怖い話や昔ばなしが好きです。
それは怖いものが好きというのもありますが、それよりも、この話の起源はどこにあるのか、と言うことを調べることが好きなのです。
だから、話の内容に具体性があるほど興味をそそられるし、身近なところで起きた話ほど調べてみたい、と思うのです。
例えば、大淵小僧。
僕が育った町の山間に、大淵小僧という子供が祭られている祠があって、市内の小学生は5年生になると、林間学校の催しでその祠に肝試しに行くのが慣例でした。
大淵小僧のことはすっかり忘れていましたが、ふとしたことから15年ぶり位に思い出して調べてみると、ちゃんとした話が市役所のウェブサイトに載っていました。
大淵小僧―
昔、一人の子供が大淵新田に住んでいた。その子は両親がおらず、祖母に育てられていたが、両親がいないということで周りからいじめられ、悪事を繰り返すようになった。小僧はますます村人に忌み嫌われ、小僧もますます心がすさんで、悪事の限りを尽くした。
小僧の悪事に手を焼いた村人は、小僧を遠くに連れて行き捨ててきたが、小僧はやがて大淵新田に戻ってきてしまい以前にもまして悪事を働いた。
見かねた村人はとうとう小僧を殺すことにした。そのことを知った祖母は、小僧に粟を握らせて、『村人をこの粟の粒ほど呪ってやれ』と言った。
小僧は村人に殺されてしまったが、その後原因も分からず村人が次々に何人も死んでいった。
村人は、小僧のたたりに違いないと思い、自分たちがしたことを悔い、小僧を供養する祠を建立したところ、そのたたりはぴたりと止んだのだった。
―以上
と言う、今聞くと怖いというよりもちょっと悲しいお話です。『とうせん坊』と言う話にも似ている気がする。
昔話と言うのは、いろいろな地方で同じような話が伝わっていて、実際にその土地であった話かと言われると何とも言えないけれど、知っている地名が出てくると、おっと思います。
大淵小僧に限らず、地元の市役所のホームページはこの類の話が充実しています。なかには日本昔ばなしで放映された話も載っています(万野の天狗岩)。
昔ばなしに出てくる妖怪や超常現象が全て実際にあったことだとは思いませんし、恐らく当時の生活からは解明できない現象や疫病がおこったとき、それを何かのせいにすることで話が出来上がってきたのだと思いますが、昔ばなしにはよくできた話も多く、その起源に思いを馳せることも楽しいものです。
誰か自分の地元に伝わる話を知っていたら是非教えてほしいものです。
(写真は新緑の畑薙第一ダム付近。日本昔ばなしの背景風。)