Financial and Social System of Information Security

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全米第16位のシリコンバレー銀行がカリフォルニア州「金融保護・イノベーション局 (DFPI)」によって閉鎖、連邦預金保険公社 (FDIC) を同銀行の管財人に指定、DINB を設立

2023-03-12 17:45:53 | 米国の金融監督機関

 カリフォルニア州の銀行規制当局である「金融保護・イノベーション局(California Department of Financial Protection and Innovation (DFPI)」は、世界的な金融危機以来最大の米国の銀行破綻で、問題を抱えたハイテク貸し手のシリコンバレー銀行(Silicon Valley Bank:以下、SVBという)、閉鎖し、法的権限にもとづき、引き継ぎ、担保としての資産と業務の一時所有にかかるDFPI commissioner(最高責任者)命令を発出した旨、リリースした。

 2008 年国際的金融危機(リーマン・ショック)以降、 米国史上 2 番目に大きな銀行破綻となる。 最大のものは、2008 年のワシントン・ミューチュアルの破綻であった。

 カリフォルニア州金融保護・イノベーション局 (DFPI)(最高責任者:Clothilde V. Hewlett)(注1) は3月10日、カリフォルニア州金融法第 592 条(注2)に従い、不十分な流動性と支払不能を理由にSVBの資産、業務を所有したと発表した。またDFPI は、連邦預金保険公社 (FDIC) をSVBの管財人(receiver)として指定した。

Clothilde V. Hewlett

 これと時期を合わせ、仮想通貨(暗号資産)分野に注力した結果、苦境に陥ったシルバーゲート銀行(Silvergate Bank)の持ち株会社の「シルバーゲート・キャピタル(Silvergate Capital)」は3月8日、銀行業務を終了し、任意清算に踏み切ると発表した。

 同社が本社を置くカリフォルニア州DFPIは3月8日、暗号資産を扱う最大手の銀行の1つであるシルバーゲート銀行が、自主的に清算プロセスを開始したと発表した。

 このように暗号資産や新興IT関連企業への融資から撤退する銀行が出始めており、米連邦準備制度理事会(FRB)によると、シリコンバレー銀行の総資産は全米で16位、主に新興IT関連企業への融資を手がけてきた。FRBの急激な利上げに伴う債券価格の下落で、保有していた米国債などに含み損が出ていたほか、利上げで取引先のIT関連企業の資金繰りが悪化したのを背景に預金の流出が相次いだことも響いたとある。

 SVBの影響を最も深く受けたのはベンチャーキャピタル企業とテクノロジースタートアップ企業であったが、多くの暗合資産企業も銀行への摘発(exposure)を開示している。

 はたしてこれらの動きが米国の金融システムにいかなる影響を与えるのか、米国だけでない世界的な影響を見る必要がある重大な問題として監督機関の法的措置、事実関係や金融システム全体への影響問題を概観したい。

1.Silicon Valley Bankの経営破綻問題の概観

 SVBは、サンタ クララに本拠を置く州認可の商業銀行であり、連邦準備制度のメンバーであり、2022年12月31日時点で、シリコンバレー銀行の総資産は約2,090億ドル(約28兆4200万円)、預金入金は約1,754億ドル(約23兆8500万円)であった。SVBの閉鎖時点では、保険限度額を超える預金額は未定であり、その金額は、FDICが銀行および顧客から追加情報を入手した時点で決定される。

 米連邦準備制度理事会(FRB)によると、SVBの総資産は全米で16位である。主に新興IT関連企業への融資を手がけてきた。FRBの急激な利上げに伴う債券価格の下落で、保有していた米国債などに含み損が出ていたほか、利上げで取引先のIT関連企業の資金繰りが悪化したのを背景に預金の流出が相次いだことも響いた。

2.FDICリリースの概要

 FDICリリースを仮訳する。FDIC保険につき保障の詳しいQ&A形式の解説例がある。

  カリフォルニア州サンタクララにあるSVBは、3月10日、連邦預金保険公社 (FDIC) を管財人に指定したカリフォルニア州金融保護・イノベーション局によって閉鎖された。被保険者を保護するために、FDICは預金保険国立サンタクララ銀行 (DINB) を設立する。(注3)

 被保険者のすべての預金者は、2023年3月13日(月)の朝までに、被保険者の預金者に完全にアクセスできる。FDICは、保険のない預金者に来週中に前払いを支払う無保険の預金者は、無保険の資金の残りの金額について管財人証明書をもとに受け取れる可能性がある。

 SVBは、カリフォルニア州とマサチューセッツ州に 17 の支店を持っていた。SVBの本店とすべての支店は、2023 年 3 月 13 日(月)にDINBにより再開される。新設されるDINB は、シリコンバレー銀行の銀行業務であるオンラインバンキングやその他のサービスを含め、遅くとも 3月13 日(月)までに再開される。また、SVB銀行の公式小切手は引き続き決済される。同時にFDIC は DINB を設置して、顧客が被保険者の資金に引き続きアクセスできるようにする。

 2022年12月31日時点で、シリコンバレー銀行の総資産は約2,090億ドル(約28兆4200万円)、預金入金は約1,754億ドル(約23兆8500万円)であった。SVBの閉鎖時点では、保険限度額を超える預金額は未定であり、その金額は、FDICが銀​​行および顧客から追加情報を入手した時点で決定される。

 保険限度額250,000ドルを超える口座をお持ちの客様は、FDIC フリーダイヤル 1-866-799-0959 まで連絡されたい。

 SVBの管財人としてのFDICは、その後の処分のためにSVBからのすべての資産を保持する。また、ローンの取引顧客は、通常どおりDINBに返済を続ける必要がある。

 SVBは、今年破綻した最初のFDIC被保険者機関である。以前は 2020年10月23日に最後に閉鎖されたFDIC保険機関は、カンザス州アルメナのアルメナ・ステート銀行であった。

3.DFPISVBの銀行免許(license)ライセンスの一時停止または一時所有権取得(Possession)についての法的規定の根拠

 カルフォルニア州Financial Code(金融監督規制法) – FIN」の該当部分を仮訳する。

DIVISION 1節 FINANCIAL INSTITUTIONS 第99条-第819 条

第6章(CHAPTER 6) 法執行(Enforcement)  第550条-第595 条 

第5編(ARTICLE 5)行免許(license)ライセンスの一時停止または一時所有権取得(Suspension or Possession of a License ) 第590条-595条 

  ( a )から( k )までのサブディビジョンに記載されている要因のいずれかが免許事業者(Licensee)に関して真実であるとDFPIコミッショナーが明らかとなった場合、コミッショナーは命令により, 事前の通知や聴取の機会なしにライセンシーの財産と事業を一時的に所有する。

( a ) 免許事業者は、( 1 )コミッショナーの管轄下にある部門、( 2 )の公布された規制の条項に違反している, または、コミッショナーの管轄に従い、( 3 )その他の適用法の規定、( 4 )コミッショナーによって発行された命令の規定に違反, ( 5 )コミッショナーとライセンシーの間で行われた書面による合意の規定に違反、または( 6 )コミッショナーによって付与された書面による承認に課される条件違反。

( b ) 免許事業者は、安全でない方法または健全でない方法で事業を行っている。

( c ) 免許事業者は、適切なライセンシービジネスを取引することが安全でないか、健全でない状態にある。

( d ) 免許事業者は、資本または純資産が不十分であるか、支払不能な場合である。

( e ) 免許事業者が銀行である場合、銀行の有形株主資本利益率(tangible shareholders’ equity)(注4)が以下よりも少ない場合:

( 1 )銀行が商業銀行または産業銀行である場合、銀行の総資産の3%または100万ドル(約1兆3600万円)のうち大きい方。

( 2 )銀行が信託事業に従事することを許可された商業銀行以外の信託会社である場合、100万ドル( $ 1,000,000 )。

( f ) 免許事業者は、期限が到来したときに義務を支払うことができなかったか、期限が到来したときに義務を支払うことができないと合理的に予想されタ場合。

( g ) 免許事業者は、破産、再編、破産、またはモラトリアム法に基づく破産、再編、取り決め、またはその他の救済の裁定を申請した, または、ライセンシーに対してそのような法律に基づいてそのような救済を申請し、ライセンシーが訴訟または救済を承認または同意した肯定的な行為によって付与された場合

( h ) 免許事業者がそのライセンスに従って実施することを許可されているビジネスの取引を中止した場合。

( i ) 免許事業者は、その帳簿、書類、および事務を審査官の検査に提出することを拒否した場合。

( j ) 免許事業者のいかなる役員も、免許事業者の懸念に触れた宣誓の際の審査を拒否した場合。

( k ) 免許事業者が、取締役会の承認を得て、コミッショナーにその財産と事業の所有権を取得するように要求したとき。

 4.金融市場への影響は?

 ABC news記事から抜粋、仮訳する。

  SVBの株式は、市場前の取引で66%下落した後、3月10日に停止された。

 プロの投資家は、シリコンバレー銀行の破綻は世界の金融システムへの伝染リスクを表していると語る。

 「これから多くの影響があるだろう」とオーストラリアの著名な投資家で作家のダニエル・エクイヤー(Danielle Ecuyer)氏は述べた。

 彼女は、これが別の「リーマン・イベント」になる可能性があるかどうかをアナリストが判断するのに48時間を与えるため、規制当局が3月10日遅くに移動することは「非常に幸運」であると述べた。

「破綻は(アメリカでは)金曜日が本当にいい」

 銀行の破綻は信じられないほどのスピードで起こり、金曜日の一部の業界アナリストは、銀行はそれが良い会社であり、それでも賢明な投資である可能性が高いと示唆した。

 SVBの幹部は、3月10日の早い段階で資本を調達するか、追加の投資家を見つけることを検討していた。

しかし、その株式の取引は、極端な価格変動のために取引開始の前に停止された。

 2008年のリーマン・ブラザーズの破綻は、世界的な信用収縮を引き起こし、世界的な金融危機の一因となった。

 エクイヤー氏は、SVBの破綻がウォール街のメガバンクの破綻と同等であるとは思わないが、銀行の終焉のフローオン効果が広範な金融暴走につながるかどうかを判断するのは時期尚早だと述べた。

 さらに「米国のベンチャーキャピタル企業の半数はVCBに支えられている。米国中の既存の新興企業に非常に深い触手を持っている」と彼女は語った。

 彼女は、銀行の崩壊の核心は米国の債券市場への投資が問題であると述べた。

 SVBは顧客の預金を米国の債券市場(債券)に投資しましたが、米国の金利が上昇したため、その投資結果はひどく悪化した。

 エクイヤー氏は「金利が上昇するにつれて、住宅ローン担保証券[債券]の価値は急落している。これは、銀行がすべての預金を[不良資産]に投資するというあなたの典型的なケースである」と述べた。

 特に、FDICは、金融機関の秩序ある清算で典型的であるように、銀行(SVB)を押収するために事業が終了するまで待たなかった。すなわち、FDICは銀行の資産の買い手をすぐに見つけることができず、預金者がどれだけ早く現金の引き出しを行ったかを示している。

 銀行の預金は管財人FDICに閉じ込められた。顧客は、銀行が将来支払うのが難しくなるだけであることを知って預金を急いで回収した—したがって、規制当局が銀行の運営を止めるために動かなければならなかった理由がここにある。

 残念ながら、銀行は巨大な米国連邦準備制度理事会によって下されている決定と金利に関する決定の間違った側にいる。

 「米連邦準備制度理事会(FRB)は、金融緩和を余儀なくさせるような金融危機に対処する必要は望まない」とエクイヤー氏は述べた。

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3月11日CNBC記事から抜粋、仮訳する。

 SVBは米国のベンチャー支援企業の主要銀行であった。 金利の上昇と新規株式公開の鈍化により、追加の現金を調達することがより困難になったため、すでに圧力がかかっていた。

