気になったので少し考えてみました。以前説明している通り、このアライメントゲージ20mmのアルミ角パイプを使っていますが、トー測定用のバーだけを直径20mmの丸パイプに変更してスクエア型に組んでみると、トー測定用のメジャーホルダを独立して水平に保つことができますので、これならどんなキャンバ角でもトー測定ができそうです。ちょっと試す機会がないですが、もしかしたらアライメントゲージ2023版はそうった特殊な需要?にも対応できるかもしれません。

 

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自作アライメントゲージ2023 その3 トー測定

2023-12-26 | 自作アライメントゲージ

またまた自作アライメントゲージ2023の話。

今回はトー測定についてです。その1で触れた通り、2023年版は2個のメジャーを使ってトー測定する方式としました。というか、メジャー方式と糸張り方式の併用といった感じです。実は、2009年版同様、糸張りで左右のトー測定をすることも可能です(下のほうで説明します)。ところで、写真のクルマは少し前から私の相棒になってくれているBMW 2シリーズクーペ(F22)のm235iです。このクルマの話もまたぼちぼち書こうと思います。

 

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1. メジャー方式によるトータルトーの測定

さて、まずはそのメジャー方式の説明。これはかなりシンプルで、1対のメジャーで、タイヤの前端と後端あたりの距離を測ることでその角度(トー)を知ろうというものです。メジャーの精度ってどうなんだ?と思われるかもしれませんが、読み間違いが少ない(これ重要!)ですし、案外ちゃんと測れるもんだなあというのがやってみた感想です。

メジャーによるトー測定の例 (画像はGoogle画像検索より)

  

 

ところで、トーが角度ではなく「トーイン1mm」などのように表現されていることがあるかと思います。この場合、トーによりタイヤ前端と後端でどれくらいの距離の差が生まれているか、というのを長さで表現したものですので、メジャー方式と概念的に合っていると思います。この場合、2個のメジャーの距離をタイヤ外径と同じにしておくことで、測った値を直接トーの値として読むことができます。(2023年版の良いところは、サイズが自由に変更できることです!)

 

一方、このメジャー方式からトーを角度として知りたい場合、ちょっとだけ計算が要ります。

右に概略の図を示しました。タイヤ前側のメジャーの読みをA、後ろ側をBとして、その差がB-A、そしてメジャーの距離をLとします。するとトータルトーは三角関数を使って以下のように計算できます。この時、厳密にいえばメジャーの間隔Lと三角形の高さはイコールではありませんが、トー角は比較的小さいので、三角形の高さはLと等しいと仮定しています。

ここで、メジャーの間隔Lの値はどうするか?という話ですが、先述の通り、トーを「mm」で見たい場合はタイヤ外径にしておくと便利です。角度で見る場合は、Lは計算式に入ってるので任意の値でOKです。

ただExcelで、メジャーの読みとメジャーの間隔Lに対しての換算表を作ってみると、ちょっと面白いことがわかりました。Lを573㎜あたりにすると、メジャーの読みでトー1.0mmだった場合に角度が0.1°、2.0mmの際に角度0.2°といった具合に、角度がちょうど読みを1/10した値になることがわかりました。570-580mmくらいというのは現実的にも悪くないサイズだと思うので、それくらいにメジャーの間隔Lを設定しておくのも便利です。

 

 

2. 糸張りアライメント

さて、ここまででトータルトーがわかりましたが、左右の個々のトーはわかりません。リヤのトーに左右差(スラストアングル)がある場合、クルマが斜めに進むことになりますし、フロントのトーに左右差があるとステアリングホイールのセンターがズレてしまいます。そこで前後に糸を張って左右のトーを合わせる基準にしたいわけです。

糸張りアライメントというと、大きく分けて2つの方法があります。1つ目はクルマの前後に同じ長さのバーを配し、それらに糸を張る方法。簡単な方法ではジャッキスタンドなどでバーを支えることもできますが、クルマを動かすとズレてしまうので、これはちょっと面倒。一方クルマの前後にバーを固定する方法はレーシングカーでも使われている方法のようで、信頼性の高い方法と言える思いますが、DIY用途には結構大掛かりになります。

クルマに固定せずにバーを支える例 (画像はGoogle画像検索より)

