野菜に関する怪情報を探る

テレビや書籍、ホームページなどから、野菜に関する記載について疑問に感じたことを綴るつもりです。

タマネギの硫化アリル

2007-11-26 07:34:26 | Weblog
 ある著名な大学教授の本によると、「1.タマネギの催涙成分は硫化アリルである。2.硫化アリルとビタミンB1が組み合わさると効果が大きい。3.硫化アリルは熱を加えるとプロピルメルカプタンという甘味成分に変わる。」と書かれています。
 まず、タマネギの催涙成分はプロパンチアールSオキシドとされます。Wikipediaには「アリル化合物(-かごうぶつ、allyl compound)とは、2-プロペニル (2-propenyl) 構造 -CH2CH=CH2 を持つ化合物の総称である。」と書かれているように、プロパン基と2-プロペニル基とは構造が異なるので、プロパンチアールSオキシドは硫化アリルとは呼べません。
 2でいう硫化アリルとは、ニンニクから生成するアリシンについていえることです。タマネギを切ったときにアリシンは多くは発生しないでしょうから、この表現は誤解を招きます。
 3のプロピルメルカプタンが甘いことについては、日本家政学会誌、44巻(1993年)において完全に否定されています。
 ネット上では、ニンニクもネギもタマネギも臭い物にはフタをするように何でも硫化アリルとひとくくりにして誤った説明もなされています。それぞれでニオイが違うのは、ニオイ前駆物質の組成が、アリル基だけでなく、メチル基やプロピル基、2-プロペニル基など、品目によって異なることも要因になっていると考えられます。
 蛇足ですが、涙の出ないタマネギの開発も進んでいます。


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