 SVBの閉鎖は、預金だけでなく、信用枠やその他の形の資金調達にも影響を与える。FDICは、SVBのローンの顧客は通常どおり支払いを続ける必要があると述べた。

 この動きは、SVBの急速な没落を表している。銀行は3月8日(水)に、資産売却で18億ドル未満の損失に苦しんだ後、20億ドル未満の追加資本を20億ドル未満調達することを検討していると発表した。

 親会社SVB Financial Groupの株式は3月9日(木)に60%下落, そして停止される前に10日の市場前取引でさらに60%下落した。

 CNBCのデビッドファーバー記者は 金曜日の朝を報告した 資本調達の取り組みは失敗し、SVBは潜在的な売却に向けてピボットした。しかし、預金の急速な流出は、販売プロセスを複雑にしていた。

 ウォール街のアナリストの多くは、SVBをめぐる闘争がより広範な銀行システムに広がる可能性は低いと主張しているが、3月10日、他の中規模および地方銀行の株式は強い下げ圧力にさらされた。

 ジャネット・イエレン米財務長官(Janet Yellen)は、3月10日の朝の連邦議会下院「方法と手段に関する委員会(House Ways and Means Committee)(注5)の前での証言中に、“いくつかの銀行の動向を非常に注意深く監視している”と述べた。イエレン長はFDICの発表前にこのコメントを行った。

 議会下院を去った直後に、イエレンはFRB、FDIC、および通貨監督官で最高幹部の会合を招集し、特にSVBでの状況について話し合った。

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(注1) Clotilde “Cloey” V. Hewlett は、カリフォルニア州の金融規制当局であるカリフォルニア州金融保護・イノベーション局 (DFPI) の長官(commissioner )である。ヒューレット長官は、2021 年 9 月にギャビン ニューサム知事に任命され、3人の異なる知事の下でカリフォルニア州に勤務し、キャリアの多くを公共サービスに捧げ、優れたガバナンスを推進し、消費者を保護してきた。

 彼女は、これまで州および消費者サービス庁の次官および一般サービス局の暫定局長を務め、調達、不動産、消費者問題を含む幅広い監督を伴う多数の州機関を管理した。 彼女は、Flex Your Power キャンペーンを作成したカリフォルニアの 2001 年のエネルギー危機の間、チームを率いた。 2001 年 9 月 11 日のテロ事件の間、彼女はカリフォルニア州の被害者補償委員会の監督を担当し、テロ攻撃で愛する人を失った生存者と家族を支援した。ヒューレット長官は、任命される前は、Cal Alumni Association (CAA) の理事を務めていた。 2016 年、彼女は 144 年以上にわたって 2 人目の女性であり、有色人種として初めて CAA の事務局長を務めた。 彼女は、エグゼクティブ ディレクターおよび最高法務責任者として、カリフォルニア大学バークレー校の 550,000 人以上の卒業生にサービスを提供する組織を監督する責任を負っていた。(DFPIサイトを抜粋、仮訳した)

(注2) Financial Code – FIN原文

FINANCIAL CODE - FIN

DIVISION 1. FINANCIAL INSTITUTIONS [99 - 819]  ( Division 1 repealed and added by Stats. 2011, Ch. 243, Sec. 2. )

CHAPTER 6. Enforcement [550 - 595]  ( Chapter 6 added by Stats. 2011, Ch. 243, Sec. 2. )

ARTICLE 5. Suspension or Possession of a License [590 - 595]  ( Article 5 added by Stats. 2011, Ch. 243, Sec. 2. )

  1. If the commissioner finds that any of the factors set forth in subdivisions (a) to (k), inclusive, is true with respect to a licensee, the commissioner may by order, without any prior notice or opportunity to be heard, take possession of the property and business of the licensee:

(a) The licensee has violated any provision of (1) any division subject to the jurisdiction of the commissioner, (2) any regulation promulgated by, or subject to the jurisdiction of, the commissioner, (3) any provision of any other applicable law, (4) any provision of any order issued by the commissioner, (5) any provision of any written agreement made between the commissioner and the licensee, or (6) a condition imposed on any written approval granted by the commissioner.

(b) The licensee is conducting its business in an unsafe or unsound manner.

(c) The licensee is in such condition that it is unsafe or unsound for the licensee to transact appropriate licensee business.

(d) The licensee has inadequate capital or net worth or is insolvent.

(e) If the licensee is a bank, the tangible shareholders’ equity of the bank is less than the following:

(1) If the bank is a commercial bank or industrial bank, the greater of three percent of the bank’s total assets or one million dollars ($1,000,000).

(2) If the bank is a trust company other than a commercial bank authorized to engage in trust business, one million dollars ($1,000,000).

(f) The licensee failed to pay any of its obligations as they came due or is reasonably expected to be unable to pay its obligations as they come due.

(g) The licensee has applied for an adjudication of bankruptcy, reorganization, arrangement, or other relief under any bankruptcy, reorganization, insolvency, or moratorium law, or that any person has applied for any such relief under any such law against the licensee and the licensee has by any affirmative act approved of or consented to the action or the relief has been granted.

(h) The licensee has ceased to transact the business the licensee is authorized to conduct pursuant to its license.

(i) The licensee refuses to submit its books, papers, and affairs to the inspection of any examiner.

(j) Any officer of the licensee refuses to be examined upon oath touching the concerns of the licensee.

(k) The licensee has, with the approval of its board, requested the commissioner to take possession of its property and business.

(Added by Stats. 2011, Ch. 243, Sec. 2. (SB 664) Effective January 1, 2012.)

(注3)わが国の場合はどうなろうか?参考までに2002年の石川銀行及び中部銀行の時の金融庁の報道記事を抜粋する。

①平成14(2002)年3月5日金融庁は「承継銀行の設立決定について」をリリースした。抜粋する。

本日、預金保険法第91条第1項第1号に基づき、預金保険機構が、被管理金融機関から業務を引き継ぐため営業の譲受け等を行う承継銀行を子会社として設立する旨の決定を行った。

預金保険法第74条第1項に基づき金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分が行われた各被管理金融機関においては、受皿金融機関への営業譲渡等に向け、あるいは早急に受皿金融機関を確保すべく、金融整理管財人において鋭意努力がなされているところであり、当庁としてもこれを最大限支援しているところである。

さらに②金融庁は平成14(2002)年3月28日「株式会社日本承継銀行が株式会社石川銀行及び株式会社中部銀行の営業の譲受け等を行うべき旨の決定について」をリリースした。以下で抜粋する。

平成13年12月28日に預金保険法第74条第1項に基づき金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分が行われた石川銀行及び平成14年3月8日に同じく金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分が行われた中部銀行については、本日、両行それぞれ日本承継銀行との連名により、日本承継銀行への営業譲渡について、同法第61条第1項に基づく適格性の認定の申請がなされたところである。

これを踏まえ、本日、当該申請のあった適格性の認定を行うとともに、同法第91条第1項第2号に基づき、日本承継銀行が石川銀行及び中部銀行から業務を引き継ぐため営業の譲受け等を行うべき旨の決定を行ったところである。

これにより、石川銀行及び中部銀行については、今後、日本承継銀行を救済金融機関として預金保険機構による資金援助の手続きが進められ、預金等負債の全額保護が確保されることとなる。

日本承継銀行からの再承継先(最終的な受皿金融機関)については、関係者において引き続き早期確保に向けた努力を継続することとしており、当庁としてもこれを最大限支援してまいる所存である。

 しかしながら、万一、本年3月31日までに受皿金融機関が見出されない被管理金融機関があった場合には、本日設立決定を行った承継銀行を受皿金融機関として活用することにより、預金等負債の全額保護に万全を期して参りたい。

○ 預金保険法(抜粋)

(承継銀行の設立の決定)

第九十一条 内閣総理大臣は、被管理金融機関の業務承継(承継銀行が営業の譲受け等により業務を引き継ぎ、かつ、その業務を暫定的に維持継続することをいう。以下この章において同じ。)のため承継銀行を活用する必要があると認めるときは、次に掲げる決定を行うことができる。

一 機構が被管理金融機関から業務を引き継ぐため営業の譲受け等を行う承継銀行を子会社として設立する旨の決定

二 承継銀行が被管理金融機関から業務を引き継ぐため営業の譲受け等を行うべき旨の決定

2~3(略)

(注4) tangible shareholders’ equity(有形株主資本)とは、会社の帳簿および記録に記録されているすべてののれんおよび無形資産を除く、GAAP(Generally accepted accounting principlesの略称。妥当とされた会計概念、基準、および、実務の体系。財務諸表の作成にあたり、その基準となる。日本の場合は企業会計原則(日本版GAAP)、米国の場合は、USGAAPといわれている。) および本契約に従って決定された、決算日の決算直前の会社の株主資本を意味する。

(注5) 連邦議会下院「方法と手段に関する委員会」は、米国下院の主たる税務問題委員会。同委員会は、すべての課税、関税、その他の歳入調達措置、および社会保障、失業手当、メディケア、養育費法の施行、貧しい家族のための一時的な支援、里親養子縁組、養子縁組を含む他の多くのプログラムを管轄している。(Wikipediaから抜粋、仮訳 )

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米合衆国商工会議所等テキサス州連邦裁判所に消費者金融保護局が検査マニュアルの「不公平、欺瞞的、濫用的な行為または慣行」規定を改定「差別」を含めたこと等に異議申し立て

2022-10-29 16:57:32 | 米国の金融監督機関

10月24日、Squire Patton Boggs LLP パートナー弁護士 クリスティン・L・ブライアン(Kristin L. Bryan)氏のブログが手元に届いた。そのタイトルは「米国商工会議所等が消費者金融保護局(CFPB)のAIに関するアンチ・バイアス(非偏見・非差別)の焦点に挑戦(Chamber of Commerce Challenges CFPB Anti-Bias Focus Concerning AI)」というものであった。

 正直、この標題だけでは何が問題か分からないという印象を持った。しかし、丸山満彦氏まるちゃんの情報セキュリティ気まぐれ日記」(2022.6.1)で、 米国の連邦消費者金融保護局 (Consumer Financial Protection Bureau: CFPB) は、各差別禁止法を踏まえると、AIを使って与信判断をし、その結果、申込みを拒否する場合であっても、なぜそのような結果になったのか消費者にその理由を説明しなければならないという、解釈通達を公表している」を読んで目から鱗が落ちたという印象を得た。この点は第3項で詳しく述べる。

Kristin L. Bryan氏

 Bryan氏のブログを要約すると2022年9月末、米合衆国商工会議所、米国銀行協会、その他の業界団体(総称して「原告」という)は、テキサス州連邦裁判所に、消費者金融保護局(「CFPB」) (注1)が2022年、検査マニュアルの「不公平(Unfair)、欺瞞的(Deceptive)、または濫用的(Abusive)な行為または慣行(Practices)」セクションを更新し、「差別(discrimination)」を含めるよう異議を申し立てた。(米国商工会議所, et al v. Consumer Financial Protection Bureau, et al., Case No. 6:22-cv-00381 (E.D. Tex.))というものである。

  今回の本ブログは、米国商工会議所、米国銀行協会、その他の業界団体(総称して「原告」という)は、テキサス州連邦裁判所に、消費者金融保護局(「CFPB」)が2022年、検査マニュアルの改定の見直しを申し立てたその背景、法的問題点などの細かに解析するとともに、原告たる米国商工会議所等の主張を改めて解析することにある。

 なお、それぞれの  CFPBや商工会議所の投稿者が法律専門家であり、丁寧な補足解説はない。他方、補足説明がないと、我が国の法律専門家でも本質的な争点が把握できない問題である。筆者なりに補完説明を述べながら、原告、被告それぞれの主張を概観する。