クルマにバーを固定した例 (画像はGoogle画像検索より)

 

 2つ目の方法は、前後ホイールに取り付けたゲージに糸を張る方法。こちらはホイールへの取付だけで完結するので比較的お手軽です。有名なメープルA1ゲージなどがこのタイプ。私の自作アライメントゲージ2009年版もこの方法だったわけです。(画像はこちらよりお借りしました)

 

その1で書いた通り、2009年版では前後に糸を張る際にスペーサを使って前後のトレッド差を吸収する考えだったのですが、キャンバの影響への対応は難しかったです。また、そもそもクルマがスペック表通りの寸法か?というのも疑問が残りますが、糸の平行を確認する良い方法がなかったところが悩ましい点でした。糸の平行度はトーの絶対値に大きく影響してしまうため、2023年版ではメジャー方式と糸張りの併用により、このあたりの悩みを解決しようという考えです。

で、どうやって糸を平行に張るかについて。下の左側の図に示したように、前後輪それぞれで左右ゲージ間の距離を測れるので、それぞれのゲージに取り付けたスケールの糸張り用のフック付きスライダーを調整して

となるようにすることで、前後でほぼ同じ幅に糸を張ることができるようになります。ここで(20mm)というのはアルミ角パイプの分なのですが、前後ともにこの値はあるので、無視しても結構です。大事なのは左右のスケール部のフック位置(左右のC、左右のF)が同じこと、A+2CとB+2Fの値が同じなることです。

糸が張れたら、いよいよ測定です。トータルトーはメジャー方式でも測れるので、糸張りアライメントは左右の値を合わせるだけに使うのも良いと思いますし、個別トーを糸張りで測って、メジャー方式と照らし合わせるのも良いと思います。ここでも、ゲージに付けたスケールの距離を570-580mmにしておくことで、スケールの読み⇒角度への変換が簡単になります。

さて、この方法だと比較的簡単に糸張りができるのですが、ちょっと気を付けないといけないこともあります。左右ゲージ間の距離をメジャーで測定することで、左右の糸同士は平行にできるのですが、ホイールに付いたゲージから糸を張っているので、糸とクルマの平行具合はトーの左右差に影響を受けてしまうということです。

このあたりを考慮して、トー調整の順序を下記のように考えてみました。

1. まず調整前の状態を考えると、下図のように左右のトーは合っていない可能性がありますし、またステアリングのセンターも出ていないかもしれません。この状態で上記のようにA+2C=B+2Dとなるように糸を張ると、糸同士は平行になりますが、クルマとは平行にならない可能性が高いです。糸とクルマが平行になっていないことは、EとE'やFとF’がそれぞれ同じになっていないことに現れます。

2. リヤのトーを調整するために糸とクルマを平行に近づけたいので、ひとまずハンドルを調整して、E=E’となるようする。まだリヤのトーに左右差がある(FとF’は同じではない)ので、厳密にいえば糸とクルマはまだ平行ではありませんが、ここでリヤトーを、F=F’となるように調整していきます。この時、Bの値が変わる可能性があるので、その際はDおよびD’を再調整して糸の平行を維持するようにします。

3. リヤのトーに左右差がなくなって、F=F’となれば、糸とクルマも平行になっているはずです。この時点ではハンドルはまだズレていますが、リヤの調整は完了。

4. リヤのトーの調整が済んだら、ステアリングホイールをセンターに戻す。こうするとEとE’は再び異なる値になるので、これを合わせるようにフロントのトーを調整する。先ほどと同様に、トー調整によりAが変化する可能性が高いので、その時はBおよびB’を再調整して糸の平行を維持するようにします。

5. フロントのトーを調整し、E=E’となれば、再び糸はクルマと平行になっているはず。ここでFとF'を確認すると、3のところで、リヤを調整するときににE=E'の状態で調整したので、F=F'に戻っているはずです。

と、ちょっとややこしい気もしますが、こんな感じで進めていけば、ホイールに取り付けたゲージから糸をはる方式のデメリットを最小限に出来るのではないかと思います。「こんな煩わしい手順を踏むくらいなら前後に長いバーを付けたほうが良い!」と思われる方もいるかもしれませんが、ごもっともだと思います。前後に長いバーを付ける方法は王道ですし、シンプルで良いと思うのですが、前後のアタッチメントを汎用化するのが難しく、また車両とのセンター出しは結局ホイールに位置によることになる…など、実際やろうとするとそれはそれで悩ましい面もあると思います。何事も一長一短ですので、各自好きな方法を選ばれるのが良いと思います。

