hoppenの韓的な日々♪

2004年・夏、イ・ビョンホンssiに出会ってから韓流へ~韓国映画&ドラマで刺激的になった日々を綴ります。

『悪魔を見た』:ソウル狎鴎亭CGVにて(2010.09.05)

2010-09-23 21:27:34 | 韓国映画・ドラマのレビュー

『悪魔を見た』(악마를 보았다)
(2010.08.11韓国公開) 

韓国公式HP
シネ・ソウルMOVIE(韓国映画紹介サイト)

キム・ジウン監督の新作『悪魔が見た』を、ソウルで見て来ました。
チェ・ミンシクとイ・ビョンホンという、2大俳優の演技対決は期待以上。
そして、映画自体のクオリティが高い。
それだけに、無責任に、「お薦めします」とは言えない映画です。

まさに、「悪魔を見る」映画です。
しかも、生きた人間が、悪魔そのもの。
こんなに怖さを体現した映画は、初めてでした。

残虐なシーンの連続。
この映画の真意を伝えるために必要だったのかもしれませんが、
ここまでやらなくちゃいけなかったのか、とも思う。

でも、心に残るのは、残虐なシーンではありません。
恋人を惨殺された男の悲痛が、胸に刺さったままです。

ご覧になるかどうかは、自分自身の判断で決めてください。

イ・ビョンホンが主演ですが、映画の内容は韓流のイメージとはかけ離れていますから、
くれぐれも、覚悟をしてください。

韓国では、制限上映がかけられたほどです。
その詳しい経緯と、キム・ジウン監督の真意は、こちらの記事でお読みください。

Yahooニュースより
残酷シーンで上映制限、「悪魔を見た」のキム・ジウン監督
(2010.08.16付け)


**** 韓国の映画館での鑑賞ルポ ****

韓国の映画館は、満席でした。
しかも、9割がカップル。
どうやら、お化け屋敷に来る感覚で見に来ているようでした。^^;;
残虐なシーンが出てくるたびに、彼女が彼に抱きついてるし…。
目を覆ってるなら、見に来るなって言いそうになり。
私は、一人で見に来てたものですから…。

ジャンルとしては、スプラッタ映画になるのかもしれません。
ゾンビが出てくる映画です。
「オーメン」や「エクソシスト」のような、悪魔退治の映画でもある。

でも、この映画が恐ろしいのは、ゾンビ=悪魔が、生きた人間なんです。

悪魔のような人間キョンチョル(チェ・ミンシク)が女性を襲い、惨殺する。
恋人を惨殺されたスヒョン(イ・ビョンホン)は、復讐のため、彼を痛めつけます。

その姿は、悪魔退治をする神父のようにも見えます。
でも、キョンチョルは、痛めつけても痛めつけても、ゾンビのようによみがえり、
次々と女性を襲っていくんです。

キム・ジウン監督は、容赦なく、キョンチョルの残虐をスクリーンに映し出します。
次々に描かれる惨殺シーン。
犯罪の残酷さを観客に体感させるためなのでしょうか?
映画的な技術でごまかすこともできるけど、
そんなことをしたら、
理不尽に恋人を惨殺されたスヒョンの心が伝わらない。

スヒョンは復讐を続けますが、
惨殺された恋人の苦しみが癒えるわけではなく、
自分自身の悲しみが消えることもない。
あがいても、あがいても、無念と怒り、悲しみが深くなるだけ。

ラストシーンの数秒間で、
残虐シーンの恐ろしさよりも、
スヒョンの悲哀が、この映画のテーマであることを思い知らされます。

現実の世界でも、人間性を無視した残虐な犯罪が報道されています。

その犯罪の裏には、
被害者の恐怖があること。
被害者の家族の、無念、怒りがあること。
それは、犯人が死刑になっても、自分自身で復讐しても、決して消えないこと。
それこそが、真の恐怖。

お化け屋敷を体現しに来たカップルたちも、
本当の恐怖を感じていたように思います。



**** ここからは、映画のあらすじ&見どころをご紹介 ****
【ネタバレあり!注意!!】

プロローグで、美しい恋人と会話を交わすスヒョン。
幸せそうで、実に、素敵でした♪
イ・ビョンホンのファンの私は、このシーンを見ただけで、
「はるばるソウルまで見に来て良かった」と思ったくらい。

