坂道をのぼりながら

感じたこと、考えたこと、などなど。

電気に止まっている虫さえも

2006-09-29 22:28:41 | Weblog
年齢を重ねていくにつれて、
自分の知らない場所を訪れるということに、
だんだん慣れてくると思う。

その初めて訪れた場所というのは、もちろん初めてなのだけど、
初めての場所を訪れるという経験自体が、どんどん蓄積されていって、
初めての場所を訪れることが、初めてのことじゃなくなってくる。

なんか、ごちゃごちゃしてきたけど、たとえば、
大学入学のとき千葉に初めて訪れて、
博士課程で神戸に初めて訪れて、
すでに2回初めての場所を訪れるという経験をしている。

だから、こんど、仮にまだ行ったことのない北海道に行ったとしても、
初めての場所を訪れるという経験は、3回目になってしまう。

まだ生活範囲が小学校や中学校と家の周辺のときは、
修学旅行とかで、自分の知らない土地に行くと、
その町の商店街を人が歩いているということ、
メガネ屋やうどん屋があること、同い年くらいの学生が
うようよしていることなど、不思議というか、不思議とも
感じさえしないくらいに、
別の土地にいるという感覚そのものが生で感じられていたと思う。

だからどうしたと言われそうだけど、
今朝、六甲駅に向かう途中に、
なんとなくそういうことを思ったので、
書き残しておこうと思う。

朝の10時くらいに阪急線にのると、
いつも電車の中がほの暗い。

停車駅が近づくと、急に車内に電気がついて、
急に明るくなる。

駅を出発すると、電気が消えて、再び暗くなる。

みんな誰も驚かない。
電気に止まっている虫さえも驚いていないようなその空間は、
とても非日常的な感じがする。

昨日、今日と、大阪大学で行われた講演会に参加。
北千里にあるキャンパスにて。

北千里の町は、緑が多いので、キャンパスまで歩いていくのがとても楽しい。
晴れていると空がとてもきれいだし、葉っぱが風にゆれていたりして、
なつかしい匂いが体の中に入ってくる。

今日は、蝉が一匹鳴いていて、
ふと小学校のころの夏休みの記憶が頭をよぎった。

講演会は、いろんな角度から研究している人たちの話が聞けて、
みんながどういうことを問題に感じて、
どういうアプローチをしているのかを知ることができて、
自分が研究を進めて行く上で、とても参考になったと思う。


香りだけでもかいでみたい

2006-09-28 10:29:35 | Weblog
ウィトゲンシュタインの論理哲学論考を音読しながら、
坂道を登る。人通りが少ない道なので、気兼ねなく音読できる。

読んでいる本は、『論考』『青色本』読解(黒崎宏 訳・解説)である。
矢野茂樹さんの訳で、岩波文庫の「論理哲学論考」もあるけど、
解説つきのほうがいいかなと思い、黒崎さんの本を購入した
(購入したのは、だいぶ前で、長いこと本棚に眠っていました)。

ふつうに読んでいても内容を理解できないので、
ついに、何も考えずにできる音読という手段をとったのである。

卑怯な手段ではあるが、こうでもしないと、
せっかくの古典的名著にも親しむことができずに、
一生を終えることになりそうなので、
せめて音読をして、その香りだけでもかいでみたいと思って。

ウィトゲンシュタインが序文のしょっぱなにこう書いている。

「おそらくこの書は、その中で表現されている思想-或いはいずれにせよそれに似た思想-を既に自ら一度は考えたことのある人にのみ、理解されるであろう。-それ故この書は、教科書ではない。-この書の目的は、それを読んで理解した人に楽しみを与えるならば、達成されたことになろう。」

なるほど、どうりで理解できないわけである。

論理哲学論考が、ここ何日かの眠り薬になっているということは、
僕の胸の中にだけしまっておこう。

***

『論考』『青色本』読解

論理哲学論考

中身が変わるとは限りません

2006-09-28 00:34:08 | Weblog
ブログのタイトルを変更しました。

変更した理由は特にないのだけど、
今朝、坂道を登って、大学に行く途中に、
ブログってどういうことを書けばいいんだろうとか、
考えていたら、そういえば、これまで、
このブログに書いてることは、
坂道をのぼりながら考えていることが多いなあと思って、
じゃぁ、ブログのタイトルを「坂道をのぼりながら」に
しようかなと思いついた瞬間、でも、なんかどこかで聞いたセリフだと
思ったら、案の定、夏目漱石の「草枕」の冒頭と同じだ、と思い至り、
パクッたみたいで良くないかなとも思ったけれど、
ちょうど坂道を歩いていた僕にとっては自然な発想だったので、
漱石さんも目をつぶってくれるだろうと思い、
今回、タイトルを変更することにしたわけです。

(注)タイトルが変わったからといって、中身が変わるとは限りません。

***

この前、アニメ「ワンピース」のスペシャルをテレビでやって、
ついつい見入ってしまった。

ワンピースを見るのは、すごく久しぶりで、
もうどういう展開になっているのか、
全然分からなかったけど、
スペシャルということで、内容は、
ルフィーたちの仲間であるロビンの過去についてだった。

久しぶりに、うるうるした。

ワンピースのキャラクターの特徴は、
それぞれのキャラが、人に言えないような悲しい過去を
抱えていて、でも、そういうそぶりを見せないで、
バカをやったり、へらへら笑ったりしているけど、
仲間がピンチにたたされると、みんな愛情深い顔つきに変わって、
かっこよくなる。

