夏を追い出すかのように秋風が河原に吹いてススキの葉を揺らし
土手の向こうから昇った夕陽が赤いシルエットで対岸の街並みを包んだ
土手の上を体育大学の女子学生が走る、上下に揺れた胸元が眩しかった
そんなスケベな僕は堤防に腰掛けてタバコを吹かした
大阪で過ごした最後の夏
「お前らはたぶん将来ろくなもんにならんやろ」
パチンコ仲間で同じ無職のシゲルが探して来た倉庫番のバイトを二人とも三日でクビになった
三日目の昼に倉庫会社のえらいさん?に喫茶店でこう言われた
夜の7時まで仕事があっても日当は5時までの分しか出さないこの会社もろくなもんじゃ無かった
シゲルが
「わしらに堅気の仕事は無理やで、軽トラ買うてなんぞ商売でもしようや」
いつも言ったいた
対岸の茨木の街の工場や風呂屋から煙が上がり
ぽつぽつと家々の灯りがついた
あの灯りの下それぞれにいろんな暮らしがあるんだろうな
無職な青年は思った