しかし、その次の瞬間…・。
映画館が恐怖に包まれます!
音楽、映像、声…。
椅子から飛び上るほどの恐ろしさです。
殺戮シーンがあって。

恋人の死体が見つかり、マスコミが群がる。
残虐シーンよりも、このシーンの方が背筋が凍るかも。

静けさの中、
恋人の父親と、スヒョンとの悲しみにくれるシーン。
ここでのイ・ビョンホンが、
苦しくて、辛くて、どうすることもできないスヒョンの心情を、
実に深く演じています。

わずか15分ほどのプロローグで、一気に語りつくすキム・ジウン監督の手腕は見事!

スヒョンは、キョンチョルが犯人であることを突き止め、復讐を始める。
ここから、2時間余りが、スヒョンVSキョンチョルの戦い。

スヒョンは発信器&盗聴器を仕込ませたカプセルをキョンチョルに飲ませ、
女性を襲っているキョンチョルのところに現われて、痛めつける。
しかし、キョンチョルは大けがをしながらも、女性を襲い続ける。

しかも、カプセルは、便と一緒に出して、他の人に飲ませてしまう荒技まで。

このチェ・ミンシクが、むっちゃ残酷で怖くて汚いです。

でも、その中で、なぜか、ブラックユーモアが入るの。
つい、ぷふっと笑ってしまう。

パク・チャヌク監督の「こうもり」に似た設定が出てきたり、
キム・ジウン監督の、独特の遊び心がちりばめられています。

スヒョンをさらにどん底に突き落とすエピソードが盛り込まれ、
エピローグへ。

エピローグは、スヒョンが悪魔になってしまったかのように、
残酷な方法でキョンチョルへの復讐を果たす。

「この映画は、恐ろしくて、もう2度と見れないかもしれない。」
と思ったので、ずっと、目をそらさないように頑張ってたんだけど、
このシーンだけは、目をそらしてしまった。

復讐を果たした瞬間を聞きながら、道を歩いていくスヒョン。
このラストシーンのビョンホンssiが、これまた、素晴らしい!

下手をすれば、単なるスプラッタな恐怖映画で終わってしまうのに、
キム・ジウン監督の手腕と、2人の名優によって、
人間の悲しみや、本当の恐怖を体現させる映画になっています。

見ている途中から、残酷すぎてもう2度と見れないと思ったのに、
時間がたつにつれて、もう1,2回、見たいと思うようになっています。
『甘い人生』の時もそうでしたが、
キム・ジウン監督のマジックにかかってしまったようです。

********

それにしても、ビョンホンssiが出演する映画は、マニアックな独特な世界観を持ったものが多いです。

韓流ドラマやファンミーティングでは、甘くてかっこいい姿を見せてファンサービスをしてくれるのですが、
映画では、全く違った、映画俳優の姿を見せています。
そんなところが、私にはたまらなく魅力的だ♪

日本の公開はどうなるんでしょうね。。
韓流スター・イ・ビョンホンと、この映画の内容にはギャップがありすぎるので、
日本での公開の仕方は難しいと思います。

勇気ある配給会社が現れることを願います。

先日、トロント映画祭での上映が好評を博し、アメリカへの配給は決まりました。
2011年上半期に公開だそうです。
『羊たちの沈黙』と並んでの評価を受けているようです。

より
『悪魔を見た』 、トロント映画祭で好評...美で、2011年封切り確定
上映後に上がってきた外国メディアのレビューでは
"残酷が美しい。
今まで、この2時間以上の映画の中で最も急速に感じられる映画。
よくしたスリラーでも、恐いホラー映画でも、表現できないほどの悪と揺れる線の間の対決を扱った映画にも、
この映画は、素晴らしいほどに催眠をかけるような映画だ"
と述べ、
" 『羊たちの沈黙』以来、最も魅力的な連続殺人犯の物語であり、
長年の間、このスリラーの中で最高傑作の一つ"
という絶賛を送り出した。



**** キム・ジウン監督、フィルムグラフィー ****

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キム・ジウン
バップ
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イム・スジョン,ムン・グニョン,ヨム・ジョンア,キム・ガプス
アミューズソフトエンタテインメント
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キム・ジウン
ケンメディア
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イ・ビョンホン,チョン・ウソン,ソン・ガンホ
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