今回のスペシャルでは、ロビンの壮絶な過去を知ったルフィーたちは、
泣きじゃくるロビンを、大きな心で受け入れていて、
そのシーンを見たときに、うるうるとしてしまった。

他にも、まだちっちゃいころのロビンが、母親と離ればなれになるシーンとか、
感動する場面がいっぱいだった。


六甲山

2006-09-25 23:22:06 | Weblog
この前の土曜日、六甲山をハイキングした。

研究室に、海外から共同研究者の先生がきていて、
研究室のメンバー何人かと一緒に六甲山へ。

雲ひとつない快晴で、眺めがすごくよかった。

ロープウェイに乗ったり、ハーブ園に行ったりして、
遠足みたいだった。

グリーンハウスの中では、いろんな植物が育てられていたり、
太陽の光が差しこんで、流れている水がきらきら光ったりしていた。

登りはロープウェイでひとっとびだったけど、
下りは整備された道を歩いて降りていった。
結構、ハードな道のりでした。

山を降りた後は、お食事会。
元町近くの三好食堂というお店。
お寿司、刺身、さんまの塩焼きなど。
味も良かったし、雰囲気もよくて、
研究の話とかも盛り上がる。

共同研究者の先生をホテルに送り解散。
土曜日の夜は、ぐっすり眠ることができた。

バケツにたくさん溜まると

2006-09-23 01:28:36 | Weblog
最近、Every Little Thingのスイミーという曲を、
繰り返し繰り返し聞いている。

学校の行き帰りとか、
研究に疲れたときとかに。

秋にピッタリの曲だと思う。
涼しい秋風にあたりながら聞いてると、
なんだか元気が出てくる。

***

最近、「不安の笑い」ということについて、
たまに考えたりする。

人間、不安になると、どうして笑ってしまうのだろうか?

笑ってごまかすというのは、意識的な行為だけど、
不安で笑ってしまうというのは、無意識の行為である。

「不安の笑い」は、意識的に抑えることができない。
むしろ、意識的に抑えようとすると、
「不安の笑い」は、かえって助長されるような特徴を
持っているのではないだろうか。

不安や恐怖がバケツにたくさん溜まると、
どうしてそれが、笑いという形で、あふれ出してくるんだろう?

脳科学の研究で、こういったことに関する新しい知見はないのかな。

光の流れる神戸の夜景

2006-09-22 10:49:01 | Weblog
最近、固有値問題を計算中。

学部のときに使っていた線形代数の教科書を、
本棚からひっぱりだしてきて、
基本的なことを復習をしながら計算しているところ。

学部のときの線形代数の授業は、
チンプンカンプンだった。。

いったい何のための理論なのかがよく分からなかった。
なんでこんなに連立方程式をひたすら解いたりしないといけないんだろう。
固有値って何?
どうして固有値が重要なの?

***

昨日、大学から帰る途中に、固有値のことを考えていたら、
理科大で所属していた経営工学科と、今やっている物理よりのことが、
つながっていることに気がついた!

経営工学は、結局のところ、ものの流れ、人の流れ、お金の流れ、
資源の流れのような、いろんな流れを扱っていたのだと思う。
つまりシステム論的な観点から、全体的にものごとを眺めるという立場。

そう思ってみると、物質の流れやエネルギーの流れを扱う熱・統計力学で
使われる数学と、経営工学で使われる数学は、似ていて当然だ。

横を見たら、光の流れる神戸の夜景があった。

いろんな気配が漂っている

2006-09-20 09:33:46 | Weblog
月曜日、昼食を一緒に食べた後に、
Y君は帰った。

大阪城に寄っていきたいのだといい、
六甲道駅からJR線で、大阪まで行った後に、
そこから新幹線に乗るのだと。

Y君が東京の家についてからメールが来た。

タイトル:お世話になりました。
「30分くらい前に無事に帰宅しました!
別れた後、大阪駅近くの高層ビルの空中展望台に行きました。
景色がよかったです。結局、帰りは京都から帰りました。
滞在中は部屋を散らかしてすいません。新横浜でもどこでもいいから
関東に来たら連絡してな。俺の狭い部屋にでも泊まってください!」

京都まで行ったみたいである。
あいかわらずY君は行動派だ。

神戸に着たばっかりのとき、
ジョリーパスタでパスタを食べながら、

「オレさあ、8月に中国に行ったんだよね」
「え、そうなの?」

びっくりしたので、コップの水を飲んだ。

中国には、やっぱり理科大いたときの友達のO君がいる。
O君を訪ねて、中国に行ってきたそうだ。

「Oのやつさあ、英語、バリバリ話せて、すげーなぁって思った」
「中国なのに英語なの?」
「いろんな国から留学してきてる人がいるから、
結構、英語で話す機会が多いらしいよ」
「O君、そういえば、地道に英語勉強してたよね」
「あいつは、すげーよ」

みんな頑張ってるんだなあと思って、
残り少ないコップの水を口にした。


Y君と別れた後は、研究室に行った。
2日間、久しぶりに楽しい休日を過ごした後だったので、
研究モードになかなか戻れなかった。

それでも、やることがあったから、
この日は研究室に泊まった。

この時期、研究室の窓を開けると、山の方から、
りーんりーんとスズムシの鳴き声が聞こえてくる。
吹き抜ける風も涼しい。

山の中や草むらにいる虫たちの気配や、
森の中で暮らしているイノシシくん親子の気配。

緑の多いキャンパス内を歩いていると、
いろんな気配が漂っているのを感じる。