1.Kristin L. Bryan氏の投稿文の概要(仮訳)

 この裁判申し立ての背景として、2010年ドッド・フランク法(Dodd-Frank Wall Street Reform and Consumer Protection Act:以下「本法」という)の第X編である「消費者金融保護法」(FRBとは独立した監督機関CFPB設立の根拠法でもある)は、消費者金融商品またはサービスの提供者またはサービスプロバイダーが、不公平(Unfair)、欺瞞的(deceptive)または濫用的(abusive)な行為または慣行(practices)(以下、「UDAAP」という)に従事することを禁止している。また、この法律は、CFPBに「消費者金融商品またはサービスのための消費者との取引、または消費者金融商品またはサービスの提供に関連する不公正、欺瞞的、または濫用的な行為または慣行を防止する」ための規則制定および法執行権限を与えている。例えば、https://files.consumerfinance.gov/f/documents/cfpb_unfair-deceptive-abusive-acts-practices-udaaps_procedures.pdf を参照されたい。

 一般に、この法律は、行為または慣行が消費者に重大な損害を引き起こすか、または引き起こす可能性がある場合において、消費者によって合理的に回避できない場合、および損害が消費者または競争に対する相殺利益によっても上回らない場合は「不公平」であると規定している。

 CFPBは2022年3月に、不公平、欺瞞的、または濫用的な行為や慣行、またはUDAAPに関する改訂された検査ガイドラインを発表した。重要なことに、これはCFPBの新しい立場を示しており、消費者金融商品やサービスの提供における「差別」自体がUDAAPになり得るということである。これは、金融商品やサービスの多くのプロバイダーにとって驚くべき規則の作成であった。(注2)(注3)(注4)

 またCFPBは、差別的な行為が消費者金融におけるUDAAPとしてどのように適格であるかについての立場を概説した更新された検査マニュアルを発表した。さらに、2022年5月にCFPBは、消費者信用機会均等法(Equal Credit Opportunity Act、以下、“ECOA”という)(注5)(注6)に基づく債権者の不利な行動通知要件を公衆に思い出させるために、「消費者金融保護に関する解釈通達(Consumer Financial Protection Circular)」を追加で発行した。

 CFPBの見解では、債権者は、ECOAの下で必要な説明を提供できないことを意味する場合、技術(アルゴリズムの意思決定を含む)を使用することはできない。

 2022 年 7 月、商工会議所などは CFPB に検査マニュアルの更新を取り消すよう求めた。 これには、彼らの立場を支持する白書で提起された他の議論の中でも、CFPB が「不公平」と「差別」の概念を混同する際に、「不公平」と「差別」を議論する法律の文言、構造、および立法の歴史を無視していることが含まれる。 2 つの別個の概念として、その差別に言及せずに「不公平」を定義している。

 2022年9月に連邦地方裁判所に提出された商工会議所等の訴状は、更新されたCFPBの検査マニュアルおよび他のものに関連して、行政手続法(Administrative Procedure Act(以下、“APA”という)に基づく3つの請求を提起した。本訴状は、CFPBの新しい検査の立場の結果として苦しむのは究極的には消費者であり、「手作業による修正は、より高い価格と製品へのアクセスの減少という形で消費者に転嫁される重いコンプライアンスコストを課すことによって、原告のメンバー機関に害を及ぼす」と主張している。

 この場合、原告が開始する訴訟プロセスには時間がかかる (被告からの訴状への応答は、12 月まで期待できない)。 それまでの間、金融部門の事業体はCFPBの新しいアプローチを認識し、アルゴリズムの意思決定やAIに関連するものを含め、コンプライアンス慣行がリスクを適切に軽減することを保証する必要がある。 当法律事務所はいつものように、この訴訟に関する最新ニュースをお届けする。

2.全米商工会議所 vs CFPB裁判について

 2022年9月28日付けの全米商工会議所の訴訟センターのリリース文「米国全米商工会議所および共同原告は、消費者金融保護局の審査マニュアルの不公正、欺瞞的、または虐待的な行為または慣行のセクションに対する最近の改正を法違法として異議を唱える連立訴訟をテキサス州東部地区連邦地方裁判所に起こした」を仮訳する。

  同裁判の最大の争点は、CFPB は法定権限を超えて、説明責任を負うことなく権限拡大活動しているとして告訴してことにある。

 米国全米商工会議所は、共同原告である米国銀行協会、消費者銀行協会、テキサス州独立銀行協会、ロングビュー商工会議所、テキサス商工会議所、およびテキサス銀行協会と共に、テキサス州東部地区で消費者金融保護局(CFPB)を相手取ってその検査基準を修正する際に法定権限を超えたとして訴訟を起こした。

 米商工会議所と共同原告は、CFPB の審査マニュアルの不当、欺瞞的、または虐待的な行為または慣行 (UDAAP) セクションへの最近の改正に異議を申し立てており、「差別」文言に関し、特に異なる影響が含まれている。この「差別」の申し立ては、「消費者信用機会均等法(Equal Credit Opportunity Act)」、「公正住宅法(Fair Housing Act)」、「住宅ローン開示法(Home Mortgage Disclosure Act)」(注7)などの法律を通じて他の機関によって処理されるため、連邦議会は CFPB にそうする権限を与えていない。議会がそのような権限を付与しなかったことは、最近最高裁判所によって決定されたように、「主要な問題」の問題を引き起こす。

 異なる影響をUDAAPにインポートすると、消費者が現在楽しんで恩恵を受けている製品が消滅する可能性がある。たとえば、無料の当座預金口座は、より多くの場合、残高の多い顧客に提供されることが多く、これらの顧客は、仕事を始めたばかりの人ではなく、キャリアを積んでいる個人であることがよくある。 さまざまな影響を分析すると、残高の多い顧客に対する手数料なしの約款は、若い顧客に対する年齢差別となることが判明する可能性がある。そのため、銀行は、違法であると宣言されることを恐れて、そのような商品を消費者に提供する意思がなくなる可能性がある。

 「消費者金融保護局は法定権限を超えて活動しており、その過程で法的な不確実性が生じているため、消費者が利用できる金融商品が少なくなる。CFPBは、法律で認められているものをはるかに超えるイデオロギー的な議題を追求しており、商工会議所は彼らに責任を負わせることを躊躇しない」、米国商工会議所の副社長兼最高政策責任者であるニール・ブラッドリー(Neil Bradley)は述べた。

Neil Bradley氏

 他の裁判での主張の中でも、合衆国商工会議所と共同原告は具体的に次の理由で CFPB を訴えている。

(1)ドッド・フランク法に概説されているその権限に違反する。 CFPB は、その監督および検査マニュアルを修正することで同法律を書き直し、UDAAP の権限の下で、差別的行為の疑いがある事業体を検査できると主張しており、これは、ドッド・フランク法で付与された法的権限を超えている。

(2)行政手続法の手続上の要件に違反する。 つまり、CFPB は、検査マニュアルを修正する際に適切な通知とコメントの手順を踏まなかったため、行政手続法(Administrative Procedure Act:APA)の手順要件に違反した。

「CFPBは、差別から守ることを含め、消費者を保護する重要な責任を負っているが、その仕事に集中するのではなく、CFPBは議会であると偽って、法外なプロセスを通じて異なる影響の新しい理論を押し付けようとしている。 これを行うことで、CFPBが作成した未定義の基準の下で現在違法であるとCFPBが言うかもしれないし、言わないかもしれないことを企業が推測することを余儀なくされるため、日常の消費者は銀行やクレジット商品へのアクセスが少なくなることに気付くであろう。」

 米国商工会議所と共同原告は、CFPB が法の支配と消費者に対して責任を負うことを確実にするために裁判所に介入するよう求めている。これにより、消費者は確実に保護され、依存している金融商品にアクセスできるようになると主張している。

米国商工会議所の CFPB に対する訴状全文は、こちらでご覧いただける。 

Bruce A. Smith of Ward, Smith & Hill PLLC, Cameron T. Norris, Bryan K. Weir, and David L. Rosenthal of Consovoy McCarthy PLLC, and the U.S. Chamber’s Litigation Center served as co-counsel for the U.S. Chamber.

3.CFPBの2022年5月26日解釈通達の要旨

 丸山満彦氏のブログ「米国 消費者金融保護局 AIを使った与信結果についても消費者にその理由を説明しなければならない」から一部抜粋する。

 なお、筆者なりに補足注を加えた。

 消費者金融保護局(CFPB)は、いわゆる連邦差別禁止法(注8)が、債権者が複雑なアルゴリズムを使用した信用モデルに依存している場合でも、企業がクレジット申請を拒否する、またはその他の不利益な措置を取る具体的な理由を申請者に説明するよう求めていることを確認した。CFPBは、連邦消費者金融保護法を執行する責任者を含め、債権者が消費者信用機会均等法(ECOA)に基づく不利益処分の通知義務を負うことを周知するため、消費者金融保護解釈通達を発表した。

 連邦消費者金融保護法および不利益処分の要件は、債権者が使用するテクノロジーに関係なく施行されるべきである。 例えば、ECOAは、債権者が不利益処分の理由を具体的かつ正確に説明できないような技術を使用することを認めていない。債権者が複雑なアルゴリズムを使用することで、ECOAや他の連邦消費者金融保護法の施行が制限されるべきではない。

 金融機関など債権者は、クレジット申請の評価に使用する技術が複雑すぎる、意思決定が不透明すぎる、あるいは新しすぎるという事実だけで、ECOAの不遵守を正当化することはできない。 人工知能や機械学習技術を含む複雑なアルゴリズムを使用して与信判断に携わる債権者は、不利な措置を取る具体的かつ主要な理由を開示する通知を提供しなければならないことに変わりはない。債権者が十分に設計、テスト、理解されていない技術を使用していることを理由に、法律に違反することは例外ではない。

 内部告発者は、ECOAやその他の連邦消費者金融保護法に違反する方法でブラックボックス・モデルのような技術を使用している企業に関する情報を明らかにする上で中心的な役割を担っている。明確で実用的な情報を得ることは、CFPBやその他の消費者保護執行機関にとって非常に重要である。CFPBは、技術者が同機関に情報を提供することを奨励しており、その詳細については、CFPBの内部告発者プログラムのウェブページを参照すること。

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(注1) CFPBについて国立国会図書館 調査及び立法考査局 財政金融課長 奥山 裕之「米国における金融消費者保護局の設立と展開」を参照すべきである。

(注2) Kristin L. Bryan氏のblogでは言及されていないが、CFPBの解釈通達がある。

2022年9月13日、 Moore & Van Allen LLPのブログ「消費者金融保護局が不公正な情報セキュリティ慣行に対する執行権限を行使」を仮訳する。

 2022年8月11日、消費者金融保護局(以下、“CFPB”という)は、不十分なデータおよび情報セキュリティ慣行が消費者金融保護法(以下、“CFPA”という)の不公正な行為または慣行の禁止に違反する可能性があるかどうかに対処する解釈(通達2022-04または「通達」)を発行した。CFPBは、不十分なセキュリティ慣行は、グラム・リーチ・ブライリー法(以下、“GLBA”という)などの連邦データセキュリティ法だけでなく、CFPAの下でも請求を引き起こす可能性があると結論付けた。本回覧では、CFPAに基づく請求の要素について説明し、CFPBがCFPA違反を引き起こす可能性が高いと特定したいくつかの具体的な慣行を特定している。ただし、本通達は、期待される情報セキュリティ慣行について業界に指示を与えるものではない。

 本解釈通達は、CFPAに基づく情報セキュリティ慣行の要件は、GLBAおよび連邦取引委員会(以下、“FTC”という)および連邦銀行規制当局によるその実施規則に基づく要件と重複することが多いが、GLBAおよびCFPAの要件は完全に同一ではないと述べている。CFPAの下では、次の場合、行為または慣行は「不公平」でありる。

