彼女は自分のバッグに誤って口紅をつけた
ティッシュで拭うが僅かな染みとなり残った
私は染みをとってあげようと言った
彼女はいぶかしげにバッグを差し出す
バッグは彼女の元彼からの贈り物だった
喧嘩をして謝り、許してもらった後の余韻
口紅の染みはそれに似た想い出の余韻だった
想い出の余韻は自然に消えるに任せるべきもの
差し出したのはバッグではなく彼女の記憶だった
私は彼女から元彼の記憶を消したかったのだ
簡単に取れる、いや取ろうと思い薬品を使った
薬品は彼女の心の世界には馴染まなかった
液体はバッグの染みの周りを色落ちさせた
まるで彼女の想い出の周辺をも消し去ったようだ
呆然となった彼女だが微笑をまぶし私を許した
いや許したのは記憶を消そうとした私の動機だけ
想い出を消すのが罪になるとは気がつかなかった
心に立ち入る過信に戒めの罪状が突きつけられた
私たちの関係が終わりを迎えた後も
私のよこしまさに対する罰は今も執行中だ
ティッシュで拭うが僅かな染みとなり残った
私は染みをとってあげようと言った
彼女はいぶかしげにバッグを差し出す
バッグは彼女の元彼からの贈り物だった
喧嘩をして謝り、許してもらった後の余韻
口紅の染みはそれに似た想い出の余韻だった
想い出の余韻は自然に消えるに任せるべきもの
差し出したのはバッグではなく彼女の記憶だった
私は彼女から元彼の記憶を消したかったのだ
簡単に取れる、いや取ろうと思い薬品を使った
薬品は彼女の心の世界には馴染まなかった
液体はバッグの染みの周りを色落ちさせた
まるで彼女の想い出の周辺をも消し去ったようだ
呆然となった彼女だが微笑をまぶし私を許した
いや許したのは記憶を消そうとした私の動機だけ
想い出を消すのが罪になるとは気がつかなかった
心に立ち入る過信に戒めの罪状が突きつけられた
私たちの関係が終わりを迎えた後も
私のよこしまさに対する罰は今も執行中だ