個人的には、これはこれでそこそこ良いDIY用アライメントゲージになったんじゃないか?と思うのですが、いかがでしょうか。

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自作アライメントゲージ2023 その2 ホイールアタッチメント

2023-11-20 | 自作アライメントゲージ

さて、前回に引き続き自作アライメントゲージ2023の話。

アライメントゲージのリム取付アタッチメントというと、構造的にはタイヤとホイールのリムの間のわずかな隙間に引っ掛けるような構造が一番自然かと思います。画像検索してみると、こんな感じの画像がいろいろ見つかります。で、ホイールのリム部はスペース的に厳しいこともあり、通常は右下の画像のような機械加工のアタッチメントを使うことになります。

リム取付方式の例はこんな感じ。(画像はGoogle画像検索より)

  

  

でも、それだと自作のハードルが高いので、何とか3Dプリントできる形にしたい。また、ホイールとタイヤとの組合せによってリムの露出具合も様々なので、多少なりとも調整幅は持たせたい。そして、ゲージとホイールがどんな角度で取り付けられるかは状況次第なので、回転できる構造である必要がある。そして何より、3Dプリンタで製作した部品の精度に依存しない構造(組み立て時に調整できる構造)にしたい…。

と、いろいろなことを考えてアレコレ試行錯誤したら、こんな形になりました。

 

さて、下の画像はアタッチメントASSYの調整の様子。上の図でいう、Lの寸法がホイールリムからアライメントゲージ(アルミパイプ)までの距離を決めていますが、ネジによる調整式なので3Dプリントした部品の精度によらずに個々に調整できます。またアタッチメントのフック部分とボルト頭は回転できるとともに、軸方向に相対的に少し動かせる構造になっています。これでリム形状の微妙な違いを吸収できる…と良いな、という思いで設計しました。

ところで、アタッチメントの「ツメ」部分はホイールリムとタイヤの隙間に入らないといけないため、それなりに薄くないといけないのですが、あまり薄いと強度不足になります。できるだけいいバランスになるように、と思って設計しましたが、3Dプリントした樹脂部品だと、それなりに厚くなります。タイヤを引っ張り気味な場合はホイールリムの露出が大きくなるので比較的問題ないと思いますが、そうでもない場合もあるかと思います。

一応そういう場合を想定して、3Dプリント部品と薄い板金部品(t=0.5㎜)を組み合わせるバージョンも作りました。これなら結構スペースのタイトな場合でもある程度対応できるのではないかと思います。0.5mmの板というとペラペラなのですが、ゆるくカーブした溝にはめて固定するため、そこそこしっかりしています。下の画像は板金バージョンの取付例。アルミ板でも使えなくはないですが、ステンレスが良いかなという感じです。

さて、そんなこんなでホイールアタッチメントの話はこれくらいにして、次はいよいよ測定方法の話にしようと思います。

その3に続きます。

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自作アライメントゲージ2023 その1

2023-11-19 | 自作アライメントゲージ

このブログに自作アライメントゲージの記事を書いてからなんと早14年。今でも結構アクセスがあるみたいなので、やはりDIYでホイールアライメントを測ったり調整したりしたい!という人は結構いるのかなと思います。で、実は2023年となった今、新しい自作アライメントゲージを作っています。

14年経っても特にやりたいことが変わったわけではないのですが、一番の違いは3Dプリンタの導入により、3D-CADで設計→3Dプリンタで部品製作という方法が使えるようになったことです。これにより部品設計・製作の自由度がぐっと高まったことが、そもそも今更新しいアライメントゲージを作ろうと思ったきっかけでもあります。

ここで、まずは前回の自作アライメントゲージ(以下、2009年版と呼ぶことにします)を振り返ってみます。基本的にはアルミ材を利用したシンプルな構成ですが、いくつか気になる点もあります。私が思う2009年版の主な問題点は…