①消費者に重大な損害を与える、または引き起こす可能性が高い場合。

②損害は消費者によって合理的に回避できない。

③この損害は、消費者や競争への相殺利益を上回るものではない。

 「重大な損害」の要件は、顧客への個人的影響と総体的影響の両方を考慮します。たとえば、重大な損害は、多くの顧客に対するわずかな損害、または少数の顧客に対する重大な損害のいずれかに起因する可能性がある。さらに、実質的な損害の針を満たすために実際の損害は必要ない。代わりに、消費者に重大な損害を与える「重大なリスク」もこの要件を満たすのに十分である。

 クレームの2番目の要素に関して、回覧は、ほとんどの場合、顧客は損害を回避するための実際的な手段または機会を可能にする方法で会社のセキュリティ対策を理解していないか、制御する能力を持っていないと述べている。CFPAに基づく請求の最終要素に関して、CFPBは、消費者への実質的な損害が消費者または競争への利益よりも重要であると裁判所が判断した事例を認識していないと述べた。

 CFPBは、2019年のCFPBおよびFTCのEquifaxとの和解(注3)、およびいくつかのFTCの措置を含む、不十分なデータセキュリティ対策に対処する以前のいくつかの規制措置に関連する根本的な事実を検討した後、CFPAに基づく責任を引き起こす可能性が高いとして以下の慣行を特定した。

①会社がシステムおよびアカウントへのアクセスのオプションとして消費者に多要素認証を提供しなかった。

②従業員がログインとパスワードを再利用している可能性のある他の事業体での違反を監視しなかったことを含む、会社が適切なパスワード管理ポリシーと慣行を持っていなかった。

③システム、ソフトウェア、およびコードの定期的な更新とパッチ(セキュリティー上の脆弱性に対する修正モジュール)適用、および重大な脆弱性が発表されたときに、ソフトウェアシステムの依存関係のインベントリを作成し、ベンダーによってアクティブに保守されなくなったソフトウェアバージョンの使用を中止しなかったこと。

 Equifaxの和解と同様に、本回覧は、GLBAの要件だけでなく、CFPAの要件が不十分なデータセキュリティ慣行に対する責任の源泉としても役立つ可能性があることを、金融会社とそのサービスプロバイダーに明確に思い出させる役割を果たす。ただし、CFPAの実際のデータセキュリティ要件は不明確である。回覧は、GLBAとCFPAの要件は「しばしば重複する可能性があるが、それらは同程度ではない」と述べている。ただし、本回覧は、これらの重複しない要件に関する洞察を提供していない 本特別回報の発表に伴う声明の中で、CFPBは、本通達はCFPAが特定のセキュリティ慣行を要求していることを示唆することを意図したものではないと指摘したが、CFPAに基づく責任の可能性を高める慣行として上記の3つの分野を挙げている。「一般的な」データセキュリティ慣行を実装しないと違反のリスクが高まるという声明を除いて、これ以上の詳細は提供されていない。その結果、企業は、自社の情報セキュリティ慣行が、少なくとも回覧で具体的に言及されているこれら3つの分野に対処しているかどうかを評価する必要がある。CFPBが、業界にとって新しい一般的な情報セキュリティ慣行を特定するために、その執行権限をどの程度広範かつ頻繁に使用しようとするかはなお不明である。

(注3) Moore & Van Allen LLPのブログには具体的な説明がないので、筆者なりに補足する。

2019.7.22 FTCのリース「Equifaxは、FTC、CFPB、および2017年のデータ侵害に関連する州との和解の一環として5億7500万ドルを支払うー和解には、消費者がデータ侵害から回復するのを支援するための資金が含まれるー」を仮訳する。

 FTCは、2019年7月22日にワシントンDCの北西にある600ペンシルベニアアベニューにあるFTC本部で対面記者会見を主催した。この 記者会見のアーカイブビデオを閲覧されたい。

 この記者会見の参加者には、FTCのジョー・サイモンズ委員長(Joe J. Simons)、CFPBのキャシー・クラニンガー(Kathy Kraninger)元局長、メリーランド州のブライアン・フロッシュ(Brian Frosh)司法長官が含まれていた。

Kathy Kraninger 元局長

Brian E.Frosh 司法長官

 Equifax Inc.は、連邦取引委員会(FTC)、消費者金融保護局(CFPB)、および米国の50の州および準州との世界的な和解の一環として、少なくとも5億7500万ドル(約845億2500万円)、場合によっては最大7億ドル(約1029億円)を支払うことに合意した。

 FTCは訴状の中で、Equifaxがネットワークに保存されている膨大な量の個人情報を保護できなかったため、何百万もの氏名と生年月日、社会保障番号、住所、および個人情報の盗難や詐欺につながる可能性のあるその他の個人情報を公開する違反につながったと主張している。

 FTC.gov提案された和解の一環として、Equifaxは影響を受ける消費者に信用監視サービスを提供する基金に3億ドル(約441億円)を支払う。この基金はまた、2017年のデータ侵害の結果として、EquifaxからクレジットまたはID監視サービスを購入し、その他の自己負担費用を支払った消費者を補償する。

 Equifaxは、最初の支払いが消費者の損失を補償するのに十分でない場合、ファンドに最大1億2500万ドルを追加する。さらに、2020年1月から、Equifaxは、Equifaxと他の2つの全国的な信用報告機関が現在提供している1つの無料の年次信用報告書に加えて、7年間、毎年6つの無料の信用報告書をすべての米国の消費者に提供する。

 また同社は、48の州、コロンビア特別区、プエルトリコに1億7500万ドル(約257億2500万円)を支払うこと、CFPBに民事罰として1億ドル(約147億円)を支払うことに合意した。(以下、略す)

(注4)CFPBの2022年3月16日リリース の仮訳

 消費者金融保護局(CFPB)は、公正な貸付法が適用されない状況を含め、家族やコミュニティを違法な差別からよりよく保護するための監督業務の変更を発表した。CFPBは、銀行およびその他の企業の消費者保護規則の遵守を審査する過程で、連邦政府の不公正な慣行の禁止に違反する差別的行為を精査する。CFPBは、広告や価格設定などにおける金融機関の意思決定を精査し、企業が違法な差別を適切に検証し、排除していることを確認していく。

 「宗教や人種を理由に銀行口座へのアクセスを拒否された場合、これは明らかに不公平である」とCFPB局長のロヒト・チョプラ(Rohit Chopra)は「我々は、消費者金融における差別的慣行と全面的に闘うために、差別禁止の取り組みを拡大していく」と述べている。

ロヒット・チョプラ(Rohit Chopra)局長

 CFPBは、差別的慣行を標的とする可能性のあるいくつかの法律を施行している。政府の規制当局と民間の原告は、信用供与を対象とする公正貸付法である消費者信用機会均等法(ECOA)に一般的に依存してきた。ただし、特定の差別的慣行は、不公正、欺瞞的、濫用的な行為および慣行(UDAAP)を禁止する消費者金融保護法(CFPA)に基づく責任を引き起こす可能性もある。

 CFPBは2022年3月16日、UDAAPを評価するための更新された検査マニュアルを発行し、「差別」は、消費者や競争への利益を相殺することによって、消費者に合理的に回避できない実質的な損害をもたらすことにより、「不公平」の基準を満たす可能性があると述べている。消費者は、それが意図的であるかどうかに関係なく、「差別」によって害を受ける可能性がある。「差別」は、その行為がECOAの対象となる場合、およびECOAが適用されない場合にも不公平になる可能性がある。たとえば、個人が特定の人種であるという理由で当座預金口座へのアクセスを拒否することは、ECOAが適用されない場合でも不公正な慣行になる可能性がある。

 CFPBは、クレジット、サービシング、債権回収、消費者報告、支払い、送金、預金など、すべての消費者金融市場における差別について調査する。CFPBの検査官は、監督対象企業に対し、顧客の人口統計や、さまざまな人口統計グループに対する製品と料金の影響の文書化など、リスクと差別的な結果を評価するためのプロセスを示すことを要求する。CFPBは、事業体・企業が「不当な差別」やECOAに基づく「差別」について意思決定プロセスをどのようにテストおよび監視するかを検討している。

(注5) ECOAの解説例のうちInvestopediaを仮訳する。

 (1)消費者信用機会均等法(Equal Credit Opportunity Act :ECOA)とはいかなる法律か?

 ECOAは、貸し手が返済能力以外の理由でローン申請者を差別することを禁じる連邦公民権法である。具体的には、ECOAは、人種、肌の色、宗教、出身国、性別、婚姻状況、年齢、公的支援の適格性、または消費者信用保護法に基づく権利の行使に基づく差別から消費者を保護するものである。

(2)ECOAを正確に理解する

 ECOAは1974年に制定され、合衆国法典の第15編に詳述されている。

「レギュレーションB」(注6)

レギュレーション3Bで実施されているように、この法律は、ローンやその他の信用を申請する個人は、信用力に直接関連する要因を使用してのみ評価できると述べている。債権者と貸し手が信用力に関係のない要因、具体的には次の保護されたクラスを考慮することを禁止している。

・人種

・肌色

・宗教

・出身国(あなたまたはあなたの先祖が生まれた国)

・性別(性別、性的指向、性自認を含む)

・婚姻状況

・年齢(申請者が契約を結ぶのに十分な年齢である場合)

・補足栄養支援プログラム(SNAP)や社会保障障害保険(SSDI)などの公的支援プログラムへの参加

・消費者信用保護法に基づく権利の誠実な行使

 2021年3月9日、消費者金融保護局は、ECOAおよびレギュレーションBにおける性差別の禁止には、申請者の性別に基づく固定観念への不適合に基づく差別を含む、性的指向差別および性同一性差別が含まれることを明らかにした。

(注6)「レギュレーションB」は、申請者がクレジット取引のあらゆる側面で差別されるのを防ぐことを目的としている。レギュレーションB は、貸し手が信用情報を取得および処理する際に遵守しなければならないルールの概要を示している。この規制は、貸し手が年齢、性別、民族性、国籍、または婚姻状況に基づいて差別することを禁じている。

重要なポイント

 すべての貸し手は、申請者を差別から保護するレギュレーションBを遵守する必要がある。レギュレーションB は、貸し手が完了した申請書を受け取ってから30日以内に拒否された申請者に説明を提供することを義務付けている。レギュレーションBに従わない債権者は、懲罰的損害賠償の対象となる。

 すべての貸し手は、借り手に信用を拡大する際にレギュレーションBを遵守する必要がある。レギュレーションB は、消費者金融保護局(CFPB)によって規制および施行されている消費者信用機会均等法(ECOA)を実施している。議会は、信用を扱う金融機関や企業がすべての信用力のある顧客が平等に利用できるようにするためにECOAを制定した。つまり、消費者信用に関連しない機能は、ローン承認の決定を行う際に使用できない。

 レギュレーションBは、クレジット取引の前、最中、後の債権者の行動を対象としている。

(注7) Home Mortgage Disclosure Act (HMDA)についてCFPBのサイトから引用、仮訳する

*住宅ローン開示法(HMDA)とは何か?

