ネタばれ」ありなので、ご注意ください・・・
「ねらわれた学園」は眉村卓のジュブナイルSF小説。何度も映像化された作品ですが、手元にあるのは薬師丸ひろ子主演の「ねらわれた学園」。メガホンをとったのは、大林宣彦監督です。
原作の舞台は中学校でしたが、本作では高校が舞台になっています。三田村由香(薬師丸)と関耕児(高柳良一)が通う第一学園に、高見沢みちる(長谷川真砂美)が転校してきてから学園の様子が一変します。
みちるは転校早々に行なわれた生徒会役員選挙に立候補。生徒たちが主張する自由は「わがまま」だとして、「この学校に、ひとつの秩序をつくろうと思い立候補しました」と全校生徒を前に演説、由香はみちるの言動に不安を覚えますが、みちるは生徒会長に当選。
みちるが最初にはじめたのが「校内パトロール」。風紀をみだす生徒を取り締まるというのです。「校内パトロール」班員たちが「規律違反」と認めた生徒たちは、次々と「補導」され「英光塾」へと連れて行かれます。そして「塾」へ連れて行かれ、マインド・コントロールされたた生徒たちは、別人のようになって学園に帰ってきます。
このシーンについて大林監督は、「自由な心を持っている子どもたちは『はみだし者』として扱われてしまう」「人間が均一化してくれると政治も統率しやすいという危険性」があるといいます(本作のサービストラックより)。
「補導」された生徒たちの成績が上がったことで、校長(眉村卓)や生徒会担当教諭・清水(大石吾朗)は「パトロール」の成果を喜びますが、体育教諭の山形(三浦浩一)はそれに反発。
「取り締まる者と 取り締まられる者とに 生徒を分けるのは けしからん」と山形は言います。「補導されるのは悪い生徒だ」という清水にたいしても、「こういうことは ひとりでに エスカレートする」「もし 正義の名のもとに いろんなことば行なわれたなら」と反論。
「どういうことですかな」と問う校長に山形は、「たとえば戦争戦争ですたい!」「ファッショたい!」「パトロールなんちゅう仕組みが出来ると お互い同士が警戒し合い 信じ合えなくなるとです」「そしてパトロールを 手足として動かす独裁者・・・」と、そこまで言ったところで山形はみちるの不思議な力によって倒れてしまうのでした。
あくまでも娯楽作品ですが、安倍首相のめざす「美しい国」が重なってみえたのは、私だけでしょうか。
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