1. トー測定用の糸が平行か確認する手段がない

過去の記事でも書いている通り、前後ゲージに糸を張って、そこを基準にトーを測ります。この方式は、後輪のトー左右差によるスラストアングルや、前輪のトー左右差によるステアリングセンターなどの調整には悪くないと思うのですが、トーの絶対値は糸の平行度に依存します。理論的には前後トレッド差はゲージの中央部にスペーサを挟んで調整できるのですが、現実的には結果として平行になっているかを確認する手段に乏しいため、トーの絶対値が怪しくなります。

2. ホイールナットを利用してゲージを取付ける方式

この手のアライメントゲージは、リム取付方式かホイールハブ(ホイールナット)取付方式かに大別できるかなと思いますが、2009年版は貫通ロングのホイールナットを利用した取付方式でした。手軽でよい方法ではあるのですが、ホイールナットの寸法個体差や、締め付け方などにも影響を受けますし、短い距離で長いゲージを保持することになるため、ホイールとちゃんと平行になっているかという観点でいうとリム取付方式が有利かなと思います。また多くの欧州車などホイールボルト式の車に取り付けできないというデメリットもあります。一方でリム取付方式はリムの損傷やホイールの歪みの影響を受けますので、一長一短で、ホイールナット方式がダメということではありません。またリム取付式の場合、ホイールを傷つけずに安定して取付できるアタッチメントの設計・製作ハードルが当時の私には高かったです。

3. 製作にそれなりに手間がかかる

これは人によると思いますが、アルミ材を切ったり穴を空けたりといった作業が結構発生しましたし、一部機械加工要な部品がありました。

このあたりを考慮して、2023年版は

  • 3Dプリント部品とアルミ角パイプを利用したモジュール設計(サイズ・組合わせ自由)
  • アルミ材の加工は必要な長さに切りだすのみ。穴あけも無し
  • 3D形状のアタッチメントを用いたリム取付方式
  • トー測定は前後の糸張りだけでなく、簡単なメジャー方式も併用
  • ゲージの精度は3Ⅾプリント部品に依存しない設計

といったことを目指して設計しました。

↓3Dプリント用データはCults3Dで頒布しています↓

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とりあえず基本形として考えたのが、こんな感じで20x20㎜のアルミ角パイプをTの字に配置したレイアウト。ホイールリムの3か所にアタッチメントで取り付けます。3点支持は安定しますし、シンプルな構成でトーやキャンバーを測定するための"面”を作ることができます。写真にメジャーが2個見えますが、これらがトー測定用となります。

え?メジャーでトー測定するの?それだと左右の個別トーがわからないって昔言ってなかった?と思われた方、その通りです。この手のメジャー2本でトー測定する方法は、あくまでトータルトーしか測れません。もちろんそのままでは困るので、前後の糸張りもできるようになっています。メジャー方式は比較的簡単にトータルトーの絶対値を把握できますが、個別トーがわからない。一方前後糸張り方式は左右を個別に測定できる反面、トーの絶対値がわかりづらい。じゃあそれらを併用して良いとこ取りしよう!という考えです。

さて、このT型レイアウトですと不都合が生じる場合もあるかと思います。特に地上高が低い車(かつホイール径が小さい)や、フェンダーがタイヤにかぶるような車ではT型レイアウトは厳しいと思います。

そんな場合には、少し部品を追加して、こんな風にスクエア型に組むこともできます。この場合、トー測定バーの高さはホイールリム位置と関係なく設定できますので、地面スレスレでもOKです。

一応こだわったところが、アルミ角パイプに穴あけなどの加工をする必要がありません。好きな長さに切るだけで、あとは3Dプリントした部品で組み立てます。なので、製作が簡単なのはもちろん、例えば複数の車に使うのに組み換えが必要になるとか、そういった場合でも対応がしやすいかなと思います。

さて、アレコレ書き出すと長くなってしまうので、とりあえず今日はこの辺で。次回以降は順番に詳細について書いていこうと思います。まずはホイールアタッチメントについてにする予定。興味のある方は久々にお付き合いいただければと思います。

その2に続きます。

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SV650ABS USBソケット ブラケット製作と取付

2023-11-09 | バイクの話

またまたものすごく久しぶりの投稿です…なんと3年ぶり!