Home Mortgage Disclosure Act(HMDA)は、1975年に承認された連邦法であり、住宅ローンの貸し手は、規制当局に提出しなければならない貸付慣行に関する重要な情報の記録を保持することを義務付けている。これは、レギュレーションC10/25(36)を通じて連邦準備制度によって実施された。2011年に、レギュレーションCの規則作成権限が消費者金融保護局(CFPB)に移管された。

*住宅ローン開示法の説明

 住宅ローン開示法およびレギュレーションCには、規制の提出および公開の要件が含まれている。住宅ローン開示法全体は、合衆国法典の第12編、第29章に記載されている。レギュレーションCも法の重要な要素である。レギュレーションCは、法の要件をオーバーレイし、銀行が従わなければならない特定の追加要件を指定するために連邦準備制度によって作成された。

 一般に、住宅ローン開示法およびレギュレーションCの主な目的は、住宅ローン貸し手の地理的目標を監視し、略奪的または差別的な融資慣行を特定し、住宅ローン市場に関する統計を政府に報告する方法を提供することである。 またMDAは、リソースの割り当てを分析する手段を提供することにより、政府が後援するコミュニティ投資イニシアチブをサポートするのに役立つ。

 このデータは、政府機関、消費者団体、銀行の審査官が、消費者信用機会均等法、公正住宅法、地域再投資法(CRA)、州法など、さまざまな連邦の公正住宅法および信用法の遵守を判断するために使用される。

 1980年に、連邦金融機関検査評議会(FFIEC)は、1975年の住宅ローン開示法に従って、金融機関からの住宅ローン情報への一般のアクセスを促進する責任を与えられた。

 HMDAは、住宅ローンを申請または取得する人の性別、人種、収入を特定するよう貸し手に求めるが、データは記録管理で匿名化される。

(注8) Major Federal Laws that Prohibit Discriminationを以下挙げる。なお、リンクは筆者の責任で行った。

Title VII of the Civil Rights Act

 Age Discrimination in Employment Act of 1967 (ADEA)

Americans with Disabilities Act (ADA)

Equal Pay Act of 1963

Immigration Reform and Control Act of 1986(IRCA)

Civil Rights Act of 1866 (Section 1981)

Consolidated Omnibus Reconciliation Act of 1985 (COBRA)

Employee Retirement Income Security Act (ERISA)

Family Medical Leave Act (FMLA)

Fair Labor Standards Act (FLSA)

Age Discrimination Act of 1975 

Title II/III of the Civil Rights Act of 1964 

Title VI of the Civil Rights Act of 1964 

The Community Reinvestment Act (CRA)

Fair Housing Act of 1968 (Amended in 1974)

The Federal Trade Commission Act/Robinson-Patman Act 

⑰ Home Mortgage Disclosure Act (HMDA)

The Voting Rights Act of 1965 

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ニューヨーク州北部地区連邦地方裁判所は資金不足による当座貸越時の契約法理の違反につき銀行のNSF手数料慣行に異議を唱えるクラス・アクションの進行を認める命令を発布

2022-09-14 09:20:10 | 米国の金融監督機関

 ニューヨーク州北部地区連邦地方裁判所(United States  District Court Northern District of New York)は、原告(Thomas Jenkins、以下、 Jenkins氏という)が銀行による資金不足(non-sufficient funds :NSF)を理由とする手数料の査定に基づいて契約違反の請求を行ったと判断し、Trustco Bankに対する「推定上のクラス・アクション(putative class action)」(注1)(注2)を提起することを許可する命令を発出した。

 Jenkins v. Trustco Bank宛ての訴状は、同じ取引に対する複数のNSF手数料に対するTrustco Bankの査定結果は、1)誠実かつ公正な取引の誓約に違反、2)銀行の不当な権利の強化、3)ニューヨーク州の一般事業法第349条) (注3)(注4)に基づく欺瞞的な行為または実務慣行(約款:policy)による違反、および4)契約そのものの違反を構成すると主張した。一方、同裁判所は、契約違反の請求以外はすべて棄却するという Trustco Bankの申し立てを認めた。

 この命令は、ニューヨーク連邦地方裁判所が契約違反理論の進行を許可した今年2番目のTrustco Bankに対するクラス・アクションであるため、重要な意義を持つ。

 今回のブログは、まず(1) 弁護士Tanner Horton Jones氏 のブログによりニューヨーク州北部地区連邦地方裁判所の裁判のクラス・アクションを進めるとする承認内容を概観し、経緯等の詳細を見る、(2) 当座貸越手数料とNSF手数料問題に関する米国金融監督機関の最新取組の動向、(3)そもそも当座決済の資金不足 (NSF) とは何か?  NSF手数料と当座貸越手数料との関係は如何、(4) NSF手数料に対する批判と銀行の対応、(5)ウェルズ・ファーゴ銀行の当座貸越手数料とオプションであるウェルズ・ファーゴ当座貸越サービスと関連手数料につき補足解説する。

 最後に参考として、わが国ではほとんど解説がない「推定上のクラス・アクション」につき筆者が理解した範囲で解説を試みる。

1.ニューヨーク州北部地区連邦地方裁判所が原告(Jenkins氏)が銀行による資金不足(NSF)契約違反の請求を違法に行ったと判断し、Trustco Bankに対する「推定上のクラス・アクション」を提起することを許可する命令を発出

 Tanner Horton Jones氏 のブログを以下、抜粋、仮訳する。

 もう1つのクラス・アクション、Lamoureux v. Trustco Bank事件も、同行のNSFと当座貸越手数料の実務慣行に関するものである。Jenkins氏の担当裁判所は、両方の訴訟の原告が「同一の契約に対する同じ違反を主張した」と指摘し、銀行はそれぞれのケースでその弁護のために契約の同じ部分に頼っていたと指摘した。裁判所はその後、NSF手数料に関する銀行の契約上の文言が曖昧であるという原告Robert N. Lamoureux(以下、Lamoureux氏という)の推論と結論を採用し、原告の請求は被告による却下の動議を生き残ることができた。

 これら2つの訴訟でも問題となっているのは、支払いがNSFまたは当座貸越手数料の対象となる新しいアイテムとして再提示される各ケースを処理する銀行の実務慣行である。

 Trustco Bankは、その契約の下で、最初に決済できなかった支払いを再提示しようとする加盟店によるその後の試みは、別の「アイテム」として処理され、扱われる可能性があると主張している。

 原告らは、同じ取引を処理する複数の試みは、契約で用語が使用されているため、単一の「アイテム」として扱われなければならないと主張している。各解釈が妥当であるとの判断において、Lamoureux事件の担当裁判所は、Trustco Bankの口座契約の文言は、他のいくつかの裁判所が曖昧と見なした他の銀行によって使用されている用語に類似していると見た。

 Jenkins氏もLamoureux氏も、さらなるクラス・アクションの手続きを待っている。我々は、引き続き、それぞれが前進するにつれて重要な進展について監視していく。

 2022年8月、連邦金融監督機関であるFDICは、同じ未払い取引の再提示から生じる複数のNSF手数料に関する新しい監督ガイダンスを発行した。これらの訴訟は、金融機関が契約違反などの請求で直面したクラス・アクションの一例であり、その一部は、NSF手数料の再提示慣行を適切に開示しなかったことに基づいて、実質的な和解をもたらした。

 米国連邦金融監督機関であるOCC、FRB、CFPBのいずれも、NSF手数料の再提示の問題に関して正式な公的立場をとっていないが、これらの機関はすでに当座貸越慣行を懸念事項としており、再提示NSF手数料に関するFDICの立場に従うことを期待している。

 また、当座貸越手数料とNSF手数料問題も引き続き州の規制当局の焦点であり、ニューヨーク州金融サービス局マサチューセッツ州消費者問題・ビジネス規制局の銀行部門は、当座貸越とNSF手数料に関するガイダンスを監督機関に発行している。

2.当座決済の資金不足 (NSF) の意義 

investopediaの解説から抜粋、仮訳する。

(1)NSFとはいかなるものか?

 当座預金残高不足 (Non-sufficient funds :NSF) または残高不足 insufficient fundsは、すべての取引をカバーするのに十分な資金がない当座預金口座の状態をいう。NSF は、小切手が提示されたがアカウントの残高ではカバーできない場合に請求される手数料についても説明する。

 当座顧客は、口座の保有量を超える金額を引き出そうとすると、銀行の明細書に「資金が不足している」または「資金が不足している」という通知が表示される。

 支払いを完了できない場合、多くの場合、「不渡り(bounced)」と見なされる。銀行が、資金不足の口座に書かれた小切手を受け取った場合、銀行は支払いを拒否し、口座名義人に NSF 手数料を請求することができる。さらに、ペナルティまたは手数料が発生する場合がある。返された小切手に対して売り手からペナルティまたは手数料が発生する場合がある。

【重要ポイント】

① 当座預金口座は、取引の決済をカバーするのに必要な資金が不足している場合、「不十分な資金」(NSF)を持っていると言われる。

② NSF は、口座の残高ではカバーできない小切手または支払いを提示するために顧客が請求される手数料をも指す。

③ 消費者は、銀行を通じて当座貸越による保護を選択することで、NSF 手数料の支払いを回避できる。

(2)不足資金による NSF手数料の仕組み

 提示された小切手が返還された場合、または小切手をカバーする資金が不足しているために支払いを行うことができない場合、銀行はしばしば NSF 手数料を請求する。連邦消費者金融保護局(CFPB)の 2022 年のデータによると、NSF手数料はそれぞれ平均 34 ドル(約4800円)である。

 品物等の受取人が小切手を書き、預金した場合、金融機関は、預金を行ってから 2 営業日以内に資金を利用できるようにしなければならない。支払人の銀行口座から資金が利用できない場合、資金が不足していると見なされ、NSF 手数料が課される。

 銀行は、不十分な資金取引に関連する不渡り等ペナルティを回避するために、口座保有者オプションを提供している。顧客は、銀行が手数料を負担し、NSF 手数料を追加することを可能にする当座貸越ポリシーをオプトアウトするか、不足している口座に資金を供給するために普通預金口座やクレジット カードなどの少なくとも 1 つのバックアップ口座をリンクすることができる。

3.NSF手数料と当座貸越手数料

 「不十分な資金(当座預金口座の残高不足)」と「当座貸越」は、2 つの異なる銀行取引である。どちらも資金不足に関連しており、手数料が発生する可能性がある。銀行は、小切手などの支払いなしで提示された支払いを返すときに NSF 手数料を請求し、当座預金口座を当座借越する小切手を受け入れて支払うときに当座貸越手数料を請求する。

 100 ドルの当座預金口座を持っている顧客は、120 ドルの購入に対して自動清算機関(ACH)(注5) または電子小切手による支払いを開始できる。銀行が小切手の支払いを拒否した場合、NSF 手数料が発生する。銀行が小切手を受け取って売り手に支払うと、当座預金口座の残高は -20 ドルになり、当座貸越 (OD) 手数料が発生する。

 一方、当座貸越保護は、多くの場合、銀行の顧客にとってオプションである。顧客が当座預金口座に $20 を持っていて、デビット カードまたはチェック カードで $40 の購入を試み、銀行の当座貸越プランにオプトインしていない場合、取引は小売業者によって拒否される。

 顧客が当座貸越保護( OD プロテクション)を持っている場合、取引は受け入れられる可能性があり、銀行は OD 手数料を査定する可能性がある。ただし、顧客が 40 ドルの取引に対して小切手を書いた場合、銀行は、顧客が当座貸越プログラムに参加しているかどうかに関係なく、それを尊重して OD 手数料を査定するか、拒否して NSF 手数料を査定することができる。

NSF手数料を回避する方法

① 毎月の支払いを適切に予算化する。故意に小切手を書いたり、現在の当座預金口座の残高を超えて支払うことは避けてください。

② 口座残高、デビット カード取引、自動支払いをする。

③ 当座預金口座と普通預金口座のように複数の口座をリンクして、不足分を補うためにお金が一方から他方へ自動的に移動するようにする。

 当座貸越枠は、資金不足の問題をカバーするために申請する特別な商品です。当座貸越信用枠には、承認を決定する際に顧客の信用スコアと信用プロファイルを考慮する与信申請が必要である。

