_帯_ LGBTの聖地は、いつ、なぜ、どのようにして生まれたのか。
昭和33年売春禁止法以前は遊郭だった新宿二丁目のその後。
おもに、性的マイノリティの人たちが集う街へと変化していく過程への考証。
10代の少なからぬ時間を新宿に親しんだ私には興味深い書だった。
名画座も要町も、そうとは知らずにごくふつうに出入りしていた高校時代。
あのころは刺激的な街ではあっても、そうとは知らずに遊んでいた無邪気なもんだった。
花園神社の唐十郎のテント芝居も行ったなあ。ジャズの「ピットイン」にも。
新潮新書 820円
295ページ
「三角形的欲望」って知ってます? ルネ・ジラールだったか。人間は、一対一で欲望するんじゃなくt、えライヴァルがいるからこそ、自分もその相手をいいと思うだって話」
「あー、でもそのライヴァルはどうしてまず最初にその相手を好きになるんですか?」
「錯覚するんじゃないですか。ライヴァルがいるって」
令和元年 上期 芥川賞受賞作
むらさきのスカートの女を「黄色いカーディガンの女」のわたしが見つめる話。
むらさきの女はいつも公園のベンチでクリームパンを食べていた。
女とわたしはホテルの清掃の仕事をはじめるが、
語り手と語られる側が入れ替わりながら、どちらがどちらか、
不確実を承知で読めばそれなりに面白かった。
個人的には「星の子」の方がよかったと思うけど。
ちなみに、今年前半「こちらあみ子」「ピクニック」を読んでいる。
ついでながら、今期芥川賞候補作 「百の夜は跳ねて」古市憲寿を
新潮で読んでいたが、ビルの窓ふきの話をそれなりに面白く読んだ記憶があるが、
選評で、参考文献が問題になっていた。川上弘美の「ものを創り出そうとする者として
の矜持に欠ける行為である」ほか、諸氏の批判的意見には共感するところ大であった。
法学部を出た作者ならではの、奇妙な人間関係のときあかし。
夫と信じた男の死後、夫はまるで別人だったと知り、弁護士城戸を通して
解き明かされていく真実への道。
本屋大賞、読売文学賞受賞作。 文藝春秋 1600円
記憶力が低下している。
昨夜読みかけた本の続きを読もうとするも、すぐにつながらない。
しばらく前に戻って、ああ、そうだったかと読みなおす。
こんなふうだから、読んだはしから読んだ本を忘れていく。
これでなんの甲斐があるのかと愕然とする一方、
読んでいるときは楽しかったり感激したり知識を得たりする。
究極、それでよし、とする。
いいの、いいの、読んでいるときが楽しいのなら、と。
私にとって読書は快楽なのだから。
で、怠けものは、サボり続けた読書メモを再開しようかなあと。