私はというと最近(でもないんですが)、3Dプリントなる新しい趣味をはじめてどっぷり浸かっております。とはいえ、私の場合3Dプリントそのものが目的というわけではなくて、他の趣味のための部品製作というのが主な要素です。

今回はそんな3DプリントでSV650の部品を作ってみた話。

バイクでスマホナビの利用が定着してきて久しいですが、そうなると気になるのが電池で、かねてから充電用のUSBソケットが欲しいなあと思っていました。とはいえ、ハンドルバーに市販のブラケットを介してつけると後付け感満載になるので、なんとかすっきり取付できないものかと思って専用のブラケットを作ってみようと思い立ちました。

で、まず結果から。じゃーん。

どうでしょう?左右に汎用のアクセサリが取り付けられれるようになっていて、自分の場合は右にUSBソケット、左側は電圧・気温です。

もともとメーターとトップブリッジの間に妙な(?)隙間があったのですが、そこがちょうど埋まっていい感じかなと思います。取り付けはトップブリッジ裏面の、なぜか使用されていないM6のネジ穴2つを利用していますので、車体側は無加工です。

これ、どうやって作ったかというと、バイクのメーター周辺を3dスキャンして、3次元CADで例の隙間にピッタリはまるように設計、そして3Dプリンタで部品製作しました。こんなことが自宅で出来るようになるなんて…と思うとちょっと感慨深いですね。自分で3dプリントを始める前は、趣味用の3dプリンタじゃあ実用に耐えうる部品なんて作れるのかなあ?とちょっと懐疑的な部分もあったのですが、かなりしっかりしたものが作れます。こんな感じで3dプリントでクルマ・バイク関係の部品をちょこちょこ作っていますので、少しずつ紹介出来たらと思います。

 

さて、このアクセサリブラケットは、せっかくいい感じにできたので、3Dプリント用のファイルをこちらでシェアしています。興味のあるかたはどうぞ。

 

Suzuki SV650 3rd generation (2016-) USB socket/Voltmeter/accessory bracket

This is a USB socket/voltmeter/accessory bracket kit for SUZUKI SV650 3rd generation (2016-). I wanted to attach an USB charging socket for my SV650 but didn&...

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SV650ABS ストライプ色変更

2020-07-25 | バイクの話
私のSV650の白タンクと青ホイールの組み合わせ、とても気に入っているのですが、タンク上のブルーのストライプがちょっと青すぎな気がして好みではありませんでした。かと言って、クリアの下のステッカーですので、簡単に剥がすこともできません。
で、ある日ふと、カッティングシートを上から貼って隠すくらいでも良いかも?と思いつき、とりあえずやってみました。


これが元の状態
そういえばハンドルとかミラーも純正から変わってます。このミラー位置はお試しでやってみたんですが、ちょっと見づらいですね…。

さて、出来上がりはこんな感じ。
素人仕事なので近くで見てはいけない仕様ですが、パッと見は結構いい感じに出来たのでは?と自画自賛してます^^

どうやってやったかと言うと…


こんな感じ。
3Mのナイフレステープを既存のストライプに沿って貼っておき、シート貼り付け後にカットするという方法です。



前側も同様に。

また、リヤにはPowerbronze(パワーブロンズ)というブランドのシートカウルをつけているので、こちらにも共通した雰囲気のストライプを入れてみました。


感覚で適当に…
 うん、なかなかそれっぽくできた?!
全体像はこんな感じです。
ちょっと落ち着いた感じになり気に入りました^^
お手軽イメチェン、おすすめです。
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SV650ABS フレームのジャッキアップ

2020-06-13 | バイクの話
整備などでフレームを支えたい場合の話。
SV650にいわゆるバイク用ジャッキを使おうとすると、エキゾーストパイプが邪魔なので、けっこう高い受けが要ることになるとと思います。


↑こういうロングアダプタ付きの製品が有ればよかったのですが、ちょうどいいのが無かったので、ちょっと工夫してこんな風に使っています。




フレーム受け部分の代わりにM20x100のボルトと樹脂製のボルトカバーをV型にカットして装着。これで高さを稼ぐと共に、幅の狭い受けができます。キャップのV溝はフレームに合わせて適当に。