  現在、多くの銀行で残高不足アラートを設定できるようになっている。口座の資金が指定した金額を下回ると、テキストまたはメールで通知が届く。これは、現在利用可能な金額を追跡するのに役立ち、それに応じて支出を調整できる。

4.NSF手数料に対する批判

 連邦消費者金融保護局(CFPB) は、金融サービスを使用している間、消費者を監視および保護する。2010 年には、抜本的な銀行改革法が当座貸越と NSF 手数料に対処し、消費者が銀行を通じて当座貸越保護を選択できるようにするガイダンスを実施した。金融機関が手数料約款(policy)を誤って処理するにつれて、消費者の保護を強化することがますます急務になっている。

 金融機関は取引の順序を変更し、消費者口座への引き落としを処理して、時系列順ではなく、最も大きいものを最初に差し引くことで、当座貸越手数料を最大化している。2011 年、バンク オブ アメリカは、このように顧客取引を再注文し、当座貸越手数料を請求したとして、2 年前に発生した 4 億 1,000 万ドルの集団訴訟で和解した。TD バンクは、2010 年に同様の手数料の管理ミスに対する集団訴訟の和解で 6,200 万ドル以上を支払った。

 2020 年、バンク・オブ・ハワイは、800 万ドルの決済基金を設定して、資金が利用可能である間に承認された顧客の支払いに対して請求された顧客に返済したが、口座が不十分な状態になり、料金が請求されると、借方を決済した。銀行は未払いのままの当座貸越手数料を免除することに同意した。

 金融機関は、単一の取引、複数の手数料活動を実践しており、債権者が支払い要求を繰り返し自動的に再提出した場合、単一のアイテムまたは取引に対して複数の NSF 手数料を査定している。2020 年、海軍連邦信用組合は、不正行為や責任を認めることなく、1,600 万ドルでそのような訴訟を和解した。

5. NSFに関する主なQ&A

(1)銀行が NSF 手数料を請求するのはなぜか?

 銀行は、拒否された小切手を返さなければならない費用と不便さに対してNSF 手数料を当座取引先に請求する。「多くの場合、当座貸越/NSF 手数料は、手数料収入の第 1 の創出源として浮上しており、銀行の最も収益性の高い収入源の 1 つである」と、ウッドストック研究所のレポートは、American Bankerk記事を引用して指摘している。

(2)NSF手数料料金は合法か?

 はい、NSF 手数料は不渡り小切手の場合は合法であり、デビット カード取引や ATM 引き出しでは請求されない。米国政府は、NSF の手数料や手数料の規模を規制していないが、The Truth in Lending Act (注6)では、顧客が口座を開設する際に、顧客に手数料を開示することを銀行に義務付けている。

(3) NSF手数料を免除できるか?

 銀行の約款(policy)はさまざまであるが、NSF 手数料は、事後に NSF を取り消すことで免除されることがよくある。特に初めて査定される場合はそうである。銀行のカスタマー サービス ラインに電話して払い戻しを要求することが、消費者にとって最善の方法である。

(4) NSF手数料の発生は顧客の信用に影響するか?

 銀行はEquifax、TransUnion、Experian などの信用調査機関に取引を報告しないため、NSF 手数料が顧客の信用や信用スコアに直接影響することはない。

 ただし、小切手が返送された場合、クレジット カードやローンの支払いが遅れる可能性があり、顧客のクレジット・スコアに影響を与える可能性がある。

(5) NSF 料金を支払わないとどうなるか?

銀行が自動的に口座から NSF 手数料を差し引くため、顧客は NSF 手数料の支払いを回避することはできない。

【結論】

 不十分な資金とそれに伴う手数料は顧客をいらいらさせられるが、銀行ではよくあることである。批判と訴訟の焦点がますます高まっているが、NSF 手数料は依然として合法であるが、CFPB はそのような料金を監視することで消費者を保護するのに役立っている。顧客としては、銀行残高を常に自身で監視するか、当座貸越保護にサインアップすることで、手数料負担を回避できる。

6. ウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo)銀行の当座貸越手数料とオプションであるウェルズ・ファーゴ当座貸越サービスと関連手数料

 ウェルズ・ファーゴ銀行のサイト等から抜粋、仮訳する。

(1)ウェルズ・ファーゴ当座貸越手数料

 Wells Fargo の当座預金口座には、当座貸越手数料のデフォルト設定が付属している。それらの設定の詳細は以下のとおりです。オプションの当座貸越保護サービスを選択したお客様の場合、料金は少し異なる。この記事のオプションの Wells Fargo 当座貸越サービスのセクションで詳しく説明している。

①ATM または毎日のデビット取引の場合: Wells Fargo の当座預金口座のデフォルト設定では、残高を超える ATM または毎日のデビット取引は拒否される。銀行は、これらの取引を拒否するための手数料を請求しない。

②小切手と定期請求書の場合:デフォルトの設定では、ウェルズ・ファーゴは、他の銀行と同様に、小切手と定期請求書の支払いに関して独自の裁量を使用する。あなたが書いた小切手を銀行が返却することを決定した場合、または資金不足のために定期的な請求書の支払いを拒否した場合、銀行は手数料を請求しない (加盟店は返品された商品に対して手数料を請求する場合がある)。アカウントに十分な金額がない場合にウェルズ・ファーゴが小切手または定期請求書の支払いを承認すると、当座貸越手数料が請求される。

*ウェルズ・ファーゴ当座貸越手数料

料金: 35 ドルが標準の当座貸越料金である。

制限: 1 日あたり 3 回の料金で、最大 $105。

 継続的な当座貸越手数料:一部の銀行とは異なり、ウェルズ・ ファーゴは、口座が数日間赤字のままである場合、継続的な当座貸越手数料を請求しない。

 同営業日の締切時間までに引落し分を入金されれば、これらの手数料を回避することが可能である。(以下のカットオフ時間を参照されたい )

(2)オプションであるウェルズ・ファーゴ当座貸越サービスと関連手数料

 どうしても当座貸越取引を通過させたい顧客は、銀行の 2 つのオプションの当座貸越サービス (当座貸越保護とデビット・カード当座貸越サービス) のいずれかまたは両方に登録できる。登録すると、デフォルトの口座設定とは異なる状況で銀行が当座貸越手数料を請求される。

当座貸越保証サービス

概要:このオプションのサービスは、1 つまたは 2 つの Wells Fargo 口座 (貯蓄口座、クレジット・カード、または信用枠) を当座預金口座にリンクして、不足分を補う。

振込手数料:なし。ただし、ウェルズ・ファーゴのクレジット口座にリンクすると、利息が発生する。

a)普通預金口座をリンクする:  Wells Fargo は最低 25 ドル、または 25 ドルを超える場合はマイナス残高の正確な金額を送金する。

b)クレジット・カードをリンクさせる: Wells Fargo は、トランザクションをカバーするために必要な正確な金額または最低 25 ドルを前払いする。2 つのリンクされた口座がある場合、最初にクレジット・カードまたは与信枠を使用するように指定しない限り、Wells Fargo は普通預金口座を最初に使用する。

c)信用枠をリンクする: Wells Fargo は、信用枠に応じて、100 ドルまたは 300 ドル単位で資金を前払いする。

当座貸越をカバーするのに十分な金額がバックアップ口座にない場合、銀行は利用可能な金額を振り込む。送金後、銀行の裁量と顧客のデビット カード当座貸越保護への登録に基づいて、取引が拒否または承認される場合がある。取引が承認された場合、銀行の当座貸越手数料ポリシーが適用される。

デビットカード当座貸越サービス

概要:このオプションであるデビットカード当座貸越サービスは、銀行口座に十分な金額がない場合、銀行がその裁量で毎日のデビット・ カードと ATM 取引を承認し、手数料を請求できることを意味する。法律により、銀行はデビット カード当座貸越サービスに登録する前に、ユーザーの許可を得る必要がある。このサービスをスキップすると、残高を超える ATM およびデビットカードの取引は拒否され、手数料はかからない。

当座貸越手数料: $35、1 日 3 回まで。

銀行の裁量:お客様の口座取引が良好でない場合、または頻繁に当座貸越があった場合、オプション・プログラムに登録しているかどうかにかかわらず、Wells Fargoは当座貸越をカバーすることを拒否する場合がある。その場合、デビット ・カードまたは ATM カードでの取引も拒否され、追加料金は発生しない。

7.推定上のクラス・アクション(Putative Class Action Definition) の定義

Legal Matchサイトを抜粋、仮訳する。

 クラス・アクションは複雑な訴訟であり、法廷での経過は他の訴訟とは少し異なる。 クラス・アクションには、同じ被告または複数の被告によって引き起こされた同じまたは実質的に類似した傷害を有する複数の原告が関与する。

 これらの原告は、1 つの訴訟にまとめられ、損害に基づいて「クラス」にグループ化される。 裁判所は集団を単一の原告として扱い、訴訟の結果は集団に参加したすべての原告に適用される。

 訴訟の開始時には、弁護士は訴訟がクラス・アクションであるかどうかを知らない場合がある。 このような場合、弁護士は推定上のクラス・アクションを起こすことができる。

(1) 推定上のクラス・アクションとは何か?

 弁護士がクラ・スアクションを起こす場合、最初の訴状を裁判所に提出する前に、すべての原告または潜在的な原告を知っているとは限らない。これの良い例は、複数の人に販売された製品によって負傷した原告です. 同じ商品を購入して同じ被害に遭われた方で、訴訟を起こされていない方もいる可能性がある。

 このような場合、弁護士は「推定上のクラス・アクション」を提起する。推定とは、そうであると信じられている、または主張されていることを意味するため、最初の原告によって未知の原告全員に代わって推定上のクラス・アクションが提起される。

 最初の原告は、通常、訴訟が提起された時点で既知および未知のすべての原告の利益を代表し、集団代表になることを求める。訴訟のこの段階では、まだクラス・アクションとは見なされていない。

(2) 推定上のクラス・アクションが裁判所に提出された後はどうなるか?

 最初の推定上のクラス・アクションの訴状または訴訟が裁判所に提出された後、原告と被告は訴訟の証拠開示段階に進む。証拠開示の間、原告と被告の両方が互いに質問し、文書を共有し、証言録取をスケジュールして出席し、専門家と話をする。

 証拠開示の目的は、訴訟に勝訴または和解するために、事件に関係する事実と証拠を特定して確認することである。証拠開示により、弁護士は、クラス・アクションの認定を裏付ける十分な情報を収集し、原告のクラスを特定することもできる。

(3)クラスはどのようにして「推定」から「認定」に移行するか?

 原告または被告のいずれかが推定上のクラス・アクションを実際のクラス・アクションに変更するのに十分な証拠があると信じる場合、彼らは裁判所に集団を証明するよう求め、その訴訟を原告の「クラス」に応じ最初の原告が代表するクラス・アクションにする。クラス・アクションが認定されるべきかどうかを決定するために、裁判官は以下に基づいて決定を下す。

①クラスに含まれる原告の数。

②原告のグループが同じ怪我を共有しているかどうか。

③個々の原告が同じまたは実質的に類似した事実を持っているかどうか。

④クラス代表者がすべての潜在的な原告の利益を適切に代表するかどうか。

⑤原告が勝訴した場合、被告が潜在的な原告に補償できるかどうか。

 これらすべての要因を考慮した後、裁判官が訴訟をクラス・アクションにする正当な理由があると判断した場合、裁判官はクラス・アクションを認定し、事件はクラス・アクションになる。

(4)クラス・アクションはどのように継続するか?

