矢島慎の詩

詩作をお楽しみください。

焚き火の中でゆれるもの

2005-04-11 12:43:35 | Weblog
理恵は急に僕の頬を平手で打った
「何するんだ」と言いながら
僕も理恵の胸や足を叩いてやった
「エッチ」と言いながら僕を追いかけ
理恵の部屋の中を走り廻っていた

運動不足になったり少しむしゃくしゃすると
理恵は決まって僕に跳びかかってきた
「アパートの下の人に聞こえる」と
僕に静かにするように言いながら
自分は子供のようにはしゃぎ廻り
突然「そばでも食べようか」といった

交差点の角にある屋台のそば屋で
風除けの板で囲われた中に長椅子と焚き火があった
「あったかいね、おいしいね」と
何度も言いながらラーメンを並んで食べた
屋台の脇には犬がつないであり
理恵は「今日もいるいる」と言って犬と遊び始めた

僕はラーメンを食べる手を止め焚き火にあたりながら
ふっと、「この幸せがずっと続けばいいのにな」と思った
犬が急に体を震わせると
理恵はびっくりして僕に身体を寄せた