フレーム左側のこの辺り、サイドスタンドがあったりマフラーのブラケットがあったりと狭くて、ボルト頭の幅でもこの通り結構ギリギリなので、市販のアダプターだと加工要かもしれません。

見た目的にフレームを受けている箇所が小さいですが、それなりに安定してます^^

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SV650ABS SW Motech クラッシュバー

2020-06-06 | バイクの話

SVでジムカーナ的なことをして遊びたいなーと思っていて、転んで傷つける前に何かしらバンパー的なものをと、こちらを購入。SW Motechってあんまり聞いたことなかったですが、日本でも普通に売ってるみたいですね。




まずは出来上がりからですが、横から見た目はフレームと溶け込んでて良い感じかな?と思います。


キットの内容物はこんな感じ。

締結ポイントなど、意外と凝った形してます。
 
取り付けはエンジンを固定している貫通ロングボルト、左右からヘッドを固定しているボルト、更に左右を連結すると言うものです。既存のボルトを使うという制約のためか、クラッシュバー上側がけっこうな片持ちになるのがイマイチな気もしますが…?!
 
 
さて、前後スタンドに載せ、エンジンを下からジャッキで支えながら作業しました。
特にエンジンが下がってくる気配はなかったですが、念のためこうしておいたほうが良いかと思います。

 
部品の出来はかなりよく、左右連結するのにも苦労はなかったです。ただ、左右バンパーの連結部はM6ボルト・ナットx2での固定なのでちょっと頼りない気もしますが…もしかしたらここは強すぎないほうが良いのかも。
 


前から見るとこんな感じ。
幅方向にはそこそこ張り出しているので前から見ると目立ちますが、その分ある程度守ってくれそうな形状してるかなと思います^^
 
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SV650ABS ブレーキパッド/ブレーキホース交換

2020-05-23 | バイクの話

SVを買って割とはじめに手を付けたのがブレーキ。純正状態はなんとなく頼りないので、とりあえずよく効きそうなパッドを…ということでこちらで入手性の良いEBCのシンタードパッドに交換。

EBC “Double-H” sintered pad 
品番はF: FA229HH/FA231HH, R:FA496HHです。
 
これで結構効く印象にはなりましたが、その後柔らかいタッチを改善しようとブレーキホースも交換しました。
ブレーキホースの交換というと4輪2輪ともに何度となくやっている作業なんですが、ABS車ということで、ちょっと面倒です。
用意したパーツはSPIEGLERというメーカーのものですが、説明をみるとSV650用キットは6本構成となっています。ざっくりと車体を見て、前3本・後2本の5本が交換対象だと思っていたので、あと1本はどこ?となっていました。
 
ABSユニットから帰ってくるラインの接続部はこのあたり(サービスマニュアルより)
 
SV650の場合、フロントのマスターシリンダから、車両後部のABSユニットに行き、折り返してステアリングヘッドまで帰ってきてからキャリパに接続されます。このフレーム裏に隠れている配管部分(上図の赤丸あたり)にゴム配管があるため、これが6本目となっていたのでした。
そしてこの部分の交換作業は、タンク及びその下のエアクリーナボックスを外して行う必要があります。
 

現物だと接続部はこんな感じ
 
タンクを支えて作業中(エアクリーナボックスも取り外す必要があります)

タンクの支え棒が純正部品として出ているみたいですが、とりあえずエクステンションとソケットの組み合わせでもそれなりに安定していました。
 

接続部は4輪ではお馴染みのフレアパイプ


ラジエータ前の分岐点は純正に準じたレイアウト。
ココが一体になっている製品もあるようです…漏れトラブルなどのリスクを考えるとそっちのが良かったかも。


リヤはこんな感じ。
削り出しブロックが並ぶメカメカしい雰囲気ですが割と好きです(笑
 
さて交換後は月並みな感想ですがカチッとします。
でもなんとなく期待値よりはカチッとし切らない?ような気もしますが、ABS車だからなのかなあ…うーん。
でも純正状態よりはだいぶ頼もしい感じになりました。
 
そうそう、このSpieglerのホースで良いのが、バンジョーの向きを自由に回転させられるようになっていることです。
画像のようにプライヤなどでくわえておいて、適当な棒をバンジョーに差し込めば回せます。
これで取りまわしの自由度はかなり上がるのでとても気に入りました^^
 
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