 訴訟が正式にクラス・アクションになると、クラス・アクションの元の原告であることが多いクラス代表者は、集団に参加する他のすべての原告の法的利益を代表する。

 証拠開示段階からの情報と証拠を使用して、弁護士は、クラス・アクションについてあらゆる潜在的な原告に連絡するためにあらゆる努力を行う。これは通常、メール、テレビやラジオの広告、またはインターネットを通じて行われる。

 彼らが原告に連絡すると、原告には訴訟に関する情報が与えられ、すでに訴訟に関与している原告のクラスに参加するよう招待される。人がクラスに参加した場合、裁判所はクラスを単一の原告として扱い、訴訟の結果はクラス内のすべての原告に適用され、勝敗が決まる。

(5)クラス・アクションの疑いがあると思われる場合はどうすればよいか?

 クラス・アクションは法律によって厳しく規制されており、非常に複雑である。推定上のクラス・アクションがあると思われる場合、最初のステップは、地元の人身傷害弁護士を見つけることである。弁護士は、あなたが推定上のクラスアクションの原告適格を持っているかどうか、またはあなたが参加できる保留中のクラス・アクションがすでにあるかどうかをあなたに伝えることができる。

(6)クラス・アクションへの参加に関する通知を受け取った場合、弁護士に連絡する必要があるか?

 メールで通知を受け取った場合、または自分が所属していると思われるクラス・アクションについて読んだり聞いたりした場合は、地域のクラス・アクションの弁護士に連絡する必要がある。弁護士は、あなたの状況に最適な行動方針を決定するのに役立つ。

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(注1) 「推定上のクラス・アクション(putative class action)」につき、Legal Matchサイトの解説参照。

(注2) 日本の集団訴訟とアメリカのクラス・アクションの違いにつき、ここ 

 https://bengoshihoken-mikata.jp/archives/9632#st-toc-h-9 を参照されたい。

(注3) ニューヨーク州の具体的な条文の検索手順を追ってみる。そのあとで、条文を仮訳する。

ニューヨーク州の法律→ ニューヨーク州統合法→ 第20章 一般事業→ 第22条A 欺瞞行為および慣行からの消費者保護→第 349条 欺瞞行為および違法行為

第349条  欺瞞行為および違法な実務慣行からの消費者保護(Consumer Protection From Deceptive Acts and Practices)

(a) この州での事業、商取引、取引の実施、またはサービスの提供における欺瞞行為または実務慣行は、違法であると宣言する。

(b) 司法長官は証拠から信じるときはいつでも個人、企業、法人、協会、またはその代理人または従業員が、違法であると述べられている行為または慣行に従事した、または従事しようとしていることが明らかな場合、そのような違法な行為または慣行を禁止し、そのような違法な行為または慣行によって直接的または間接的に取得された金銭または財産の返還を得るために、彼はニューヨーク州の人々の名前で、またはニューヨーク州政府に代わって訴訟を起こすことができる。そのような訴訟では、ニューヨーク州民事訴訟法および規則(Civil Practice Law & Rules)の第 63 条(注4)に基づいて予備的救済(preliminary relief)が認められる場合がある。

(c) 本条違反の差止めを求める前に、司法長官は、そのような訴訟が企図されている相手に配達証明郵便で通知し、通知の受領後 5 営業日以内に書面で提示する機会を与える必要があるものとする。

ただし、司法長官が予備的救済を求める場合に、そのような通知と機会を与えることが公共の利益にならないと判断した場合は、この限りではない。

(d) そのような訴訟において、その行為または実務慣行が、連邦取引委員会または米国の公的部門、部門、委員会、または機関の規則および規制ならびにそれらによって管理される法令の対象であり、または準拠する場合、規制または法令は、連邦取引委員会またはそのような部門、部門、委員会、または機関、または連邦裁判所によって解釈される。

(e) 本項のいかなる規定も、テレビまたはラジオ放送局、または広告を放送、発行、または印刷する新聞、雑誌、またはその他の形態の印刷広告の発行者または印刷業者には適用されないものとする。

(注4) 2015 New York Laws:CVP - Civil Practice Law & Rules

Article 63 - (Civil Practice Law & Rules) INJUNCTION 

6301 - Grounds for preliminary injunction and temporary restraining order.

6311 - Preliminary injunction.

R6312 - Motion papers; undertaking; issues of fact.

6313 - Temporary restraining order.

6314 - Vacating or modifying preliminary injunction or temporary restraining order.

6315 - Ascertaining damages sustained by reason of preliminary injunction or temporary restraining order.

6330 - Obscene prints and articles; jurisdiction.

(注5) 米国における小口決済の主なステークホルダー関係図

 

(注6) The Truth in Lending Actにつき、筆者ブログ(注4-2)参照。

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米国CFTCがオハイオ州の男性とその所有企業をデジタル資産取引スキームにおける1200万ドル(約16億214万円)以上の不正勧誘と不正流用を理由に民事起訴

2022-08-21 08:10:12 | 米国の金融監督機関

 

 米国の商品先物取引委員会(CFTC)は8月12日、オハイオ州ニューオルバニー市住のラスナキショア・ギリ(Rathnakishore Giri)と彼が所有するオハイオ州に本拠を置くNBD Eidetic Capital, LLCおよびSR Private Equity, LLCに対して、オハイオ州南部地区連邦地方裁判所に民事法執行訴訟を起こしたと発表した。

 同訴状は、ギリと彼の会社が150人以上の顧客から1200万ドル以上と少なくとも10ビットコインを不正に勧誘し、またギリと彼の会社がデジタル資産取引を目的とした顧客資金を不正に流用したと主張している。

 さらに訴状は、ギリの両親であるギリ・スブラマニ(Giri Subramani)とロカ・パヴァニ・ギリ(Loka Pavani Giri)を、正当な利害関係のない資金を所有している救済被告(注1)として起訴している。

 今回のブログは、(1)本起訴の詳細、(2)CFTC/SECの投資家アラート:ビットコイン先物における資金取引の注意喚起の概要について概観する。

1.起訴の内容

 CFTCは、その継続的な訴訟において、詐欺被害にあった顧客への補償(restitution)、不正に得た利益の返還(disgorgement of ill-gotten gains)、民事上の金銭的罰則(civil monetary penalties)、恒久的な取引および登録禁止(permanent trading and registration bans)、および「商品取引法(Commodity Exchange Act :CEA)」および「CFTC規則(CFTC regulations)」のさらなる違反に対する永久的差止命令(permanent injunction)を求めている。

2.本事件の背景

 訴状は、2019年3月頃から現在まで、被告が運営しているとされるさまざまなデジタル資産投資ファンドに投資するために、少なくとも150人の顧客から1200万ドル以上と10ビットコイン以上を勧誘し、受け入れた詐欺的なスキームに関与したと訴えている。同訴状によると、被告は顧客への勧誘において、利益の保証やギリのデジタル資産トレーダーとしての成功話など、多数の虚偽で誤解を招くような声明を出した。

 また被告は、顧客には、いつでも初期投資と利益を撤回しうる能力があると顧客に述べたが、これは虚偽であった。さらに訴状は、顧客への勧誘において、被告がねずみ講:ポンジスキーム(Ponzi scheme)に似た方法で他の顧客に利益を支払うために顧客の資金を不正に流用し、ヨットのレンタル、豪華な休暇、豪華な買い物を含むギリの贅沢なライフスタイルを支払うために顧客の資金を不正に流用するなど、重要な事実・手続を省略したと主張している。また訴状は、被告が顧客資金をギリおよび救済被告の個人銀行およびデジタル資産取引口座に送金したときに、被告が顧客資金をギリおよび救済被告(Relief Defendants )の資金を混同したと主張している。

3.CFTCやSECにおけるデジタル資産取引の顧客保護活動

 CFTC は、仮想通貨または最近開始されたビットコイン先物およびオプションへの投資または投機に関連する潜在的なリスクを一般に知らせるために、証券取引委員会との 1 つを含め、詐欺の警告サインを提供するいくつかの顧客保護詐欺勧告および解説サイトを立ち上げた。 [CFTC/SEC 投資家アラートを参照: ビットコイン先物で取引されるファンド] 参照。

 またCFTCは、資金をコミットする前にCFTCへの当該会社の登録を確認するよう消費者に強く促す。登録されていない場合、顧客はそのエンティティに資金を提供することに注意する必要があり、会社の登録ステータスは、全米先物協会NFA BASICを使用して確認できる。

 顧客およびその他の個人は、フリーダイヤルホットライン866-FON-CFTC(866-366-2382)を介して、商品取引法違反の可能性などの疑わしい活動や情報を執行部に報告するか、オンラインでヒントや苦情(ハイパーリンクが必要)を提出するか、CFTC内部告発局(CFTC Whistleblower Office)に連絡することができる。内部告発者は、CEAの違反者によってCFTCに支払われた金銭的制裁を通じて資金を調達されたCFTC顧客保護基金から支払われた金銭的制裁の10〜30%を受け取る資格がある。

4.CFTC/SECの投資家アラート::ビットコイン先物における資金取引の注意喚起の内容

CFTC/SEC Investor Alert: Funds Trading in Bitcoin Futures

 CFTCサイトの解説を抜粋、仮訳する。

 証券取引委員会(SEC)の投資家教育・支援局(OIEA)、

Lori J. Schock :Director, Office of Investor Education and Advocacy

商品先物取引委員会(CFTC)の顧客教育・支援局(OCEO)は、ビットコイン先物市場へのリスクにさらされる度合い(exposure)を持つファンドを検討している投資家に対し、投資の潜在的なリスクと利益を慎重に検討するよう促します。とりわけ、投資家は、ビットコイン先物市場を通じて投資家などが〕リスクにさらされる度合い(exposure)を得ることを含むビットコインは、非常に投機的な投資であることを理解する必要がある。そのため、投資家は、ビットコインとビットコイン先物市場の不安定性(volatility)、ならびに規制の欠如と、基礎となるビットコイン市場における詐欺や操作の可能性を考慮する必要がある。

〇ビットコイン: ビットコインはデジタル資産、またはブロックチェーン技術に依存する資産です。ビットコインは「仮想通貨(virtual currency)」または「暗号通貨(cryptocurrency)」とも呼ばれている。

〇ビットコイン先物: ビットコイン先物契約は、将来の特定の日付に特定の数量のビットコインを指定された価格で売買するという標準化された契約である。 米国では、ビットコインは商品であり、商品先物取引はCFTCによって規制および監督される先物取引所で行われることが義務付けられている。

 「1940年投資会社法(Investment Company Act of 1940)」およびその規則に基づいて規制されているファンド(「ファンド」)は、重要な投資家保護を提供するために必要である。 例えば、ファンドはファンド資産の評価と保管に関する法的要件を遵守しなければならず、投資信託とETF(注2)は流動性要件を遵守しなければならない。これらの保護は、ビットコイン先物契約の保有を含む、ファンドのすべての保有に適用される。 一部のファンドは、ビットコインへのリスクにさらされる度合いを獲得する 1 つの方法として、ビットコイン先物契約の取引に関与する場合がある。 また投資家は、ビットコインおよびビットコイン先物契約のポジションが非常に投機的であることを理解する必要がある。

 先物を売買するファンドへの投資を検討している投資家は、以下のとおりビットコイン慎重に検討する必要がある。

投資家のリスク許容度:投資家は、自分が取りやすいリスクのレベルと比較して、取っているリスクのレベルに焦点を当てるべきである。詳細については、「リスク許容度の評価」を参照されたい。

ファンドのリスクの開示:ファンドは、目論見書にファンドへの投資の主なリスクを開示する必要がある。詳細については、ミューチュアルファンドの目論見書の読み方(パート1/3:投資目的、戦略、リスクを参照されたい。

投資の潜在的な損失: ファンドへのすべての投資には、財務上の損失のリスクが伴う。このリスクは、ビットコイン先物およびビットコイン先物の不安定性が高いため(価格が大きく変動する可能性があることを意味する)、ビットコイン先物契約のポジションで増加する可能性がある。また、基礎となる現金や「スポット」ビットコイン市場における詐欺や操作の可能性もある。

