野菜に関する怪情報を探る

テレビや書籍、ホームページなどから、野菜に関する記載について疑問に感じたことを綴るつもりです。

しつこいようですが「イソクエルシトリン」

2008-05-06 09:42:38 | Weblog
 「キュウリの栄養機能性成分としてイソクエルシトリンがあげられているが、根拠が不明である」と何度か記載してきました。一方で、イソクエルシトリンに利尿効果がある旨Wikipediaにも書かれていますし、連休中に本屋で立ち読みすれば、食品の栄養についてまとめた本のキュウリの項目には、必ずといっていいほど「イソクエルシトリン」と「ククルビタシンA,B,C,D」が掲載されていました。しつこいですが、イソクエルシトリンについて再度整理します。Wikipediaに書き込まれた方が、もし根拠なく書かれたのでしたら、訂正いただけるようお願いします。何度か指摘していますが、一般向けに書かれた「**事典」などという食材のカタログのような本については、根拠にはならないと考えます。
 イソクエルシトリンは、フラボノイドの1種で多くの植物に含まれています。(キュウリには全く含まれないと否定するのも難しいのですが。)CHEMICAL & PHARMACEUTICAL BULLETIN Vol. 53 (2005) , No. 12 1604 には、民間薬にも使われるドクダミでの定量例が示されています。構造的にはルチンなどに近いので、抗酸化作用があってもおかしくはないと思います。ただし、調べた限りでは、イソクエルシトリンが利尿作用を示すという文献は見あたりませんでした。
 キュウリは、フラボノイド含量の低い野菜です。従って、これらの成分についての研究はほとんどありません。また、仮にキュウリにイソクエルシトリンが含まれたとしても、量的には微々たるものであり、栄養・機能成分として特筆するには値しないものと考えます。
 何故、キュウリにイソクエルシトリンが含まれ利尿効果を示すといわれるようになったかですが、先に、シトルリン(これも最近機能性に注目されているようですが)とすべきところを誰かが間違って記載したためと推測しました。あるいは、キュウリには利尿効果がある。利尿効果のあるとされる民間薬ドクダミの成分について調べたら「イソクエルシトリン」が有効成分(利尿成分かどうかは?ですが)となっていたので、キュウリの利尿成分もイソクエルシトリンではないかと考えたのかもしれません。
 流行の世界なら、根拠はなくても多数がよいとすれば「良い」ものと認めることもできます。科学の世界では、「炭酸ガスをいくら出しても地球は温暖化しない、あるいは石油は無尽蔵にある」と大勢の人が願っても、そうはならないはずです。ましてやヒトの健康にも関わる分野で、根拠なき暴論が広まることは、問題だと考えます。
 「ククリビタシンA,B,C,D」についても後日記載します。


1 コメント

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よく考察されている (~いわんやD)
2009-07-04 14:08:15
①世俗で安易に決め付ける傾向は見逃すわけにはいかないという意見
②ドクダミやフラボノイド含量の記述
に関しては分かります。
しかし、データについて根拠が乏しい。
否定するには周辺情報ばかりで疑問です。

ではないだろうか…
と思われるor考える…
と言われても、じゃあ実際はどうなのですか?と言われるでしょう。

学者も著作の中にイソクエルシトリンと記載してる以上、『結果を分析しないことには』否定するのは難しいです。

ただ、世間の盲点にメスを入れた記述で価値はあると思います。
更なる躍進を期待します。
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