④投資成果の違い: ビットコイン価格の上昇は、ビットコイン先物契約のポジションを保有するファンドの価値の同様の上昇をもたらさない可能性がある。これは、商品先物取引契約を行うファンドが、契約の原資産に直接さらされていない可能性があるためである。先物契約価格は、配送月によって異なり、原商品のスポット価格とは異なる場合がある。先物契約も定期的に期限切れになり、期限切れの先物ポジションが通常新しい契約に引き継がれるため、ポートフォリオのリスクにさらされる危険性が変動する。特定のファンドの価値は、先物契約リスクにさらされる度合いの維持によって影響を受ける可能性がある。商品先物を取引するファンドまたは取引所で取引される商品の詳細については、「商品ETPまたはファンドに投資する前のリスクについて学ぶ」を参照されたい。

 ビットコイン先物を売買するファンドは、他ビットコインファンドに比べて独自の特徴があり、リスクが高い可能性がある。投資する前に、投資が全体的な投資計画にどのように適合するかを検討することが重要である。

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(注1) 「救済被告」とは、他の起訴状で指名された被告の違法行為の結果として、不正な資金または資産を受け取った個人または団体をいう。原告が求められた資金または資産を保護し、事件の最終的な回復にそれらを適用するために差し止めによる救済を求めるため、救済被告は通常その名前が公表される。 救済被告は名目上の被告と呼ばれることもある。(USLegal「Relief Defendant Law and Legal Definition」から抜粋、仮訳)、筆者ブログの(注2)参照。

(注2) ETFとは、“Exchange Traded Funds”の略で、「上場投資信託」と呼ばれている。特定の指数、例えば日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)等の動きに連動する運用成果をめざし、東京証券取引所などの金融商品取引所に上場している投資信託である。連動する指数は株式だけでなく、債券、REIT(リート)、通貨、コモディティ(商品)の指数もあり、投資先も日本から海外に広がり、投資しにくい国と地域と資産に手軽に投資ができるようになっている。

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米国連邦預金保険公社(FDIC)が預金保険に関する暗号資産関連の虚偽または誤解を招く表現を行ったとして5社に対し停止[中止]通告書を発布

2022-08-20 15:43:03 | 米国の金融監督機関

 Last update:August 25,2022

 8月19日、米国の金融監督機関である連邦預金保険公社(Federal Deposit Insurance Corporation FDIC)は、暗号資産取扱5社とその役員、取締役および従業員に対し、FDIC預金保険に関する虚偽で誤解を招くような陳述を停止/中止し、これらの虚偽または誤解を招くような陳述に対処するため即時の是正措置を取るよう要求する書簡を発布した旨リリース(FDIC: PR-60-2022)した。

 本ブログは、(1)わが国では類似の制度がない「停止/中止通告書」の法的意義について概要を解説し、次に(2)FDICの通告書の内容を紹介する。特にわが国では、この問題につき預金保険機構や国民生活センターの預金者向け解説は皆無といってよい。(注1)その背景は、わが国の詐欺師グループは預金保険を利用する知恵がまだないというのが本音であろう。(注2)

 なお、本件に関し、2022.8.23 Ballard Spahr LLP弁護士:Brian A. Turetsky(ブライアン・トゥレツキー)氏が 「FDICは暗号資産関連商品取り扱い業者5社の預金保険に関する虚偽または誤解を招く表現を主張する手紙等を中止し、停止通告を発布」をまとめており、併せて読まれたい。

Brian A. Turetsky氏

1.停止/中止通告書の法的意義

 Cornell Law School の解説を仮訳する。

 米国における「停止/ 中止通知書(cease and desist letter)」とは、疑わしい不正行為について説明し、申し立てられた不正行為を停止するよう要求する、不正行為者とされる人物・法人等に送られる通告書である。停止通知書は、問題の行為が継続する場合、法的措置が取られる可能性があり、実際に法的措置が取られることを通知する。“cease”が違反行為の即時停止を、“desist”が将来にわたって違反行為を再開しないことを意味している。

 このような手紙は通常、弁護士によって書かれ、著作権(copyrights)、商標権(trademarks)、特許権(patents)などの知的財産権の侵害の申し立てまたは実際の侵害を阻止するために送付されることがよくある。停止通知書は、契約違反と同様に、嫌がらせ(harassment)、口頭の名誉毀・誹謗中傷(slander)、  文書の名誉毀損(libel)に対して不正行為者に警告するためにも使用できる。停止/ 中止通知書は拘束力のない書簡であり、法的効力はないが、主に不正行為者に送付されるため、不正行為の疑いがある場合に、当該行為を停止させられないが、その不正行為者に対する訴訟において証拠として使用することができる。

2.FDICのファクトシート(概要説明):FDIC預金保険と暗号資産会社について米国民が知っておくべきこと(最終更新日:2022年7月28日)

 過去数ヶ月にわたり、一部の暗号資産会社は引き出しを一時停止したり、運用を停止したりしている。場合によっては、これらの企業は自社製品がFDIC預金保険の適用対象であることを顧客に意図的に表明しており、これらの企業の顧客が誤って自分のお金や投資が安全であると信じるように導く可能性がある。FDICは、暗号資産交換所 (crypto custodians)(注3)、暗号資産取引所(exchanges)、ブローカー(brokers)、ウォレット・プロバイダー(wallet providers) (注4)、ネオバンク(neobanks) (注5)などの暗号会社の一部の顧客が、FDIC預金保険の対象となるかどうか、そしてもしそうならどのようにカバーされるかについて混乱する可能性があることを懸念している。このファクトシートは、預金保険の補償範囲と、預金保険が顧客がこれらの暗号会社に提供する資金に適用されるかどうかについて、いくつかの一般的な誤解に対処することを目的としている。FDICは、最近の市場活動やメディア報道に照らして、FDIC預金保険の適用範囲を一般の人々が理解するのを助けるために、以下の情報を提供している。

(1)FDIC預金保険の適用範囲

(A)連邦法では、FDICは、被保険銀行および貯蓄協会(総称して「被保険者銀行」という)に保有されている預金にのみ保険をかけ、被保険者銀行の破綻の万が一の場合にのみ保証する。FDICは、暗号資産会社などのノンバンク・エンティティによって発行された資産に保険をかけない。

(B)FDICが1934年に預金の保険をかけ始めて以来、被保険銀行の破綻の結果としてFDIC被保険者資金の1ペニーでも失った預金者はいない。

(C)預金保険は、当座預金口座、普通預金口座、被保険銀行に保有されている預金証書などの商品に適用される。(https://www.fdic.gov/resources/deposit-insurance/financial-products-insured/index.html)

(D)FDICは、被保険銀行が破綻した後にのみ預金保険を支払う。この補償は、破綻時に被保険銀行に保管されている預金に対してのみ利用可能である。

(2)預金保険に加入していない商品とリスク内容

FDIC預金保険は、株式(stocks)、債券(bonds)、マネーマーケット・ミューチュアルファンド(money market mutual funds)(注6)、その他の種類の証券、商品(commodities)、暗号資産(crypto assets)などの金融商品には適用されない。

 FDIC預金保険は、他の法律で対処されている盗難や詐欺による損失から保護するものではない。

 要するに、FDIC保険は、暗号資産交換所 (crypto custodians)、暗号資産取引所(exchanges)、ブローカー(brokers)、ウォレット・プロバイダー(wallet providers)、ネオバンク(neobanks)を含むノンバンクエンティティのデフォルト、破産、または破産から消費者を保護するものではない。

(3)関連資料

(A)FDICのウェブサイトでは、消費者が預金保険の適用範囲を理解するのに役立つ詳細情報を提供している。

(B) FDICの「BankFind」ツールを使用して、エンティティが被保険者銀行であるかどうかを判断できる。

(C) FDICは、預金保険に関する虚偽表示の疑いに関する苦情を提出するためのポータルを維持している。

(D) 預金保険の適用範囲を管理するFDICの規制は、12 C.F.R. Part 330に記載されている。

(E) 預金保険および暗号会社との取引に関するFDIC被保険機関へのFDICの忠告は、暗号資産会社を含むノンバンク・金融エンティティによるFDIC預金保険に関する虚偽表示に関するリスク管理およびガバナンスの考慮事項に対処しており、https://www.fdic.gov/news/financial-institution-letters/2022/fil22035.html で見出すことができる。

3.FDICの暗号資産取扱業者5社に対する停止[中止]通告書の内容

 FDICによって収集された証拠に基づいて、これらの企業のそれぞれは、ウェブサイトやソーシャルメディアアカウントを含め、(1)特定の暗号資産関連商品がFDICの被保険商品である、または(2)証券口座に保有されている株式がFDIC被保険商品であると述べるか、または示唆する虚偽の表明した。あるケースでは、いわゆる暗号資産を提供する企業は、FDICとの提携または承認を示唆するドメイン名も登録した。これらの表現は明らかに虚偽であり、誤解を招くものである。

 連邦預金保険法(Federal Deposit Insurance Act :以下「FDI Act」)は、無保険の商品がFDIC被保険者であることを表明または暗示すること、または預金保険の範囲と方法を故意に虚偽表示することを禁じている。さらにFDI法は、企業が会社名、広告、またはその他の文書に「FDIC」を使用して、自社製品がFDIC被保険者であると示唆することを禁じている。さらにFDICは、FDI法により、この禁止をいかなる者に対しても執行する権限を与えられている。

 一般的にFDIC預金保険は、FDIC被保険銀行の破綻万が一の際に顧客を保護する。当該機関がFDIC被保険者であるかどうかを判断するには、当該機関の代表者に尋ねるか、当該機関のFDICサインを探すか、FDICのBankFindツールを使用する。FDIC預金保険に関する一般的な情報については、以下のFAQs(よくある質問)を読まれたい。また、FDIC保険および暗号会社の詳細については、次のファクトシートを読まれたい。

FDICの Cryptonews.comへの手紙を参照。

FDICの Cryptosec.infoへの手紙を参照。

FDICが SmartAsset.comに宛てた手紙を参照。

FDICのFTX米国(FTX US)への手紙を参照。

FDICの FDICCrypto.com への手紙を参照。

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(注1)金 融 庁&消 費 者 庁&警 察 庁平 成 2 9 年 9 月 2 9 日 公 表(令和3年4月7日最終更新)「暗号資産に関するトラブルにご注意ください!」を参照されたい。

(注2)  本ブログを読むにあたり基本知識として「暗号資産のしくみと相談対応に必要なポイント」等を参照されたい。

(注3) 暗号資産交換所 (crypto custodians))参照。

(注4) カスペルスキー社「仮想通貨ウォレットの選び方」参照。

(注5) 「チャレンジャー バンク」と呼ばれることもあるネオバンクは、モバイルバンキングやオンライン バンキングを効率化するためのアプリ、ソフトウェア、その他のテクノロジーを提供するフィンテック企業である。これらのフィンテックは、通常、当座預金口座や普通預金口座などの特定の金融商品を専門としている。また、彼らの多くは金融商品に保険を掛けるためにそのような機関と提携しているにもかかわらず、メガバンクのカウンターパートよりも機敏で透明性が高い傾向がある。米国では、これらのフィンテックはより一般的にネオバンクと呼ばれている。(Forbes Advisor “What Is A Neobank?”から抜粋、仮訳)

(注6) MMF(MMMF) Money Market Mutual Fund: 米国で1971年に創設されたオープンエンド型の投資信託。高利回りの短期証券(CD、CP、TB、BAなど)で運用するもの。換金が自由なほか、小切手の振り出しも可能なことから、銀行預金の強力な対抗商品として急成長した。(金融用語辞典から抜粋)

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